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第一条
この法律は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて
国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もつて公共の福祉の増進に資することを目的とする。
建築基準法第1条を抜粋・転載しました。
ここには基準法の目的が、『安全で安心して暮らせる社会を築くために、みんなで守らなければいけない最低限の基準』である事が明記されています。
でも残念ながら、国民の生命・健康及び財産の保護を図り、もって公共の福祉の増進に資するための必要十分な性能を満たした建物を要求している訳ではありません。
そこで国民の生命・健康を守り散財することのない最低限の基準として『省エネ基準』が作られました。
でも、この基準はあくまでも推奨基準であり、必須ではありません。
「この位の外皮性能を有していれば、ご家族の生命および健康を脅かすことはないと思うよ。」
「あくまでも、ギリギリのレベルだけどね。」
「冬の暖房費だって、バカにならないでしょ?」
「この基準相当の家をつくれば、そこそこ省エネになるから、おサイフにも優しいんだ。」
「気が向いたら、つくってみてよ。」
「国としては、オススメしています。」
こんな感じなんですよね・・・。
オススメできるなら、いっそ必須とすれば良いのに・・・。
そう思いませんか?
それでも一度は、義務化すると言ったんです。
だから、一時期は次のような記事が散見できました。
日本における住宅の省エネ基準は、1980年に初めて設けられて以来、1992年、1999年に強化されてきました。
特に1999年の改正は全面的な見直しをともなうもので「次世代省エネルギー基準」と呼ばれてきました。
そして、東日本大震災後、新たな基準として2013年に導入されたのが「改正省エネルギー基準」です。
これまでの基準は義務ではなく一つの目安でしたが、改正された省エネ基準は、2020年に全ての新築住宅を対象に義務化が予定されています。
でも様々な理由(言い訳)から、結局見送りとなりました。
そして、その代わりに出来たのがコレです。
義務化は見送ったけど、基準に適合しているか否かを説明する事を設計者に義務付けたんです。
そして、適否による健康や燃費に関する説明も義務付けています。
「省エネ基準適合住宅に住むと、そうでない住宅に比べて、この位冷暖房費を削減することが出来ます。」
「病気にもなりにくくなるので、医療費の削減や入院・通院の為の遺失利益も削減可能です。」
「両方足すと、年間に○○円/人位の削減になると思われます。」
「快適だからストレスも減りますよ・・・。」
みたいな説明をした上で、お施主様に確認を取ります。
「当然、初期コストは増大します。」
「でも、その分ランニングコストは減るんです。」
「どうしますか?」
「省エネ基準をクリアした住宅にしますか?」
こんな重要な選択を、お施主様に預けていいのでしょうか?
省エネ基準で建てられた住宅が生命・健康・省エネを守る最低限のレベルであれば、義務化する。
その上で、さらなる外皮性能の強化を行うメリットを説明する。
当然、初期コストは増大します。
でも、ランニングコストは減少します。
より快適性は増すし、満足感も増大します。
どちらにしますか?
こうした選択を、お施主様に委ねるのが本来あるべき姿では?
そう感じます。
せめて耐震等級3と外皮性能強化は、スタンダードとしたいところです。
そうでなければ、ご家族の生命・健康・財産を守ることが出来ないからです。
間もなく、説明義務化が始まります。
どんな事になるのかな?
説明を聞いた上で、省エネ基準にすら適合出来ない家をつくる人っているのかな?