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壁内結露という現象があります。
空気中に含まれる水蒸気は水蒸気圧の高い方から低い方に移動するという物理法則により、壁内で結露が起こる現象です。
冬季、室内の空気は外気に比べて高温・高湿となります。
室内の方が外気よりも高湿であれば、空気中の水蒸気は壁を透過して外に移動します。
この時、壁内に透湿抵抗の大きな材料があれば、ここで水蒸気の移動が妨げられることになります。
イラストの合板が、これに該当します。
障害物の内外で、温度差が無ければ問題ありません。
でも合板の内側は暖かく、外側は寒いのが一般的でしょ?
この時、合板の内側で結露が発生する事があります。
これを壁内結露と言います。
これを防ぐには、いくつかの方法があります。
①例えば、壁内に水蒸気が侵入出来ないようにする事。
石膏ボードの内側に、防湿・気密フィルムを連続して隙間なく張るのが効果的です。
②水蒸気を通しにくい断熱材を使うのも、良いでしょう。
但し、この場合も隙間を無くす必要があります。
③侵入した水蒸気の移動を妨げる合板を使用しないのも、手のひとつです。
透湿抵抗の小さい面材に変える事で、侵入した水蒸気が通気層を通って外に排出されます。
でも、その為には透湿性の高い防水シートを採用する必要があります。
ひと昔前、外壁の下地には黒い防水紙が採用されていました。
アスファルトフェルトという、黒い防水紙は雨水の侵入と共に水蒸気の侵入も止めてしまいます。
これでは、面材を透過した水蒸気が防水紙の手前で結露して、面材を腐らせてしまうかもしれません。
そこで採用されたのが、現在の透湿防水シートです。
またシートの外側に通気層を設け、シートの内外に気圧差をつくり水蒸気の移動を促進する通気層工法の採用が標準化されました。
また、①②③のいずれかを併用すれば、より効果的となります。
でも、ちょっと待ってください。
屋内が高温・高湿で屋外が低温・低湿な冬季は問題ありません。
でも屋内が低温・低湿で屋外が高温・高湿な夏季は、どうなんでしょうか?
地球温暖化が進みエアコンによる冷房が必須の昨今では、壁内で冬季と逆の現象が起きているかもしれません。
透湿抵抗の小さいシート&面材は、たやすく水蒸気を壁内に侵入させるでしょう。
侵入した水蒸気は、石膏ボードの内側に張られた防湿・気密シートで室内への侵入を妨げられてしまいます。
この時壁内と石膏ボードに温度差があれば、結露しますよね?
だって夏季の外気の相対湿度って、すぐに80%くらいになっちゃうでしょ!
例えば35℃/80%の空気の露点温度は、31℃です。
石膏ボードの温度がこれより低ければ、壁内結露が起こります。
壁の中で防湿シート裏に水滴が付いている訳です。
これを『夏型結露』もしくは『逆転結露』と言います。
『冬型結露』に対する対義後です。
逆転結露を防ぐには、2つしか方法がありません。
①石膏ボード裏の防湿・気密シートを可変性のあるシートに変える。
湿度により水蒸気を通したり止めたりするシートを使えば、夏は内向き、冬は外向きに水蒸気が移動するから大丈夫!
②透湿防水シートを、可変タイプにしても同様です。
でも、このタイプの透湿防水シートって少ないんですよね・・・。
今後弊社が採用する予定の防水シートが、これに該当します。
冬季のイメージです。
そして夏季のイメージです。
可変タイプの防水シートの為、室内側の防湿・気密シートは一般的なもので構いません。
もっとも弊社の採用する断熱材は、透湿抵抗の高い断熱材です。
水蒸気を含む事が、ほぼありません。
内外のシートに何を使っても、壁内結露する危険性は極めて低いんです。
だったら、わざわざ使う事ないんじゃない?
そう思った方も多いでしょう。
もしかして、安いの?
イエイエ、そんな事ありません。
むしろコストアップに繋がります。
でも従来のシートに比べて、防蟻剤による防水性の低下の心配がはるかに少ないんです。
もちろん耐久性も高くなります。
防水シートに期待される性能は、いくつかあります。
例えば、防風性・気密性。
一般的なシートに比べて、このシートは1.5倍の性能になっています。
防水性は11倍、耐久性は3倍です。
逆に透湿性は1/8程度。
でもFPの家ならば、防水シートに過度の透湿性を求める必要も無いんですよね。
外壁の中で、ずーっと頑張ってくれる部材です。
それだけに、お金を掛けてでも高性能なものを採用したいと思います。
この防水シート、『ウエザーメイトプラス』といいます。
近いうちに、施工例を挙げる予定です。
かなり目立つと思います。
ご期待ください。