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今日は水曜日、アセットフォーの定休日です。
家でのんびりと身体を休めたいと思います。
でも、現場では作業が行われています。
例えば、板橋区蓮根に建つ『FPの家 I邸』では『木材劣化対策工事』を実施中。
木材劣化対策工事?という方も多いと思います。
一般的には『防蟻・防腐処理』という言葉が使われています。
つまり、シロアリや木材腐朽菌から建物の木部を守るための処理を行う訳です。
どんな処理を行うと思いますか?
例えば、GLから1.0m以下にある木部に『合成殺虫剤』を塗布もしくは噴霧します。
合成殺虫剤?
殺虫剤の目的は、昆虫の基本的な生理的生存機能を働かなくすることで昆虫を死滅させることにあります。
どう死滅させるか?
昆虫のもつ、どの性質を利用するか?
これらによって、数種類の殺虫剤を使い分けているようです。
その中には『天然』のものもあれば『科学的に合成』されたものもあります。
代表的ないくつかを挙げてみましょう。
1.神経系阻害剤
①有機リン系化合物
②カルバミド化合物
③ピレスロイド系殺虫剤
④ネオニコチノイド系殺虫剤
⑤ネライストキシン系殺虫剤
2.呼吸阻害剤
①トルフェンピラド
②ピロール系
③マクロライド系
この他にも、昆虫生長制御剤神経系阻害剤・微生物殺虫剤などもあるそうです。
色々あるけど、簡単に言えば次の2つに大別されます。
食べたり触れたりすると死ぬタイプ
近づきたくなくなるタイプ
これらは有機物です。
殺虫成分が揮発するため、匂いもあり、人の健康にも害を及ぼします。
また化学物質過敏症・シックハウス症候群の原因にもなるため、高気密高断熱住宅の防蟻対策としては使用できません。
そもそも合成殺虫剤は発生した虫を殺すことを目的とした薬剤なんです。
これを建物に塗布もしくは噴霧する事で、食害を防ぐことは出来ますが、揮発すれば効果はなくなります。
そもそも殺虫剤であれば、噴霧後に効果が無くなっても問題ないでしょ?
でも防蟻対策であれば、効果が続いてくれないと困ります。
どの位の期間で揮発すると思いますか?
3~5年で揮発するそうです。
揮発したら、どうなるの?
効果が無くなる訳ですから、食害の危険性が高まります。
よって、3~5年で再処理が必要となります。
でも、これらの薬剤は有害です。
合成物だから有害、天然物なら安心という訳ではありません。
天然のものであっても、有害なものはあります。
そもそもシロアリや木材腐朽菌だけに効いて、人体に効かないモノなんて存在しないんです。
弊社が利用する『高濃度ホウ酸』だって同じです。
ホウ酸を口にしたシロアリは、腸内に棲む『木材繊維を栄養化する菌』を殺してしまいます。
この菌が死んでしまえば、シロアリは木材を食べても栄養化出来ません。
餓死することになります。
巣の中に持ち帰られたホウ酸は、他のシロアリの足に付着します。
足をきれいに舐める習性をもつシロアリは、ホウ酸を舐めてしまい死んでしまいます。
こうして巣全体のシロアリが餓死する事になります。
でも人間には昆虫にはない『腎臓』があります。
大量のホウ酸を経口摂取すれば有害ですが、腎臓の働きで尿から体外に排出することができます。
一方、腎臓を持たない昆虫は、ホウ酸を排出することができません。
ゴキブリやゲジゲジ・ムカデ等の不快害虫も同様に、ホウ酸を排出することが出来ません。
口にすれば、体内の硝酸濃度が高まり代謝がストップ!
死に至ります。
シロアリ・木材腐朽菌・不快害虫には害を与えるけど、人体に与える影響は少ない!
これが、ホウ酸です。
でも、濃度の薄いホウ酸は効果が期待出来ません。
対象となる生物と、それに対する毒性閾値を挙げてみました。
この濃度を超えていなければ、効果は期待出来ないんです。
また濃度の高いホウ酸を噴霧しても、雨に当たれば流れて効果がなくなります。
つまり用法・用量を正しく扱わなければ、意味がないんです。
木材劣化対策工事とは、木材腐朽菌・シロアリ・不快害虫による被害を総合的に防止する対策を行う工事です。
重層的に、様々な対策を実施します。
えっ、そこまでやるの?
なんて言われることも多々あります。
どんな対策を行っていると思いますか?
例えば、GLから1.0m以上の木部にもホウ酸を噴霧します。
上図を見ればわかりますが、シロアリの被害って高い場所でも結構発生しているんです。
シロアリは、「建築基準法で定められているから、GLから1.0m以上の木材を齧るのはやめよう!」なんて思ってくれないんです。
他にも、あります。
でも、ここでは書きません。
別の機会に書きたいと思います。
その日が来るのを楽しみに、お待ちください・・・。