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先日の拙ブログの続きです。
現場で基礎屋の若い衆に質問を受けました。
「薪ストーブを使うのって、環境に優しいんですか?」
薪の使用は、森林資源の枯渇に繋がります。
そもそも、薪を燃やせば二酸化炭素が出るでしょ!
これって、脱炭素とは逆の結果になるのでは?
この質問に対する解答を書いてみようと思いました。
その第2弾となります。
そもそも薪は樹木を伐採して作ります。
そこで樹木の環境貢献について、知っていただきたいと思います。
ご存知のように、樹木は光合成により酸素を産み出します。
そして空気中のCo2を吸収。
炭素化合物に変化させ、体内に蓄積しながら育ちます。
これを『炭素蓄積』といいますが、Co2吸収力は樹木の成長とともに衰えてしまいます。
スギの場合を例にとって説明してみましょう。
1ヘクタールあたりの本数は900本とします。
ここに蓄えられる炭素の量は約170トン。
これをCo2に換算すると、1年に取り込む量は1本当たり約14キログラムになります。
大人1人が吐き出すCo2は年間320キログラムですから、スギ23本分に当たります。
ちなみに1世帯当たりのCo2排出量は年間6500キログラムですから、460本分に相当・・・。
でも成長するにしたがって、1年に蓄積できる量は減っていきます。
例えば樹齢80年のスギのそれは、20年のスギの4分の1以下です。(参考:毎日新聞2002年05月14日)
だからこそ歳取った樹木は計画的に伐採し、若木を植える事は『Co2吸収力の高い森林』を育てることに繋がります。
この時に伐採された樹木を利用しない手はないでしょ?
問題は、どう利用するかだと思います。
例えば、木材に加工して住宅建設や家具の材料として利用する。
薪にして燃料にするというのも、アリですよね?
でも薪にして燃やしてしまえば、樹木に固定化されたCo2は空気中に排出されることになります。
えっ、ダメじゃん!
そう思った方もいるのでは?
大丈夫なんです。
そのCo2を吸って樹木が育ちますから・・・。
森林の育成が出来ていれば、こうしたサイクルができあがっているので、結果的に地球上のCo2量は変わりません。
これを『カーボンニュートラル』なんて言ったりします。
また樹木は加工され『木材』になっても、炭素蓄積(炭素固定)されたたまま、保ち続ける事が出来ます。
だったら、家具や家にした方が良いでしょ?
そして50年・100年と住み続けることが出来れば、Co2をその間、固定化し続けることが出来るんです。
この段階で、再利用出来なかった木材があれば、その時は薪にして燃やせばいいと思います。
前回、割り箸の是非について触れませんでした。
原料の木材に何が使われているのか?
これが重要だと思います。
森林の育成には間伐という作業が必須です。
ここで発生するのが間伐材という小径樹木です。
例えば、これを羽柄材や杭材に加工して利用します。
残った端材を割り箸に使うのはGOODでしょ?
また使い終わった割り箸は、薪として利用する事も出来ます。
腐朽菌の力を借りて、肥料にするのもGOODだと思います。
樹木の回りに置いておけば、シロアリや腐朽菌が肥料にしてくれます。
洗剤で洗って使い回すという手もありますが、流した洗剤が河川や海を汚す可能性も考えなくてはいけません。
マイ箸の利用についても、この点が気掛かりだったりします。
環境保護って、奥が深いんです・・・。
でも木の家に住むという行為は、『家を通じた炭素蓄積』と『森林のCo2吸収力促進』の2点において、地球温暖化防止に貢献できるんです。
樹木は伐ってもまた芽吹き、大きく育ちます。
つまり半永久的に再生を繰り返すことができる、持続可能な資源なんです。
しかも、林業・製材業・製造業等の雇用を地元に生み出す事が出来ます。
一方、石炭や石油・ガスなどの化石燃料を燃やせば大量のCo2を排出し、地球温暖化を引き起こします。
決して持続可能な資源ではありません。
これらを買おうとすれば、お金は国外に流れるばかり・・・。
地元に雇用を生み出すことはありません。
かなりスケールの大きい話になってしまいました。
そろそろ話をまとめたいと思います。
薪は省Co2に繋がると思います。
そして必ずしも、環境破壊に繋がりません。
省エネかどうかは、微妙です。
薪を使うから良い、という訳ではないからです。
どんな薪を使うのか?
その薪をどう利用するかのか?
それが、重要だと思います。
薪を有意義かつ効果的に使えるしくみが、当たり前になっている世の中。
また、その価値が充分に広まっている世の中こそが、環境配慮に繋がると思います。
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