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ひばフローリングを使いたいというお客様がいました。
ひばフローリング?
早速、検索してみました。
青森ヒバは通称であり、正式にはヒノキ科アスナロ属の針葉樹です。
青森ヒバは秋田杉や木曽桧とともに日本三大美林とされています。
「ヒノキチオール」「βードラブリン」などの成分を含み「抗菌効果」「防虫効果」「消臭効果」があり、その腐りにくさから古来から神社仏閣などに使われてきました。
青森ひばの抗菌作用は非常に強く白アリが青森ひばを食べた場合、抗菌成分が白アリの腸の中で腸の現生菌を死滅させ、白アリが食物を消化できなくなり死にいたってしまうほどです。
その腐りにくさから建材だけでなく、「まな板」や「風呂桶」なども数多く生産されています。
また香りが非常に強く、消臭効果も強いのも特徴です。
現在は青森ヒバを保護するために政府の伐採規制が入っており、青森ひばは年々入手が難しくなっています。
そのためユニタイプはフローリングの端の部分が数cmのものも入っています。
これらは部屋の端などに使っていただくようお願いいたします。
また受注生産となり納期が約2~3週間かかりますのでご注意ください。
やはり、青森ヒバなんですね。
私が若い頃お世話になっていたビルダーでも、30年程前に青森ヒバの土台を採用していました。
当時の私と言えば、ヒバと言えば米ヒバと思っていたんです。
青森ヒバって何?
米ヒバと大差ないんじゃない?
そんな程度の認識しか、ありませんでした。
実際に青森ヒバの土台を見てみると、色が米ヒバよりもくすんでいる気がしました。
しかも、大節が多いんです。
時には『トビ腐れ』もあります。
トビ腐れとは、穿孔性のスギノアカネトラカミキリの幼虫が樹幹に孔をあけて、そこから侵入した腐朽菌が材の変色や腐朽を生じさせたものです。
青森ヒバの含有成分であるヒノキチオールが含まれていない一部に発生するようですね。
腐れが拡大することはなく、青森県内の建設業者であれば、これが表面に現れないようにして使用するそうです。
そう言われても困りますよね?
結局、営業からの突き上げを受けて米ヒバに変わってしまいました。
ちなみに青森ヒバは、樹高30m・直径80cmに達する日本特有の針葉樹高木です。
1901年(明治34年)本多静六(日本で最初の林学博士)が、従来のアスナロと青森県のアスナロとの間に違いがあることを発見し、牧野富太郎がアスナロ属の中に、アスナロの一変種「ヒノキアスナロ」として命名しました。
アスナロは青森県内真部山国有林を北限とし、木曽地方を中心に九州鹿児島県に掛けて分布。ヒノキアスナロはアスナロの変種とされ、青森県を中心に北海道南部から関東北部に掛けて分布しています。
一般には双方とも「ヒバ」と呼ばれ、アスナロが南方系のヒバ、ヒノキアスナロが北方系のヒバとされています。なお、青森県内に生育しているヒバは「青森ヒバ」と呼ばれており、 青森県では昭和41年に県の木に指定し、県民に親しまれています。(東北森林管理局HPより抜粋)
米ヒバと比べると、見栄えが悪いんです。
臭いも脂っぽくてキツイし・・・。
長い間、そう思っていました。
でも青森ひばフローリングの写真を見ると、全然雰囲気が違いました。
オスモを塗ると、こんな感じ。
無塗装でも、こんな感じです。
ひのきフローリングと変わりません。
ちょっと意外でした。
これなら、使えますね。
個人的には、オイル塗装がお勧めです。
様々な有効成分の事を考えると、無塗装の方が良い筈。
それでも、無塗装をお勧めしたいと思います。
だって青森ヒバって、意外と取り扱いが難しいんです。
手の脂が付着すると、経年で変色する事があるんです。
以前に、青森の営林署長の家の現場管理をした時の事を書きたいと思います。
土台と大引き、そして柱全てが青森ヒバの家でした。
1部屋だけ和室を設けたんですが、化粧柱と造作材を青森ひば材にしたんです。
東北から出稼ぎに来た大工さんが担当してくれました。
内法材や天井板、長押・畳寄・廻縁全てが青森ヒバで出来ています。
私にとって初めての経験でした。
いよいよ造作工事に取り掛かると言う時です。
大工さんが、薄手の手袋を着用していました。
しかも、頻繁に交換していたんです。
尋ねてみると、ぶっきら棒に教えてくれました。
「手の脂がつくと、あとで指の跡が黒く浮き出るんだ。」
えっ、そんな事あるの?
確かに黒い指の跡が浮き出てたら、イヤですよね。
だから、脂が付かないように頻繁に手袋を替える必要があるそうです。
フローリングも同じだと思います。
指の跡なんて、ゴメンでしょ?
和室の造作材くらいなら問題ないけど、フローリングとなると、かなりの量になります。
手袋を着用し、まめに交換しながらの細かい作業って無理があると思います。
絶対効率が落ちますよね・・・。
出来れば、オイル塗装品にしたいと思います。
スギの精油や抽出物には、黄色ブドウ球菌に対し強い抗菌活性が報告されています。
精油では、主にテルペン類などの低沸点化合物によって、菌の生育抑制または殺菌効果が発揮されたと考えられます。
また、残渣のメタノール抽出物では、精油には抽出されにくい一部のジテルペン類やポリフェノールなどの比較的高沸点の化合物によって、同様の効果が発揮されたと考えられます。
また、これとは別にニオイヒバ、ヒノキ、チャボヒバ、ヒノキアスナロ、ツガ、ストローブマツの精油は、カビの生育を阻害したことが報告されています。
匂い成分による効果には、リラックス効果や血圧を下げる効果や身体の免疫を高める効果もあります。
残念ながら塗装する事で、その効果は薄れるでしょう。
でも、抗菌・防カビ効果は期待できる筈。
そして木材色・木目模様・光沢等の視覚による、あたたかく自然な印象は塗装によって損なう事がありません。
こうした視覚効果による血圧・心拍などの生理応答への影響も見逃せません。
接触によるストレスの少なさや、ゆるやかな温冷感も重要です。
床に利用するのであれば、転倒時の衝撃吸収効果も期待出来ます。
床材と言えばナラやバーチなど広葉樹が有名ですが、針葉樹の床材も良いんです。
もっと、評価して欲しいと思います。