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連休中に読んだ本をご紹介します。
どちらも同じ方が書いています。
林知行という方です。
日刊木材新聞社 刊
いまさら人には聞けない木のはなし
そして、その続編にあたる
新・いまさら人には聞けない木のはなし
木材業界の川上から川下までに関係している方を対象とした、木材と樹木に関するお話が満載の本です。
私自身は工務店のオヤジですから、川下に当たります。
川上は林業関係者や製材関係者でしょうか?
川上の話なんて、ほとんど知りません。
その話が、とにかく楽しいんです。
しかも『目からウロコ』状態。
1話1話が短く、難しい内容を避けていて、とても読みやすい本だと思います。
少しだけ、抜粋してみます。
1冊目の66頁、その20『人は死んだらどうなるのか』の一部となります。
我々が「なぜ木を伐って使わなければならないのか」を説明するときには、森林の二酸化炭素(Co2)吸収能力や木材製品の炭素固定能力を強調するのが普通である。
増大する空気中のCo2を無公害的に吸収・固定できるのは森林・木材だけであるから、「木材を上手に使おう」というのが、その論理である。
この理論は明快で、素人にも分かりやすい。
しかし、話の大前提である「地球の炭素循環」について、我々が十分理解しているかというと、ちょっと疑問である。
世界中の生きとし生けるものが炭素循環の輪の中にあること、そして空気中のCo2が無くなれば、生物界自体が地球上から消失することなどは、ほとんど認識されていないように思われる。
そこで今回は「人間の死」を切り口にして、炭素循環について解説することにしたい。
皆さんは「人の体に炭素原子が何個あるのか?」という質問に答えられるであろうか。
化学に強い方でなくても「炭素は原子量が12だから、12グラムで1アボガドロ数個ある」ということを覚えておられるかもしれない。
念のために書いておくと、アボガドロ数とは約6.02×10の23乗個である。
つまり、602,000,000,000,000,000,000,000個である。
これだけ天文学的な数の炭素原子がわずか12gの中に存在するのである。
当然、人体に含まれる炭素の数はこの数百倍になる。
人間の体重の18%が炭素であるから、例えば体重50kgの人なら、9㎏が炭素である。
9㎏というと12gの750倍に相当するから、この人の体内には
750×602,000,000,000,000,000,000,000個の炭素が存在することになる。
さて、これだけの数の炭素が人体から一気に空気中に出ていく状況というと、もちろん、人が「火葬」される場合である。
この人が火葬されると、人体を構成していた炭素(以降、炭素【人】と表現する)が、二酸化炭素となって空気中にばらまかれる。
まさに、数え切れない炭素が世界中に拡散していくのである。
立命館大学の安斎育郎教授の計算に基づくと、体重50kgの人の炭素【人】が空気中にくまなく拡散したとすると、1リットルの空気中に、炭素【人】が約8万8,000個も存在することになる。
この数をみると、途方もないホラ話のように思われるが、これは単純な計算から導かれる科学的な事実である。
全くの私見であるが、、筆者は2008年の9月27日に母を亡くした。
母の遺体は翌日、大阪の斎場で火葬された。
母の体を構成していた炭素【人】は、上で説明したように、火葬されている間に空気中に拡散したはずである。
そのうちのどれくらいが植物や水などに吸収・吸着されたのか、また二酸化炭素の拡散速度がどれくらいであったのかは不明であるが、かなり時間が経過しているので、つくばに住む私の回りにも炭素【母】が拡散しているはずである。
20年前に他界した父親の炭素【父】も、何かに吸収されて数は減ったかもしれないが、私の回りにいるはずである。
もちろん、炭素【父】は炭素【穀物】を経由して私の体の一部になっている可能性も高い。
その一部はすでに呼吸とともに私の体から出ていったかもしれない。
いずれにしても、父や母の体はこの世から消えてしまったが、炭素【父】も炭素【母】も私のそばに存在してくれているのである。
なんと心強いことであろうか。
もちろん、このことは私だけに限った話ではない。
ご両親を無くされている読者の皆さんすべてに当てはまる話である。
いわゆる転生輪廻も、上に述べた炭素循環の原理から簡単に理解できる。
炭素【人】は死んで空気中に飛散し、それが光合成によって植物に吸収される。
つまり、炭素【人】は炭素【植物】に生まれ変わるのである。
もちろん、炭素【穀物】のように動物に食べられることによって炭素【動物】に生まれ変わるものもある。
また、炭素【草食動物】が炭素【肉食動物】に変わることもある。
さらに、炭素【木材】のように長期間固定された後に元の循環の輪の中に戻っていくものもある。
炭素はまさに「輪廻して転生している」のである。
このように科学的な視点から炭素循環について考えると、色々と面白いことが分かるようになる。
話をもっと広げていきたいところであるが、このあたりで締めておきたい。
「科学の話であっても、つきつめていくと、哲学や宗教に行き着く」ことをご理解いただければ幸いである。
いかがでしたか?
中々でしょ?
私自身は、この章を読んで、「人間も地球環境のとつである」ことを改めて思い知らされた思いでした。
人間の人体活動に伴う二酸化炭素量を減らすことはほぼ出来ません。
でも、生活における二酸化炭素量を減らすもしくは増やさないことは十分可能です。
木材を活用するのも、そのひとつなんです。
活用するためには、森林を健全に運営しなければなりません。
そのためには、川上から川下まで、全ての関係者が一丸となって様々な障害と戦うしかありません。
戦わなかった結果が、今回の『ウッドショック』を生んでしまいました。
この辺りの背景も、本の中に散見出来ます・・・。
機会があれば、みなさんもご一読ください。
すぐに読み終わると思います。
posted by Asset Red
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