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3月11日付のアセットフォー日記となります。
今日の練馬・板橋の天気は晴れ。
10年前の今日は、東日本各地で大きな地震があったんですよね。
ラジオでも、地震関連の話題で一杯です。
えっ、もう10年経ったの?
と、いう感じですよね。
東日本大震災は、私個人の生活にも少しだけ影響を与えました。
地震発生当時、私は3階建ての現場で職人達と休憩を取っていました。
外でお茶を飲みながら雑談を交わしていると、突然の揺れ!
私も職人たちも、すかさず足場を押さえました。
倒壊したら危険!
倒れないように、必死に押さえたんです。
そして冷静になり、足場から離れました。
3人位の人間が押さえた位で、倒壊を防げる訳もありません・・・。
「逃げろ~」
結局、ギシギシと鳴りながらも足場は倒壊しませんでした。
近所のマンションからは、悲鳴や赤ちゃんの泣き声!
道路上の電線が、いつまでもユラユラ揺れていました・・・。
凄い揺れでした。
その後ガソリンが入手困難となり、現場廻りを自転車で行う日が続きました。
電車も止まってしまったので、1時間掛けて自転車通勤もしました。
幸い自衛隊駐屯所が近いので、計画停電区域からは外れました。
良かった・・・。
今から思えば、たいした被害もなかったんです。
この時期、我が家の新築も行っていました。
工事がほぼ終わり、そろそろ入居しようかな?
というタイミングでの被災でした。
こちらも、ほぼ影響ナシ!
でも東電のゴタゴタで受電が出来ず、引渡しは5月のゴールデンウィークまで延びてしまいます。
地震って、怖いですよね。
被害が少なくて、本当に良かったと思います。
弊社では、以前から耐震等級3の家しか建てていません。
もちろん、その安全性は許容応力度計算で確認しています。
でも未だに、耐震等級3の家を建てないビルダーがいるんです。
信じられません・・・。
しかも、木材劣化対策を疎かにしているビルダーも多いそうです。
木材劣化対策とは、腐朽菌やシロアリ、不快害虫等の被害を総合的に防除する対策です。
一般的には、防蟻・防腐処理なんて言葉を使います。
上の棒グラフ&写真は、阪神淡路大震災の被害状況と蟻害・腐朽の有無の関係を示しています。
この調査で、全壊した建物には蟻害や腐朽菌の被害が多い事が判ったんです。
大地震に備える為には、耐震等級3と有効な木材劣化対策が必要になります。
耐震等級3は、わかりやすいでしょ?
でも有効な木材劣化対策って、どうすればいいの?
という方も多いと思います。
そこで今回は、弊社の施工をひとつの参考にして貰いたいと思います。
ここでは練馬区桜台6丁目に建つ『FPの家 Y邸』で行われた、木材劣化対策工事をご紹介します。
昨日の朝、FPパネル(2階壁分)が納品されました。
隣には、1階用の床合板も積まれています。
この時、既に建物内では高濃度ホウ酸水溶液の散布が行われていました。
工事自体は8時からスタート。
玄関先には、ポリタンクに入った水溶液がいくつも置かれ、コンプレッサーが回っています。
この水溶液、温かいんです。
温度が高い方が、ホウ酸がたくさん溶けるでしょ?
ホウ酸濃度を高めるためのテクニックらしい・・・。
ホウ酸って、ある程度の濃度でなければ効果が期待できないそうです。
だから一般的なホウ酸系防蟻剤を使った防蟻処理は、2回塗りが標準となります。
一度塗って乾いたら、翌日もう一度塗る訳です。
こうしないと充分な濃度にならない為、効き目が期待できないとの事。
取説に、ちゃんと書かれています。
ご注意下さい!
今回も2人で作業に当たってくれました。
1階。
そして2階。
柄の長い噴霧器を使って、各階一人づつ黙々と作業に当たります。
今回は、全構造材処理をお願いしました。
一般的な防蟻・防腐処理は、基礎天端から1.0mまで行います。
でも今回は、全ての構造材に高濃度のホウ酸処理を行いました。
基礎・土台(大引)・柱(通柱)・梁(胴差し)・桁・母屋・小屋束に、ホウ酸処理を行います。
屋根タルキの間には既に遮断パネルが充填されていますから、パネルの裏面と屋根タルキの小屋側にも噴霧しています。
日本建築学会で報告された、解体現場調査による蟻害状況を挙げてみました。
従来、地下シロアリと言われるヤマトシロアリ・イエシロアリは、基礎天端から1.0m程度の防蟻処理で防げると言われていました。
そして、それを根拠として防蟻処理は基礎天端から1.0m以下に行われていました。
でもこの調査で、思った以上に蟻害の範囲が広い事がわかりました。
だったら、処理範囲を広げるしかないですよね。
でも構造材全部に噴霧したら、健康被害も心配です。
当然、その心配の少ない防蟻剤を使用すべきだと思います。
その点、ホウ酸は安全です。
しかも、効果が長続きします。
合成殺虫剤のように、3~5年で効果が無くなることなんてありません。
だから弊社では、15年保証を付与しています。
でも念のため、5年おき検査は行います。
問題があれば、この時に対応出来るので安心でしょ?
もちろん、検査料および再施工費は戴きません。
処理後の床合板を撮ってみました。
びしょ濡れです。
これが乾くと、こうなります。
白い粉が、ホウ酸です。
全ての構造材が、こんな感じになっています。
午前11時、荷揚げ屋さんが2名来てくれました。
FPパネルを2階に揚げてもらいます。
そして、1階に床合板を入れてもらいます。
1時間弱で、荷揚げ完了。
早速、パネルの木口・小端・裏表にもホウ酸を噴霧しました。
これを待つようにして、1階壁用のFPパネル&1階床用のFPパネルが運ばれてきました。
床合板への噴霧が終わるのを待って、搬入しました。
パネルへの噴霧も完了!
手で触ると、真っ白になっちゃうんですよね・・・。
間仕切り壁用の間柱や、破風下地、天井用の野縁にも噴霧しました。
筋交だって、この通り・・・。
雨に濡れると、流れてしまうのがホウ酸の最大の弱点です。
だから、雨養生をしっかりと行います。
外から見ると、こんな感じです。
中の様子も見えません・・・。
冬はいいんですが、春は風が強いから神経を使います。
バタバタ音がクレームになるんです。
また、夏は風が入らず暑くなります。
ひたすら我慢するしかありません・・・。
こんな施工もしています。
基礎を貫通する配管の周りには、ホウ酸の入ったパテを充填します。
立ち上がりコンクリートと耐圧盤の間にある『巾止め金具』の周りも同様です。
玄関土間の周囲にも、ホウ酸入りシーリングを充填します。
こうした部位からの、シロアリの侵入って意外と多いんです。
防蟻剤を塗布してオシマイ!ではありません。
この他、建築側で行う劣化対策工事も多々あります。
でも、ここでは書きません。
時期が来たら、ご紹介するつもりです。
今朝の現場は、こんな感じでした。
まずは1階。
そして2階です。
ホウ酸がたっぷり塗られたFPパネルが置かれ、邪魔で仕方ありません。
とにかく早く片付けないと・・・。
という事で、これから柱間に入れていきます。
早速、1階土台間に床パネルを充填してみました。
2階柱間には、壁パネルを充填しています。
全てのパネルを充填するのに、3日ほど掛かる予定です。
雨に濡らさない!
これが、結構大変なんですよね・・・。