blog
3月8日付のアセットフォー日記となります。
今日の練馬・板橋の天気は曇り時々雨。
練馬区桜台6丁目に建つ『FPの家 Y邸』では、屋根に下葺き材を敷き込みました。
下葺き材は『ルーフィング』とも呼ばれます。
屋根材の施工に先立ち、防水を目的に野地合板に貼るシート状の材料です。
屋根材に隠れて普段は目にする事が出来ません。
でも本当は、屋根材以上に重要な部材なんです。
下葺き材の選択や施工を誤ると、雨漏りや野地板の腐食の危険性が高まります。
たとえ屋根材の選択や施工を間違えても、下葺き材さえ、しっかりとしていれば問題ありません。
下葺き材を紫外線や熱による劣化から防ぐのが屋根材の役目と言えるくらいです。
防水性は当然ですが、最近は遮熱性や透湿性を高めた製品も多々発売されています。
弊社が採用している下葺き材はコレです。
ウルト・ジャパンの『ウートップ サーモNDプラス2SK』。
やたら長い製品名でしょ?
でも、ラベルはこの通り。
Made Inドイツの透湿防水ルーフィングとなります。
雨水の侵入は防ぐけど、野地合板の湿気を素早く屋外に透過・放出する効果もあります。
下葺き材と野地合板の間の結露を抑制するので、結露による野地合板の腐敗・変形を防げる訳でます。
最近、野地合板の腐朽が問題になっているのをご存知でしたか?
写真は以前に弊社にて行った、コロニアル屋根の葺き替え工事の模様です。
既存のコロニアルを剥ぎ、下葺き材を交換。
新しいコロニアルに葺き替える予定でした。
でも、思惑は外れました。
下葺き材の下の野地合板が蒸けてグニャグニャになってしまい、コロニアルを葺ける状態ではありません。
事情を説明し、野地合板の交換。
そして下葺き材&コロニアル屋根の交換を行いました。
予想外の出費に、お施主様も驚いたと思います。
施工してくれた職人さんに尋ねてみると、こうしたケースは意外と多いそうです。
でも野地合板を交換する例は、少ないとの事。
見なかったことにして、下葺き材と屋根を交換して終わりにするそうです。
最近では既存のコロニアルをそのままにして、上から下葺き材&金属屋根を葺いてしまう『カバー工法』が主流なんだそうです。
当時のコロニアルはアスベストを含んでいたので、撤去費用や処分費用が嵩んでしまいます。
そのまま残せば、こうした費用を圧縮できますからね・・・。
でも野地合板って、耐震的効果も高いんです。
これが劣化したら、地震が来た時に心配です。
やはり、野地合板から交換する事をお勧めします。
最も、最初から透湿性の高い下葺き材と通気性のある屋根材を採用していれば、こんな事にはならないんですよね。
イニシャルコストを安く抑えたつもりでも、結局ランニングコストが掛かってしまい、割高になってしまう。
まさに『安物買いの銭失い』だと思います。
作業に先立ち、雨養生のブルーシートを剥がしました。
小降りになったとは言え、まだ雨は降っています。
いつもであれば、野先キャップを取付けてから下葺き材を敷き込みます。
でも今回は、下葺き材施工と軒先キャップの施工を分担して、それぞれの屋根で同時に行うようにしました。
軒先キャップです。
裏から見ると、こんな感じです。
昔は野地合板の軒先部に、『広小舞』と呼ばれる木材が取付けられていました。
無垢材ですから、水を含んでも乾けば問題ありません。
でも最近は、野地合板を延ばしてオシマイです。
これだと含んだ水で先端が蒸けてしまい、塗料が剥げたり腐朽する事になります。
そこで弊社では、GL鋼板でつくった軒先キャップを取付け、軒先の保護をしているんです。
反対側の屋根では、下葺き材の敷き込みが始まりました。
下から上に噴上げていくのが基本です。
巾が1.5mもあるので、取り回しは大変です。
でも一般的なアスファルトルーフィングに比べると軽いので、作業者からの苦情は意外とすくないんです。
ちなみに一般的な下葺き材の重さは、1.0m×21m巻で23.0㎏あります。
ウートップは1.5m×50m巻で16.5kgしかありません。
施工方法の違いも、その理由のひとつだと思います。
一般的な下葺き材は、野地合板に被せた後にタッカーで留め付けます。
そこら中を穴だらけにして、留めます。
でも釘穴シール性が高いので、タッカー回りの隙間から雨水が侵入する事はありません。
一方ウートップは、水上側の灰色の線(帯)から上(水上側)にしかタッカー針を留付けることができないんです。
留付けるタッカー針の本数は、かなり少なくなります。
そして、その上にウートップを被せます。
被せたら、帯部分を剥がして糊付けします。
わざわざテープを貼る事もないので、作業性も高いんです。
釘穴シール性が高くても、経年劣化の心配ってあるでしょ?
もちろんウートップも、釘穴シール性の高い下葺き材です。
ドイツ工業規格(DINEN 13111:200‐08透水抵抗性試験)に基づく性能試験に合格しています。
でも地震で建物が動けば、タッカー針の周りで穴が拡がるかもしれません。
ウートップの考え方の方が正しいと思います。
表面には、こんな印刷がされています。
写真下の灰色が、設着面の剥離紙となります。
また写真上の線が、重ね部分を示しています。
表面はすべりにくい素材になっているので、濡れても安心して載ることができます。
3層構造で、シート自体の防水性・耐久性も高いので安心できます。
-40℃~120℃という熱環境下でも、問題ありません。
ユラソール サーモHTという専用テープ共々、安心して使用できます。
ちなみにこのテープは、シートの継ぎ目に貼り付けます。
だから、あまり使う事がありません。
ドイツ屋根施工業者協会(ZVDH)の品質基準にも合格しています。
軒先部分は、こんな納まりになります。
軒先キャップの上に、下葺き材を被せる形です。
下葺き材り敷き込み、完了です。
でも、野地合板を少し濡らしてしまいました。
一般的な下葺き材であれば、問題だと思います。
野地合板に吸い込まれた雨水が、乾燥と共に蒸発します。
その水蒸気は、野地合板の上に敷き込まれた下葺き材に阻まれてしまい、結露します。
結局、野地合板を濡らすことになるんです。
でも、透湿性の高い下葺き材であれば、問題ありません。
水蒸気を透しますから、結露する事はないんです。
これで雨が降っても大丈夫!
木材を、雨濡らす心配が減りました。