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先日、現場にて質問を受けました。
ご近所の方ではありません。
いつも、お世話になっている基礎屋さんの若い衆からだったんです。
「薪ストーブを使うのって、環境に優しいんですか?」
なにやら不満げな顔をしています。
薪の使用は、森林資源の枯渇に繋がります。
そもそも、薪を燃やせば二酸化炭素が出るでしょ!
これって、脱炭素とは逆の結果になるのでは?
と、云う事のようですね。
確かに一理あります。
でも、ちゃんと理由があるんです。
10分ほどの立ち話でしたが、要点を伝えました。
納得してくれたと思います。
今回は、有識者の意見も含めて、コレを書きたいと思います。
例えば、林知行氏は著書『今さら人には聞けない木のはなし』の中で、こんな事を言っています。
時代の大きな変化によって、行政施策の方向性が大転換するのはよくある話である。現在林産行政関係では、国産材の需要を「いかに拡大するか」が課題となっているが、昭和20年代後半には「いかに抑制するか」が最大の課題であった。
(中略)
当時どのようなことが行われていたのかを、職場の大先輩である故小倉武夫氏の著書(空を飛んだ木)から要約してみると、次のようになる。
まず、当時の日本林業を取り巻く情勢として、戦時中の過乱伐によって森林資源が減少していたにも関わらず、住宅用・薪炭用としての木材需要は大きなままで、供給量が絶対的に不足していたことが挙げられる。そのままの状況で推移すれば、森林資源が枯渇し、国土がさらに荒廃するのは明らかであった。
このため、林野庁林産課と林業試験場木材部が中心となって、当時の経済安定本部とも連絡を取りながら、昭和25年12月に相寄り協議した結果、①木材利用合理化協議会の名称の下で、木材利用の合理化(木材を使わないようにすること)を促進する、②協議会には主たる木材需要主務官庁が各々主体となって専門分科会をつくる、③専門分科会ごとに普及促進を行うことなどが申し合わされた。
翌26年3月には、木材利用合理化協議会の構想がまとまり、各官庁における担当が建築(建設省)、杭木(資源庁)、包装木箱・パルプ・家具(通産省)、防腐(運輸省)、車両(国鉄・通産省)、造船(運輸省)などと決められた。
専門分科会では、代替資源の利用(鉄筋コンクリート造の促進、木炭から他の燃料への転換など)、木材消費の節約(段ボールの利用、クレオソートの増産、古紙の回収など)、樹種の転換(広葉樹や廃材のパルプ化)、需給調整(不急もしくは代替可能の部門に対する使用制限措置)などの方針が打ち合わされた。
このような経緯を経て、昭和30年1月には「木材資源利用合理化方策」が閣議決定された。閣議決定とは、全大臣合意のもとに決定される政府(行政)全体の合意事項であるから、これにより、国を挙げて「木材を使わないようにすること」が行政の大方針となったわけである。
いかがでしたか?
この流れを汲んで、木材を利用することは悪い事だ!
森林資源の枯渇を助長し、環境破壊を招く。
という『木材利用悪者論』が幅を利かせるようになったようです。
例えば、割り箸を使うのはエコじゃない!という人もいます。
喧々諤々、色々な意見が交わされているようですね。
私自身は、割り箸を殊更悪く言うつもりもありません。
マイ箸を使い、合成洗剤を使わないようにするのも立派な事だと思います。
でも実際には、森林を維持するためには適度に伐採する事が重要である事。
伐採しなければ、森林が本来の働きを果たせない事など、語られていない真実がいくつもあるんですよね。
これを知れば、森林資源の有効活用が重要だという事をご理解戴けると思います。
この点については、改めて書きたいと思います。
この本、2010年の6月に刊行されています。
この頃から既に問題提起されていた事に驚きます。
そして、そのゴタゴタが、未だに尾を引いている・・・。
日本って、本当に動きが鈍いと思いませんか?
薪を使うから良い訳ではありません。
薪を有意義かつ効果的に使えるしくみが、当たり前になっている世の中。
また、その価値が充分に広まっている世の中こそが、環境配慮に繋がると思います。
posted by Asset Red
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