結露による野地板の劣化に関する疑問

弊社では、遮熱通気層を設けた屋根断熱を標準施工にしています。

でも、この工法を昔から採用していた訳ではありません。

おそらく、2001年頃から採用したと思われます。

でも、その前から屋根に通気層を設けていました。

具体的に言えば、屋根タルキ間に発プラ系断熱材を充填し、断熱材と野地板の間に30mm程度の通気層を設けていたんです。

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ちなみに軒裏及び換気棟からの吸排気量は、一般的な基準を2割ほど割増しした程度でした。

当時は彩色スレート+改質アスファルトルーフィングが主流。

これを針葉樹合板の上に葺いていました。

屋根材と下葺き材の間の湿気なんて、全く考慮していません・・・。

近頃、色々な所で『結露による野地板の劣化』という話を見聞きするでしょ

そのたびに心配になるんです。

弊社が過去に建てた建物、大丈夫かな

でもOB宅における結露による野地板の劣化は、今のところ、ほぼ確認されていないんです。

屋根材の葺き替え等で、何件も野地板の状況を確認する機会を戴きました。

でも幸いな事に、野地板の健康状態は極めて良好のようです。

見た目も触った感じも、異常ありません

先程、『ほぼ』と書きました。

そう、100%ではないんです。

実は、1軒だけ問題のある建物があったからです。

その建物は、築23年の2階建て住宅でした。

屋根形状も、それほど複雑な訳ではありません。

基本、南北に棟をもつ切妻屋根ですが、北側斜線を避けるために、一部が寄棟になっています。

ちなみに現在の屋根通気工法ではなく、以前の工法で建てていました。

この寄棟に問題が発生しました。

結露による野地板の劣化があったんです。

きっかけは、外観の異常でした。

隅棟が、真っすぐではなく波打っている気がする。

点検してくれないか。

目視確認してみると、確かに波打っています。

OB様にお願いして、復旧を前提に原因把握の為の解体工事をさせて戴きました。

もちろん、無償工事です。

屋根材&下葺き材を剥がすと、野地合板が黒く変色していました。

そして合板を剥がすと、屋根タルキの一部が腐っていました。

下葺き材はきれいなままなのに、野地合板から下が劣化している訳です。

明らかに、結露ですよね・・・。

原因はすぐにわかりました。

隅棟部分で、通気層が塞がっていたんです。

現行仕様の施工マニュアルの一部を抜粋しました。

隅棟と断熱材および屋根タルキの取合い部分について、書かれています。

ここにある『通気用カット』が施工されていませんでした。

そのため、タルキと隅木で3方を塞がれた形で、湿った空気が滞留していたと思われます。

夜になれば、屋根の温度は下がります。

湿った空気は簡単に結露します。

そして結露水はタルキと断熱材の上に溜まり、タルキを腐らせた訳です。

情けない話です。

でもこれって、明らかな施工ミス。

きちんと通気層が繋がっていれば、こんな事態は防げていた筈。

だって、施工ミスのない建物については何の問題も発生していないんですから・・・。

最近は、良い製品があるんですよね。

簡単に確実に寄棟部分の屋根通気を取ることが出来ます。

さっそく、標準施工に採用させて戴きました

 

この件は、無事完了しています。

屋根における通気層の重要性を痛感した一件でした。

OB様には迷惑を掛けてしまいましたが、良い勉強が出来たと思っています。

 

ここで、私のかねてからの疑問を書きたいと思います。

屋根材と下葺き材の間の通気層って、絶対必要なのかな

小屋裏の湿気を含んだ空気が、野地板と下葺き材の間で結露して、野地板を劣化させる

だから下葺き材は、透湿タイプにすべき

でも透湿ルーフィングを透過した水蒸気は、屋根材との間で結露するのでは

だったら、屋根材と下葺き材の間にも通気層を設ければいいじゃん

こうすれば、湿った空気を棟換気から排出する事が出来ますから。

これが、必要な理由ですよね。

この理屈はわかるんです。

だから可能な限り、実現したいと思います。

でも野地板の下の通気層が機能していれば、野地板を水蒸気が透過する事って少ないんじゃないの

せいぜい合板同士の隙間から逃げる程度では

下葺き材の上が高湿な時は、この隙間から低湿な野地合板側に水蒸気が移動するだろうし・・・。

隙間が悪いというなら、隙間をテープ処理すれば問題ないと思います。

でも屋根施工の前に、野地板が雨水で濡れることもあるでしょ

水分を含んだ野地板が吐き出す水蒸気が、下葺き材で邪魔されて乾燥しにくいのでは

透湿ルーフィングなら、乾くでしょ。

そういった意味で、透湿ルーフィングの優位性は感じています。

だから、ウルトの透湿ルーフィングを標準採用しました。

でも屋根と下葺き材の間の湿気滞留って、心配するほどなの

そんな思いもあって相変わらず、下葺き材と屋根材の間の通気層は無いままなんです。

どうにかしないとなぁー。

やっぱり通気層あった方がいいのかな

でも、コスト上がるんだよなぁー。

相変わらず、堂々巡りです。

しかも現実には、下葺き材の上の通気層がない建物では結露による野地板の劣化は認められていません。

もちろん、通気工法を採用している弊社の建物の話ですが・・・。

瓦桟の必要な屋根だったら悩まなくても済むのに・・・。

だって桟木の厚さ分だけ、通気層が確保出来るでしょ

でも屋根の重量増や屋根厚増による、諸問題が発生します。

耐震等級3を取得するための耐力壁が増えるとか、斜線を避ける為に屋根を下げるという問題です。

狭小地が多い弊社の場合、コレかなり厳しいんです。

下葺き材の釘穴シール性も気掛かりです。

瓦桟越しに釘を留める方が、絶対釘穴回りからの漏水が少ないでしょ

 

ウルトの透湿ルーフィングの防水性能『水をまったく通さない』も、『瓦桟を通しての釘打ち』の結果なんですよね。

何か良い案ないのかな

誰か、アドバイスくれませんか

救いの神からのメール待っています。

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