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たまには気密に関する話を書きたいと思います。
住宅の気密性能は『床面積当たりの相当隙間面積(C値)』で表します。
その単位は㎠/㎡、この値が小さいほど高い気密性があることを示しています。
C値と自然換気回数の関係は、隙間の位置や形状などによって必ずしも一定ではありません。
でも、おおよその見当はつけられます。
例えば住宅内外の温度差が30℃の時、C値の1/10が自然換気回数(漏気回数)と考えて差支えないんです。
温度差による換気量は、内外温度差に比例しますから。
上表は、延べ床面積が130㎡前後で、隙間が均等に分布している住宅について、気密性能と内外温度差による漏気回数を示したものです。
春秋の暖房端境期でも、内外温度差は10℃くらいになります。
その結果、C値が5.0㎠/㎡の住宅では、漏気回数は0.17回/hになります。
ちなみに現在の住宅は外壁耐力面材や床下地合板の採用が増え、そのC値は2.0㎠/㎡程度にはなっているそうです。
この程度の隙間であれば、内外温度差10℃時の漏気回数は0.07回/hとなります。
冬季であれば内外温度差が20℃になる日なんて、当たり前にあるでしょ?
こんな時の漏気回数は0.13回/hに跳ね上がるんです。
法で定められた0.5回/hに、これを加算すれば明らかな換気過多!
かと言って、この分を減らすのも問題です。
隙間の位置や形状などによって、漏気回数は変わるからです。
また、風の影響もあります。
換気回数が増えれば、室内空気はきれいになります。
これって良いことですよね?
でも隙間が多い家では、換気経路が定まりません。
換気過多の場所もあれば、換気不足の場所もできてしまいます。
一般的な換気は、排気する事で建物内の空気を負圧にします。
そこに給気口を設ければ、新鮮な外気が排気した空気の量だけ供給される事になります。
でもイラストのように給気口以外から外気が侵入すれば、ショートサーキットを起こして汚染空気の滞留が起こるかもしれません。
上表は、C値と3種換気における自然給気口からの給気量の関係を示しています。
例えばC値0.5㎠/㎡の建物であれば、給気口から入る新鮮空気の量は66%に過ぎないんです。
C値が5.0㎠/㎡になれば、わずか17%しか給気口から入って来ません。
これって、ほぼ隙間から給気されているって事でしょ!
隙間が計画換気に与える影響って、こんなに大きいんです。
せっかく換気量が増えても、これではダメですよね。
しかも、換気量が増えれば暖冷房エネルギーが増大します。
せっかく暖めたり冷やしたりした空気を、余計に捨ててしまう事になるからです。
漏気分の自然換気量を計画換気量から減らす事が出来ればいいのに・・・。
でも先述の通り、これって危険な考えだと思います。
行うべきでは、ありません!