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たまには、合板の話を書きたいと思います。
合板は木材を原材料としているので、木材同様にカビによる変色や木材腐朽菌による腐食、シロアリなど昆虫による食害の可能性があります。
特にラワン合板で問題となるのが、ヒラタキクイムシによる虫害です。
最近あまり聞きませんよね?
私自身、過去に2件しか経験していません。
ヒラタキクイムシは日本をはじめ世界中にいる虫で、澱粉量の多い乾いた木材に好んで産卵し、木材中で卵から孵った幼虫が木材を食い荒らします。
夏から秋に成虫が産卵し、幼虫は春にかけて木材を食べ続け、やがて蛹になり、春から初夏に成虫となって木材表面に小さな穴を明けて外に飛び出します。
合板の表面に小さな穴がポツポツ空いている。
その穴からたくさんの白い粉が吹き出している。
このような現象がヒラタキクイムシによる被害の兆候です。
合板は、製造段階で高温処理をします。
単板乾燥工程で150~175℃、接着硬化工程で100~130℃という温度に達するので、原木丸太や単板に虫がいても、これらの加熱工程で完全に死んでしまうと考えられています。
しかしヒラタキクイムシ成虫が工場や倉庫内にいると、合板の製造から出荷までの合間に合板に産卵する可能性があります。
従って、合板を造作用途に使う場合には防虫処理を施すことが必要となります。
合板の現行JAS規格では、『ホウ素化合物』『フェニトロチオン』『ビフェントリン』『シフェノトリン』の使用が認められているそうです。
ホウ素化合物であれば単板処理法、フェニトロチオン・ビフェントリン・シフェノトリンであれば接着剤混入処理法により防虫処理が行われます。
ホウ素化合物は心配ありませんが、その他の合成殺虫剤の使用は心配ですよね?
また腐朽菌やシロアリに対する薬剤処理も必要となります。
でも防腐・防蟻処理合板はJAS規格にはないそうです。
(財)日本住宅・木材技術センターが行っている優良木質建材等認証事業である『AQ認証』にはあるようです。
合板への薬剤処理方法としては、加圧注入法・単板処理法および接着剤混入処理があり、財)日本住宅・木材技術センターの品質性能評価基準に定める薬剤で処理を行わなければなりません。
上記の表を見ると、毎度お馴染みの薬剤が並んでいます。
やっぱり、接着剤混入処理法に使われる薬剤が心配です。
合成殺虫剤って、揮発するでしょ?
当然効果は持続しません。
揮発した成分を吸ってしまえば、人体への影響もあるでしょう。
合板建材の仕上げへの使用は、避けるべきだと思います。
床板・階段・造作材、室内建具や内装材。
数え上げれば、たくさんの製品が流通しています。
表面にきれいなシートが貼られています。
このシートが有害物質を放散する場合もあります。
使用される接着剤だって、微量とはいえ危険です。
無垢材もしくは集成材の使用をお勧めする理由です。
下地材としての使用であれば、致し方ないと思います。
今の時代、合板を利用しない耐震化は難しいと思いますし・・・。
但し、計画換気が機能している事が大前提となります。
揮発した有害成分を早期に排出しなければなりません。
「24時間換気が義務付けられているから大丈夫!」
残念ながら、この考えは極めて危険です。
24時間換気の設置=24時間換気が行われている
という考えは間違いです。
設計そのものが間違っている場合もあるし、施工が間違っている場合もあります。
お引渡し前に全ての部屋で換気風量を測定し、換気が行われている事を確認する事をお勧めします。
合板って便利だけど、やはり健康被害が心配ですから。