最近は、重機を使わない建て方が当たり前になってきました。

建て方って、長くて太い梁を柱の上に載せなければなりません。

長くて太い梁って、重いんです。

例えば米松の場合、その重さは500kg/㎥になります。

巾105mm×高さ360mm×長さ6000mmの梁の体積は0.2268㎥ですから、その重さは113.4kgになる訳です。

こんなのを人力で持ち上げるのは大変でしょ

だから、一般的には重機を利用します。

ラフターとか、ポターンと云われる重機です。

弊社であれば、ポターンとかドラゴンと言われる電動クレーンを使います。

狭小地が多いので、めったに利用できませんが・・・。

最近は、手揚げばかりの気がします。

重い梁を人力で揚げなければならないんです・・・。

それって、かなりブラックでしょ

だから弊社では、ガータークレーンを使います。

色々とデメリットはあるけれど、手揚げよりは相当マシだと思います。

でもガータークレーンって、あまりメジャーではないそうです。

意外と知らない方が多いんですよね。

そこで今回は、ガータークレーンについて、書こうと思います。

クレーンはわかりますよね

そう、クレーンゲームのクレーンです。

でも、ガーターはわからないと思います。

ガーターとは、桁の事らしい・・・。

写真を見ると、一番上の布(足場の横材)の下にレール状の金属があるでしょ

これが『ガーターレール』です。

足場に固定するレールです。

そして、レールに直交する形でビーム(梁)がセットされています。

ビームの両端には滑車が付いていて、滑車はガーターレールの中を転がる仕組みになっています。

ちなみにガーターレールは、足場の長手方向に取り付けられます。

そしてビームは、短手方向に取り付けられます。

かなり滑りの良い滑車なんでしょうね、ビームは割と簡単に動かすことが出来ます。

そしてビームには、電動ウィンチがぶら下がっています。

電動ウィンチとは、電気でワイヤーを巻き上げたり巻き下げたりできる装置です。

これがビームに沿って行ったり来たり出来るようになっているので、結果的に電動ウィンチは足場内であれば、どこにでも動かす事が可能です。

ちなみに、こんなリモコンでウィンチをコントロール出来ます。

ウィンチに玉掛けのついたワイヤーを下げ、これで梁を掴みます。

リモコンを押せば、重たい梁も簡単に持ち上げる事が可能です。

でも、水平移動は人力なんです。

そして梁を目的地まで運んだら、リモコンを操作して梁を降ろします。

安全だし、楽チンでしょ

便利なガータークレーンのデメリットも書いておきます。

①足場内でしか使えません。

その為、持ち上げたい物は必ず足場内に運び入れる必要があります。

手で揚げるか、ユニックで揚げるかの2択になります。

②足場にガーターレールを取付けるため、最上階では利用できません。

足場って、せいぜい小屋梁の1m程度までしかないんです。

先程の写真を見てわかるように、一番上の布よりも更に下に取り付けるのがルールらしい・・・。

そこにビームを取付け、電動ウィンチをぶら下げ、玉掛けを使おうとすれば、梁は最上階の床から数十cm程度上になります。

結局、最上階の小屋梁と母屋・棟木は手揚げになるんです。

でも、こうした梁は太くありません。

手揚げで十分事足りるんです。

③設置および解体に時間が掛かります。

建て方が終わり、せっせとガータークレーンを撤去しているのを見ていると、少しだけ切なくなります。

ありがとう、お疲れ様でした・・・。

と言わずには、いられません。

④200kg以下の梁しか揚げられません。

太くて長いLVL梁の場合は、人力と電動ウィンチが協力しなければ揚げられないこともあるんです・・・。

重機が利用出来る場合に使いたいとは思いません。

でも手揚げしかできない場合には、とても頼りになる味方だと思います。

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