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今日は水曜日、アセットフォーはお休みです。
たまには、真面目な話を書こうと思います。
以下、北海道建設新聞2021年12月14日付3面より一部を抜粋させて戴きます。
建物の吹き付けウレタン断熱工事で使う原液が全国で不足する。
原料のイソシアネートが世界的に品薄なほか、発泡剤の製造元の米国企業が2度のハリケーン被害を受け、生産を停止しているため。
材料メーカーや地域によって需給状況に差はあるようだが、北海道を含め綱渡りの状況は来春まで続きそうだ。
11月から来年1月までは繁忙期に当たり、日本ウレタン断熱協会は工事の遅延や工期への影響に警鐘を鳴らしている。
吹き付けウレタン断熱工事用の原液は、ポリイソシアネートとポリオールの2成分からなり、混ぜることでポリウレタンの成形反応と泡化が進み、硬質ウレタンフォームを成形する。
うちポリオール成分には、成形に必要な発泡剤や整泡剤、難燃剤などが含まれる。
日本ウレタン断熱協会によると、混乱原因の一つが米国ハネウェル社によるHFO系発泡剤の供給不足だという。
8月と9月にハリケーン被害を受けて生産設備を停止し、現状は通常の40―50%程度の供給力にとどまっている。
主原料のイソシアネート(MDI)も世界的な資材不足から品薄で、電力不足から中国では難燃剤や整泡剤の生産が止まっている。
関係者によると、アキレスや積水ソフランウイズ、旭有機材、BASF INOACポリウレタン、クラボウなど主要メーカーのほとんどが同じ状況にあるという。
関東の吹付ウレタン業界でも、影響が出ているようですね。
先日、こんな話を耳にしました。
「現場発泡ウレタン各社は多くの会社が値上げで対応しているようですが、一部の会社は120倍に発泡倍率をあげることで価格据置(熱伝導率悪化)ということで対応している。」
真偽のほどは定かではありません。
ちなみに発泡倍率とは、原料の何倍に発泡するかを示した値です。
仮にイソシアネートとホリオールの量が100ccの時、100倍発泡であれば、10000ccの発泡ウレタンが出来上がります。
これを120倍にすれば、12000ccになります。
原料費は同じですから、当然製品1cc当たりの原料費を下げる事が可能となります。
価格据え置きにする為の対策となる訳です。
でも、問題は性能ですよね。
断熱性能が落ちてしまえば、問題でしょ?
発泡倍率を上げると、断熱性能はどうなるの?
残念ながら、その答えを私は知りません。
でも、推量することは出来ます。
発泡ウレタン等の発プラ系断熱材は、気泡の中に閉じ込めた『動かない空気』の断熱性能を利用しています。
なおウレタンの場合は動かない空気ではなく、より断熱性能の高い動かない二酸化炭素やHFOの断熱性能を利用しています。
そして、気泡を閉じ込めるのが気泡膜です。
気泡膜は非常に気密性に優れ、水や水蒸気を通しにくい性質を持っています。
でも、気泡膜は伝導により熱を伝えてしまいます。
そして、気泡内部では対流により熱移動が起こります。
また気泡膜から気泡膜には、輻射による熱移動も行われます。
なお輻射による熱移動は、気泡径によって変化するそうです。
各要因による影響は、以下の通りです。
熱伝導率は密度が30~40kg/㎥で最小値を示し、これより密度が小さくなると連続気泡が多くなることから熱伝導率は大きくなります。
また密度が大きくなっても、膜厚が大きくなり熱伝導率は大きくなります。
連続気泡が多くなる(独立気泡率が低くなる)と、対流による熱伝導が多くなります。
また気泡径が小さい程、輻射・対流による熱伝導は少なくなります。
対流による影響は、気泡径が0.5mm以下では無視できるようです。
以上の事を踏まえると、ある程度想像できるんですよね。
発泡倍率を上げるという事は、製品中の空気量が多くなるという事です。
当然密度は下がります。
密度が下がったからと言って、必ずしも連続気泡が増える訳ではありません。
発泡~硬化時にある程度以上の圧力を掛け、独立気泡となるようにすれば問題ないんです。
でも現場発泡の場合は、どうしても連続気泡が増える傾向にあります。
また気泡径は、発泡剤による違いが大きいんです。
発泡倍率とは関係ありません。
でも連続発泡であれば、気泡径に関わらず対流や輻射による影響が大きくなると思われます。
よって、断熱性能は悪くなると思うんですよね・・・。
しかも気泡膜が少なくなる訳ですから、気泡内の気体と空気の置換が起こりやすくなる筈。
断熱性能の経年による低下も大きくなると推察されます。
気泡膜が少なくなれば熱伝導は少なくなりますから、この点で断熱性能向上の可能性もあるんですが・・・。
本当のところはどうなんだろう?
価格据え置きはうれしいけど、性能低下の可能性が大きい気がするんですよね・・・。
個人的にはお勧めできません!
なお、弊社の扱っている『FPパネル』も吹付ウレタンと同じ原料を使っています。
でも、従来の発泡倍率(30倍)を維持しています。
しかも専用工場で発泡~硬化の間、30tのプレスをかけることで独立気泡率を高めていますから、大丈夫!
見事な独立気泡でしょ!
温度や湿度の管理も行き届いていますから、品質管理もバッチリです。
しかも弊社の採用しているプラチナパネルは、気泡径が小さいんです。
これらが、常に熱伝導率0.020W/m・Kを担保してくれます。
こんな事態になると、専用工場でつくる断熱パネルの有難さを実感できるんですよね。
現場で吹き付けるウレタンとは、全然違うんです。
アシカラズ・・・。
posted by Hoppy Red
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