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たまには気密性能の話を書いてみようと思います。
『住宅の気密性能 試験方法』
一般財団法人 建築環境・省エネルギー機構 刊
1章⑦開口部の気密性能には、こんな事が書かれています。
開口部の気密性能は、JIS A1516「建具の気密性能試験方法」で測定される。
この試験方法では、建具の内外差圧が10㎩・30㎩・50㎩・100㎩の時の全通気量Q(㎥/h)を測定し、建具の面積A(㎡)で割った通気量q=Q/A(㎥/h・㎡)を求める。
サッシやドアの気密性能は、A-3等級・A-4等級と表現されているが、これは前述の測定結果をJIS A4702「ドアセット」・JIS A4706「サッシ」に定められている気密性能等級線(図-7)にプロットして求めたものである。
この等級線図では、A-1からA-4等級の4区分を定めている。
等級は数字が大きくなるほど気密性能が良いことを示している。
建物外皮に設置されるサッシやドアは、A-3等級以上のものがほとんどである。
また、これらの製品の気密性能向上は著しく、サッシに関しては、A-4等級以上のものがほとんどといっても過言ではない。
サッシの大きさが2.21㎡(W1.7m×H1.3m/腰窓)・3.06㎡(W1.7m×H1.8m/テラス窓)で気密性能が等級線に合致したものだとすると、サッシの総相当隙間面積は、下記のようになる。
実質延べ床面積Sが120㎡/3LDKの住宅に窓が以下のように設置されたとする。
洋室の個室2室に腰窓が各1箇所
和室の個室にテラス窓が1箇所
LDKにテラス窓が1箇所、腰窓が2箇所
この時、窓だけの総相当隙間面積αAw÷S(㎠/㎡)は、上述の数値を使用すると以下のようになる。
この結果では、窓の気密性能によって総相当隙間面積αAwが大きく変わることがわかるが、住宅全体の相当隙間面積Cが5.0㎠/㎡程度の住宅にA-3・A-4等級の窓を使用しても相当隙間面積には大きな影響がないわうにも見える。
しかし実際の住宅では、上記以外にも玄関ドア・勝手口ドア・浴室・洗面所・便所・廊下・階段・玄関等にも窓が取付けられるため、外皮の開口部が住宅全体の気密性能に与える影響は大きくなる。
したがって、住宅の気密性能を考える上で、開口部の気密性能は重要な要素と言える。
開口部の気密性能は、前述した4つの等級に区分され、それぞれに幅があるため、同じ等級の製品であっても、総相当隙間面積に大きな違い(A-3等級のテラス窓の場合、総相当隙間面積が4~17㎠)があるので製品選定には注意が必要である。
また引違い窓のような開閉式の窓は、長年の使用等により気密材が老化するなどして、気密性能が悪くなることがあるので、メンテナンス等に注意が必要である。
いかがでしたか?
同書は、気密性能技能者養成講座の際にテキストとして利用されています。
また試験の出題も、このテキストを参考にしていると聴きます。
書かれている内容についてのコメントは控えますが、窓の気密等級については更なる上位等級の制定を求めたいと思います。
高断熱住宅が当たり前になった感のある昨今、高気密サッシの登場も当たり前になって欲しいからです。
現行サッシの気密性能では、いささか不満なんですよね。
ご入居後に窓からの隙間風を感じるという問い合わせを戴くことも多々あります。
大抵は引違い窓です。
残念ながら、対応のしようがありません。
またご入居後20年程経過すると、パッキンの劣化による隙間風の問い合わせも多くなります。
当時の製品の中にはパッキンを溶着しているものもあるので、パッキン交換も出来ないんですよね・・・。
メンテナンス性の向上も、今後の課題だと思います。
最後に、こんなデーターを挙げてみたいと思います。
A-4等級と樹脂サッシ、そして弊社が採用するシャノンウインドの等級線図です。
確かにA-4等級に比して、現行サッシの気密性能は高くなっているようです。
ここにはアルミ樹脂複合サッシの性能はプロットされていませんが、経験的に他社樹脂サッシとA-4等級線の間にあると考えます。
気密性能の低いサッシを採用すると、窓の大きさや数量を制限しなければ総相当隙間面積を小さくしにくいんですよね。
パッシブデザインの肝は、外皮の断熱気密性能向上と窓の性能向上ににあると思います。
この点をサッシメーカーは、重く受け止めてもらいたいと思います。
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