栄枯盛衰

時代と共に評価は変わります。

『栄枯盛衰』

最近、こんな言葉をよく思い出すんです。

昔は評価が高かったのに、最近は評判悪いよね。

こんな設備、ありますよね?

機器自体は、何も変わっていません。

単に時代に付いていけなくなっただけなんです。

例えば、蓄熱暖房機がこれに当たります。

以前は弊社でも、新築時にオール電化を勧めるケースが多かったんです。

太陽光発電を搭載する建物も多かったし・・・。

当時のこの制度では、昼の電気代は高いけど、夜の電気代はメチャクチャ安かったんです。

昼の電力は太陽光発電と、外皮性能&気密性能の向上による冷暖房費用の抑制効果で、極力使わないようにしました。

そして夜の安い電力でエコキュートを使い、お湯を安くつくりタンクに貯めて昼間使っていたんです。

すごくお得だったんですよね。

そんな環境下で三種の神器という位置づけだったのが、エコキュート・IHクッキングヒーターそして蓄熱暖房機でした。

当然弊社でも、セットで勧める事が多かったと思います。

でも他の2つと違い、蓄熱暖房は少し高価です。

しかも冬しか役に立ちません。

おまけに図体がメチャクチャデカイので、置き場所にも困りました。

そんな厄介な機器でしたが、設置した方には大変喜ばれたんです。

電気蓄熱暖房機の画像

蓄熱式暖房器の仕組みは、蓄熱レンガを電力で加熱し、長時間にわたって加熱したレンガの放熱を利用して空間を温めるというものです。

超割安な深夜電力を利用する事で初めて成り立つ暖房器具なんですよね。

エアコンのように風を利用しません。

だから埃も舞わないし、輻射熱が心地良いんです。

ホンワカとした柔らかい熱が、部屋全体を暖めてくれます。

『値段は張るけど、是非使ってみたい冬の快適アイテム』という位置づけだったと思います。

でも東日本大震災で原子力発電所が止まってからは、評価がガラッと変わってしまいました。

エアコンのようにヒートポンプを使いませんから、ガス・灯油ストーブのように効率が悪いんです。

ヒートポンプとは、空気の熱を集めて利用する仕組みです。

1の電力に対して、3~7の熱エネルギーをつくることが可能なんです。

所で皆さんは、COPという言葉をご存知でしょうか

成績係数(COP:Coefficient of Performance)

エアコン、冷凍機などのエネルギー消費効率を表す指標の一つです。

消費エネルギーに対する冷・暖房の比率として計算される無次元の数値。

COP=冷暖房能力÷消費エネルギーとなります。

エアコンにおいては、定格条件において冷房能力(kW)を冷房消費電力(kW)で除した冷房COPと、暖房能力 (kW)を暖房消費電力で除した暖房COPが用いられていて、この数値が大きいほど、定格条件におけるエネルギー消費効率 が良いとされています。

例えば暖房能力2.5kWのエアコンの消費電力が450Wであれば、COPは5.55になります。

一方暖房能力2.5kWの蓄熱暖房機の消費電力は2.5kWです。

COPは1.00にしかなりません。

この違いが、電気式ヒートポンプと電気生炊きの違いです。

電熱線を熱するタイプの暖房機って、非常に効率が悪いんですよね。

その分、故障が少なくて長持ちするというメリットはありますが・・・。

しかも一次エネルギーで比較すると、もっと凄いことになります。

一次エネルギーとは、自然界から得られた変換加工しないエネルギーのことです。

様々な種類があります。

石油や石炭・天然ガス・ウランのような採掘資源から、太陽光・水力・風力といった再生可能エネルギー。

薪や木炭なども、一次エネルギーのひとつです。

これに対して二次エネルギーは、一次エネルギーから変換加工して得られたエネルギーのことをいいます。

残念ながら自然界に存在するエネルギー源を、そっくりそのまま利用することは、ほぼ出来ないんです。

そのため発電・精製・乾留などといったさまざまな加工を行い、エネルギーを利用可能な形にする必要があります。

家庭やオフィスでは、ほぼ二次エネルギーの形で供給され使用するので、身近なエネルギーといえるでしょう。

省エネを考える際にはこれらの使用量を減らしたり、使用料金を抑えたりすることを指標とすることが一般的です。

限りある資源の保全や低エネルギー社会の実現ということまで考えると、一次エネルギーに変換してエネルギー消費を考える必要があります。

その際には、一次エネルギーから二次エネルギーに変換する際にロスとなるエネルギーも考慮する必要があります。

電気って、遠くで作って送電線を使って運んで来ます。

途中でどんどん放電するそうです。

そのせいか、ロス率が非常に高いんです。

ガスや石油に比べると、3倍くらいになるそうです。

「只でさえロスが多い電気を使うのに、効率の悪い蓄熱暖房機を使うとは何事か

と云うのが、最近の評価となります。

でも輻射熱暖房って、本当に快適なんです。

諦めきれないなぁーと云う方には、コレをお勧めします。

パネルヒーターと云います。

電気式ヒートポンプを利用した輻射熱冷暖房機です。

夏の冷房にも使えるのも、嬉しいですね。

蓄熱暖房と違い、COPが高くて電気代が安く済みます。

風のない冷暖房って気持ちいいんです。

除湿能力も高いから、昨今の蒸し暑い夏にピッタリだと思います。

でも、イニシャルコストが高いんです。

まだまだ、世間に出回っていません。

もっと安くなれば・・・。

と思います。

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