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先日、弊社を訪ねてくれたお客様から、こんな質問がありました。
「築浅のマンションに住んでいますが、C値ってどの位なんですか?」
ご存知ではない方のために簡単に説明しておきます。
C値とは、住宅の気密性能を表す数値のことです。
単位は『c㎡/㎡』、家の大きさ(延べ床面積)に対して隙間の合計面積がどのくらいあるかを表した数値になります。
なお、ここで言う隙間とは『本来あってはならない隙間』を言います。
例えばエアコンのドレン穴や自然給気口の穴は、隙間に該当しません。
例えば、延べ床面積が100㎡の家があったとします。
この家の隙間の合計面積が10㎠であれば
10㎠÷100㎡
で、C値は0.1㎠/㎡になります。
値が小さい程、気密性能が良いことを示します。
お話を聞いてみると、住まいの中の揮発性有機化合物に起因するシックハウス症候群を危惧しているようです。
それで、自然素材志向なんだ・・・。
以前に読んだ記事を思い出しつつ、お話をさせて戴きました。
東大の名誉教授である坂本雄三先生の
という記事となります。
その一部を抜粋して転載させて戴きます。
上表は、建物の気密性と自然換気回数を推定したものです。
気密性の表示には、床面積当たりの相当隙間面積(いわゆるC値)が使われます。
C値は、実際の建物に気密測定システムを設置して外皮の隙間を通過していると見做せる風量の合計(換気量)と建物内外差圧を実測し、それらのデータを簡単な計算処理して求められます。
一方、上表の自然換気回数(n [回/h])は、自然換気量(V [m3/h])を建物内部の体積(B [m3])で除した数値(つまり、n=V/B)ですが、これは実測したものではなく、換気回路シミュレーションなどによって計算したものです。
計算方法の詳細は省略しますが、V や n は外部の風や温度、室温によって大きく変動しますので、表に示したものは年間の平均的な値であり、目安に近いものです。
しかも、表の換気回数は換気システムが稼働していない状況における数値です。
実際には、2003年以降の建物であれば、住宅でも換気システムが設置されていますので、建物が使われているのであれば、換気回数は0.5回/hに近いと考えてよいかもしれません。
株式会社トルネックスのメールマガジンに掲載されていた記事の一部をそのまま掲載させて戴きました。
元記事も、是非ご確認ください。
https://www.gaiki-seijouki.jp/air/sakamoto/3303/?mt=WSJUAAb1A98
一読の必要、アリかも・・・。
難しい事が書かれているようですが、そうでもありません。
築浅でペアサッシを設置しているお客様のマンションの場合のC値は0.5~2㎠/㎡。
年間の推定自然換気回数は0.1回/hであることが、表から読み取る事が出来ます。
築浅のマンションであれば、24時間を通じて0.5回/h換気を実現出来る換気装置を備えている筈ですよね。
これを稼働していれば、2時間に一回の割合で家中の空気が、外気(新鮮な空気)と入れ替わっている事になります。
さらに0.1回/hの自然換気が行われているので、実際には1.7時間に1回の割合で家中の空気が、外気(新鮮な空気)と入れ替わっている訳です。
これならF☆☆☆☆建材を使用している限り、シックハウス症候群は発症しないことになります。
でも、換気装置を止めてしまっていれば、危険ですよね。
あくまでもF☆☆☆☆建材の使用限度って、計画換気を前提にしている訳ですから・・・。
一方、換気による熱損失も気になる所です。
せっかく冷暖房した室内空気を捨てて外気を採り入れる。
これが換気です。
なんか、勿体ないですよね?
換気回数を増やせば増やすほど、室内空気はきれいになるけど温度・湿度は外気と変わらなくなります。
それを更に冷暖房しようとすれば、冷暖房費が嵩みます。
換気量が0.5回/h必要であれば、ギリギリに抑えたいですよね。
先程のマンションであれば、換気回数0.4回/hにすればいい訳です。
2000年以前に建てられた建物であれば、換気の必要すらありません。
隙間からの漏気で、換気量全てを補ってくれるからです。
換気装置分のエネルギーがゼロで済む訳です。
こんな話をしていると
「気密性を低くすれば、計画換気って不要なの?」
なんて聞かれそうですよね?
でもその分、冷暖房エネルギーが余計に必要になっちゃうんです。
換気装置の消費電力なんて、冷暖房費に比べたら微々たるもの・・・。
増加分を補うことなんて全然出来ません!
参考までに、東京都におけるC値ごとの冷暖房費を含む年間電気代を比較したものを挙げてみました。
弊社のC値は、0.3㎠/㎡以下。
この時の電気代はおよそ3,600円です。
一方C値2.0㎠/㎡の家の電気代は、およそ66,000円になります。
C値が5.0~10.0㎠/㎡の家って、どの位の電気代が掛かるんだろう?
しかも建物内に温度差が出来やすくなるため、快適空間とは言えなくなります。
隙間から壁内に侵入した湿った空気が、内部で結露するかも知れません。
躯体の劣化が進むなければ良いんですが・・・。
もう一度、表を良く見てみましょう!
『年間の平均的な数値』とあるでしょ?
これが曲者なんです。
平均だから実際には、上もあれば下もある訳です。
換気回数が多い時は良いですよね。
冷暖房費の増加には繋がるものの、換気不足にはなりません。
でも少ない時はマズイでしょ!
換気不足でシックハウス症候群になってしまうかも知れません。
暑い思い・寒い思いを我慢しているのに・・・。
我慢できない時には冷暖房を掛けるから、冷暖房費が嵩むんだよね・・・。
頭はボーッとするのに足元が冷たいんだよ・・・。
冷暖房を掛けている部屋は良いんだけど、それ以外は暑さ・寒さがハンパないんだよね・・・。
しかも建物が劣化すれば、地震や台風を恐れる事になります。
こんな不自由な生活をしてまで自然換気回数の多い家に住んでいるのに、それでもシックハウスになってしまったら・・・。
泣くに泣けないでしょ?
やっぱり気密性を高めて、計画換気を行うのが一番だと思います。
当然、パッシブ設計を行い外皮性能を高める事が肝心です。
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