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興味深い話を見つけたので、抜粋してみたいと思います。
日刊木材新聞社刊
今さら人には聞けない木のはなし
林智行 著
その20 人は死んだらどうなるのか
という話です。
我々が「なぜ木を伐って使わなければならないのか」を説明するときには、森林の二酸化炭素吸収能力や木材製品の炭素固定能力を強調するのが普通である。
増大する空気中のCO2を無公害的に吸収固定できるのは森林・木材だけであるから、「木材を上手に使おう」というのが、その論理である。
この論理は明快で、素人にも分かりやすい。
しかし、話の大前提である「地球上の炭素循環」について、我々が十分理解しているかというと、ちょっと疑問である。
世界中の生きとし生けるものが炭素循環の輪の中にあること、そして空気中のCO2が無くなれば、生物界自体が地球上から消失することなどは、ほとんど認識されていないように思われる。
そこで今回は「人間の死」を切り口にして、炭素循環について解説することにしたい。
皆さんは、「人の体に炭素原子が何個あるのか?」という質問に答えられるであろうか。
化学に強い方でなくても「炭素は原子量が12だから、12gで1アボガドロ数個ある」ということを覚えておられるかもしれない。
念のために書いておくと、アボガドロ数とは、約6.02×10の23乗個である。
つまり、602,000,000,000,000,000,000,000個である。
これだけ天文学的な数の炭素原子がわずか12gの中に存在するのである。
当然、人体に含まれる炭素の数はこの数百倍になる。
人間の体重の18%が炭素であるから、例えば体重50kgの人なら、9㎏が炭素である。
9㎏というと12gの750倍に相当するから
この人の体内には750×602,000,000,000,000,000,000,000個の
炭素が存在することになる。
さて、これだけの数の炭素が人体から一気に空気中に出て行く状況というと、もちろん、人が「火葬」される場合である。
この人が火葬されると、人体を構成していた炭素(以降、炭素【人】と表現する)が、CO2となって空気中にばらまかれる。
まさに、数え切れない炭素が世界中に拡散していくのである。
立命館大学の安斎育郎教授の計算に基づくと、体重50kgの人の炭素【人】が地球の空気中にくまなく拡散したとすると、1ℓの空気中に、炭素【人】が約8万8,000個も存在することになる。
この数を見ると、途方もないホラ話のように思われるが、これは単純な計算から導かれる科学的な事実である。
全くの私事であるが、筆者は2008年の9月27日に母を亡くした。
母の遺体は翌日、大阪の斎場で火葬された。
母の体を構成していた炭素【人】は、上で説明したように、火葬されている間に空気中に拡散したはずである。
そのうちのどれくらいが植物や水などに吸収・吸着されたのか、またCO2の拡散速度がどれくらいであったのかは不明であるが、かなり時間が経過しているので、つくばに住む私の回りにも炭素【母】が拡散してきているはずである。
20年前に他界した父親の炭素【父】も、何かに吸収されて数は減ったかもしれないが、私の回りに存在しているはずである。
もちろん、炭素【父】は炭素【穀物】を経由して私の体の一部になっている可能性も高い。
その一部はすでに呼吸とともに私の体から出て行ったかもしれない。
いずれにしても、父や母の体はこの世から消えてしまったが、炭素【父】も炭素【母】も私のそばに存在してくれているのである。
なんと心強いことであろうか。
もちろん、このことは私だけに限った話ではない。
ご両親を亡くされている読者の皆さんすべてに当てはまる話である。
いわゆる輪廻転生も、上に述べた炭素循環の原理から簡単に理解できる。
炭素【人】は死んで空中に拡散し、それが光合成によって植物に吸収される。
つまり、炭素【人】は炭素【植物】に生まれ変わるのである。
もちろん、炭素【穀物】のように動物に食べられることによって炭素【動物】に生まれ変わるものもある。
また、炭素【草食動物】が炭素【肉食動物】に変わることもある。
さらに、炭素【木材】のように長期間固定された後に元の循環の輪の中に戻っていくものもある。
炭素は、まさに「輪廻して転生している」のである。
このように科学的な視点から炭素循環について考えると、色々と面白いことが分かるようになる。
話をもっと広げていきたいところであるが、このあたりで締めておきたい。
「科学の話であっても、つきつめていくと、哲学や宗教に行き着く」ことをご理解いただければ幸いである。
どうですか?
私も木材利用が地球温暖化の抑制に効果的という話をよくします。
でも、地球上の至るところに炭素は固定されているんですよね。
紙しかり、プラスチックしかり。
燃やすと炭になるモノには、炭素が固定されているんですから・・・。
ひとつのモノを長く使えば、温暖化抑制に繫がる訳なんです。
だから、人もより長生きするほど温暖化防止に役立ちそうです。
でも樹木と違い、呼吸するたびにCO2を吐き出しますよね?
役立つのかな?
役立たないのかな?
どっちなんだろう?
少なくても、昔の地球は問題無かったんです。
人類が増え、贅沢な生活を送った結果が、地球をダメにしようとしています。
増えすぎた人口を元に戻すことは難しいと思います。
せめて、贅沢な生活(増エネな暮らしぶり)だけでも悔い改めたいですよね。
最近良く聞く『SDGS』は「持続可能な開発目標」の略と言われています。
でも国連の定義では「将来の世代の欲求を満たしつつ、現在の世代の欲求を満足させること」となっているそうです。
これって、わかりやすく言い換えれば「いまの世代のニーズを満たすことだけを優先して、将来の世代の可能性を奪ってはならない」って事でしょ?
まさにWWFのCMのまんまなんですよね。
耳痛くないですか?
私達の歩もうとしている道が、子供たちの未来を奪ってしまうかもしれませんよ・・・。
posted by Asset Red
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