安物買いの銭失い

最近、工務店仲間で色々な話をするようになりました。

各工務店同士のいわゆる標準仕様が話題になる事もあります。

例えば外壁の仕様だと、こんな会話になるんですよね。

「サイディングって初期費用は安いけど、メンテナンス費用が半端なく高いよね。」

「しかも目地とサイディング板の耐久性に大きな隔たりがあるから、バランス悪いし・・・。」

一般的に目地の耐久性は白系と黒系で違いますが、5~8年と言われています。

でもサイディング板の耐久性は10~15年位。

もちろん、塗装のグレードによっても違います。

目地材の劣化を放置すれば、透湿防水シートの劣化に繫がります。

だから、放置する訳にはいきません。

でもサイディング板は、まだ劣化していないんです。

目地の劣化対策は、打ち替えが一般的です。

古い目地を撤去し、新しい目地を充填します。

作業には、当然足場が必要です。

足場を掛け目地を打ち替えれば、結構な費用が掛かります。

そして数年後に足場を掛け、今度はサイディング板の劣化対策を行わなければなりません。

一般的には高圧洗浄を行い、表面に塗装を施します。

足場代が勿体ないでしょ?

だったら、目地と一緒にサイディング板もきれいにしよう!という選択になるのが当たり前だと思います。

でもサイディングは、まだ劣化していません。

サイディング板が劣化するまで、目地の劣化に目を瞑るという選択肢もあります。

ひとつの賭けですよね。

これが原因で透湿防水シートが傷んでしまうかもしれません。

だから目地剤を『高耐候シーリング』にする事をお勧めします。

これを採用すれば、サイディングが劣化するまで目地も劣化しません。

すると大抵の方は、こう言います。

「高耐候シーリングって、メチャクチャ高いよね。」

でも、仕方ないと思うんです。

サイディング板自体の塗装品質はどんどん向上しています。

結果、目地との差は開くばかり・・・。

『清水の舞台から飛び降りる』必要があるでしょう。

しかもサイディングの場合、次の10~15年で張替えの必要が出ると思われます。

既存のサイディングを全て撤去し、産業廃棄物として廃棄処分しなければなりません。

さらなる上塗りは、厳しいと思います。

塗膜を剥がそうとすれば、板自体を傷めることになりかねません。

また国産の透湿防水シートの防水性は、10年しか保証されていません。

このタイミングで、通気胴縁と共に交換せざるを得ないと思います。

せめて20年保証の透湿防水シートを採用していれば・・・。

弊社の採用している透湿防水シートは20年保証品です。

実験の結果では、30年でも大丈夫らしい・・・。

この違いって、かなり大きいと思います。

だから、弊社ではサイディングをお勧めしません。

初期費用が高い他の仕上げ材を進めても、すぐに元が採れるからです。

みんなも、そうすればいいのに・・・。

本当にそう思います。

初期ストが安くても、ロングライフコストが高ければ意味がありません。

まさに『安物買いの銭失い』という諺、そのものだと思います。

でも今の住宅業界には、こんな事例が山のようにあるんですよね。

逆に欧米では、『安物の住宅を買うほど、私はお金持ちではない!』というジョークがあるそうです。

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