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年末も押し迫ってきました。
拙ブログの投稿も、今年はあと2本の予定です。
今回は久し振りに、こんなベタな話題にしてみました。
『住宅の種類による熱損失係数(Q値)と外皮平均熱貫流率(UA値)の比較』
戸建て住宅や共同住宅など、様々な種類の住宅や建物構造に違いのある住宅で、これまでの断熱基準の評価基準であるQ値と新しいUA値の数値を比較してみようと思います。
Q値とは、外皮から出入りする熱量を延べ床面積で除した値です。
逆に、この値に延べ床面積を掛ければ外皮を出入りする熱量を算出する事が出来ます。
またUA値とは、外皮から出入りする熱量を外皮面積で除した値です。
同様に、この値に外皮面積を掛ければ外皮を出入りする熱量を算出できます。
どちらも単位は『W/㎡・K』、小さいほど熱の出入りが少ない事を示します。
まずは次のグラフをご覧ください。
今まで使っていたQ値では、床面積の小さな住宅やRC造の共同住宅でも最上階外側や最上階妻側が大きな値となります。
これがUA値では、そのばらつきが無くなり平均的な値となります。
計画した建物が結果的にどの程度の熱損失だったかを評価する上では、どちらの値を採用しても問題ありません。
でも、これらの値を目標に設計&断熱仕様決めを行うのであれば、問題があると思います。
例えば、こんな例があります。
①シンプルな総2階をイメージしたモデルです。
延べ床面積:72㎡
外皮面積:252㎡
②複雑な平屋をイメージしたモデルです。
延べ床面積:72㎡
外皮面積:360㎡
①②ともに、仮に外皮熱貫流率を1.00W/m・Kとした時のQ値とUA値を算出してみましょう。
外皮熱貫流率に外皮面積を掛けた値が、出入りする熱量となります。
①であれば、252㎡×1.00W/m・K=252Wとなります。
②では、360㎡×1.00W/m・K=360Wとなります。
これらを床面積で割れば、Q値になります。
①であれば、252W÷72㎡=3.5W/㎡・Kとなります。
②では、360W÷72㎡=5.0W/㎡・Kとなります。
でもUA値は、出入りする熱量を外皮面積で割りますから
①であれば252W÷252㎡=1.0W/㎡・K、②では360W÷360㎡=1.0W/㎡・Kとなります。
あれれ?
どちらも同じ値になりましたね。
ここで重要なのは、外皮からの熱の出入りを少なくする事です。
熱の出入りの少ない建物をつくらなければなりません。
でも両者の比較を見ると、どうも後者はあまりアテになりそうもありません。
同じUA値の家なのに、外皮を出入りする熱量は大きく異なるからです。
①は252Wですから、2.5kWのエアコン×1台で賄うことが可能です。
でも②は3.6kWのエアコン×1台でなければ賄うことができません。
もちろん、建物の燃費は外皮性能だけで決まるものでも無いんですが・・・。
posted by Asset Red
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