blog
3月5日付のアセットフォー日記となります。
今日の練馬・板橋の天気は曇り時々晴れ。
雨が降らないのは助かるけど、空が灰色だと沈むんですよねー。
天気予報によれば、かなり暖かくなるらしい・・・、本当かな?
練馬区桜台6丁目に建つ『FPの家 Y邸』では、昨日に引き続き屋根下地をひたすら進めています。
来週も天気が安定しないようですね。
下葺き材だけでも施工しておかなければ、ホウ酸処理も出来ません・・・。
では、現場の様子をご紹介します。
昨日は、こんな状態でした。
屋根タルキの間にあるのが、遮断パネルです。
表面の銀色&緑色、そしてゴツいタルキが謎でした。
夜の雨に備え、ブルーシートで養生をして昨日は作業を終えました。
そして今朝、ブルーシートを剥がします。
そこに現れたのは、こんな風景でした。
一面の緑!?
実はコレ、遮断パネルなんです。
先程の写真は、クラフト紙が折り畳まれた状態でした。
左右のフィンを開き、タルキにタッカーで留め付けると、こんな風になるんです。
ちなみに頭頂部は、遮断パネルを合掌状にして、突き付け部分にウレタン断熱材を吹付ます。
クラフト紙とタルキの関係は、写真の通りです。
ゴツいタルキを採用する理由は、ここにありました。
まだ、判かんないですよね?
でも、この上に野地合板を張れば判ると思います。
下から見ると、こんな感じです。
銀色&緑色をしていたのは、アルミクラフト紙です。
緑が表、そして銀色が裏側になります。
以前は、裏表とも銀色でした。
夏季、陽射しが強いと照り返しが強いんです。
施工時には、サングラスが必須でした。
改良の要望が多かったんだと思います。
割と早いタイミングで、現行仕様に変わりました。
かなりマシにはなりましたが、表面の暑さに変わりはありません。
落ちた汗がジュッといいそうな位熱いんです。
目玉焼きが出来るかも・・・。
標準的な納まりをイラストにしてみました。
上図の黄色い部分が硬質ウレタン、その回りには国産杉のフレームが入っています。
青い部分がアルミクラフト紙による2層遮熱通気層。
これらが一体となった屋根用断熱パネルです。
ウレタンの持つ『自己接着性』によりフレームと断熱材が一体となっている為、フレームを躯体に留め付ければ、断熱材が躯体から離れる事はありません。
大地震の際に耐震部材の代わりに躯体の変形を妨げる働きが期待出来るのも、このパネルを使うメリットです。
また透湿抵抗が大きく水蒸気を通しにくいパネルの為、冬型だけでなく夏型結露を防止する事が可能です。
でも一番の魅力は、高い断熱性能&遮熱性能と言えるでしょう。
厚さ105mmの硬質ウレタンは『HFO発泡』による高性能品です。
その熱伝導率は0.020W/m・Kですから、パネル自体りの熱抵抗は5.25となります。
これって、高性能グラスウール16Kであればおよそ200mm分に相当します。
しかも遮熱2層通気層による、遮熱性も期待できるんです。
例えば、こんな実験結果があります。
屋根の表面温度は74.9℃、35mmの通気層を設けた場合の断熱材表面温度を測ると、48.1℃だったそうです。
これ、最近の住宅における夏の状態を示しています。
通気層効果って26.8℃もあるんですね。
一方、遮断パネルの場合はこうなります。
屋根の表面温度は同じ74.9℃。
35mmの遮熱2層通気層効果により、断熱材の表面温度は30.9℃にしかなりません。
つまり通気層効果が44.0℃もある訳です。
この差って大きいんです。
例えば、この現場の遮断パネルの面積は50.96㎡です。
通気層の違いによる、熱移動量で比較してみましょう。
まずは通気層35mmの場合です。
断熱材の外側温度は48.1℃、室内温度を28.0℃すれば、その差は20.1℃になります。
熱貫流率が0.020W/㎡・Kであれば、温度差と面積を掛ければ熱移動量を算出する事が出来ます。
0.020W/㎡・K×50.96㎡×20.1℃=20.48W・・・①
これが屋根断熱材から室内に移動する熱量となります。
遮熱通気層の場合は、こうなります。
0.020W/㎡・K×50.96㎡×2.9℃=2.9W・・・②
それぞれの値を屋根面積で割れば、屋根のU値となります。
①のU値は0.40W/㎡・K、そして②のU値は0.05W/㎡・K。
同じ断熱材を使っていても、遮熱材の違いで、こんなに違うんです。
遮熱通気層を上がる熱風は、頭頂部に設置された換気棟から排出される仕組みです。
写真は野地合板に明けられた換気用のスリットとなります。
さすが『国際特許品』でしょ?
FPの家だけでしか使えない断熱パネルですから、これを使わない手はありません。
でも既に国内の特許は期限切れ、米英・仏・独・中・豪・韓も今年で切れてしまうそうです。
製法をまねるメーカーが出るかもしれませんね。
でも仕方ありません。
良いものは、どんどん使って貰いたいと思います。