木材の含水率と天然乾燥

木材の含水率は、性能・品質・加工にはもちろん、取り扱いにまで大きな影響力を持っています。

含水率は%で表示されますが、実はしばしば100%を超えています。

これは木材含水率の測定方法が、図1のような乾量基準で決められているのが原因です。

木材含水率 U=Wu-Wo/Wo×100%

U:含水率

Wo:全乾燥時の重量

Wu:ある水分状態の重量

木材は、写真1のような網目状に構成された木繊維から出来ています。

スポンジのように、その中に水を貯め込むことが出来ますが、この水を『自由水』と呼びます。

木材を乾燥すると、まず初めに失われるのが自由水です。

自由水が失われている間は、木材の収縮は起こりません。

一方、木材繊維の中に入り込んだ水を『結合水』と呼びます。

自由水が無くなると、図2のように結合水が減り始め、木材は収縮を始めます。

木材含水率は上記の絶乾重量法で測定しますが、含水率の異なる木材の電気的性質の違いを利用した木材水分計で直接・即時におおよその水分を測定する事が出来ます。

写真2は厚みの小さな木材用の電気抵抗式含水率計。

写真3は柱のような厚みの大きい木材に使用する高周波誘導率型含水率計です。

前者は10万円以上、後者は3500円位で購入できるようですね。

買ってみようかな

問題は、木材の乾燥方法です。

大きく分けて、2つの方法があります。

写真4のように未乾燥材をきちんと桟積みして、自然の状態で乾燥を待つ乾燥方法を『天然乾燥(天乾)』と呼びます。

乾燥にはかなりの年数を有しますが、緩やかな乾燥過程となり、木材の仕上がりが良くなります。

昔の棟梁が木材を枯らして使ったのは、この方法によったものです。

おじいさんが乾燥させた木材を孫が使うなんて事も、当たり前でした・・・。

時間が長く必要。

天候に左右されやすい。

充分に乾燥せずムラが出来る事も多い。

広い場所が必要。

などの欠点もある為、最近は人口乾燥の負担を軽減する目的で前乾燥工程として利用する事が増えました。

昔の大工さんって、建ててからしばらく現場を明けていましたよね。

当然工期は、今と比べると長くなります。

これって天然乾燥による乾燥ムラを減らす為にやっていたんですね。

でも工期短縮が命題となっている昨今は、こんな悠長なことは許されません・・・。

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