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先日、現場にこんな木材が納品されました。
なんだか、やけに茶色い木材ですよね?
でも着色している訳ではありません。
しかも鼻を近づけてみると、少し焦げ臭い臭いがするんです。
持ってみると、意外と軽いんですよね・・・。
コレ、何の木?
皆さんも恐らく、見たことないと思います。
コレ、水蒸気式高温熱処理木材『サーモウッド』と言います。
読んで字の如し、水蒸気を利用して高温処理をした木材なんです。
そして、その技術をサーモウッド技術と言います。
何のために、そんな変わった事するの?
不思議でしょ!
実はコレ、高い寸法安定性と耐久性が付与された、不思議な木材なんです。
北欧・フィンランド発祥の技術を、日本の樹木でも使えるように越井木材工業㈱が改良しました。
国内の自社工場で生産している為、様々な地域産材や間伐材の利用も可能なんだそうです。
ちなみにサーモウッドは、薬剤を使用しません。
熱と水蒸気だけで木材の性質を向上させる、魔法の技術なんです。
その特徴は以下の通りです。
特徴を読むと、その理由がわかると思います。
極めて寸法変化の小さい木材です。
木材の寸法変化は、水分の出入りによって大きく左右されます。
木材の含水率は湿度によっても変化しますが、日本で使用していると約15~20%が普通です。
でもサーモウッド処理を施す事で、同条件でも含水率は10%以下にまで抑えることができます。
水分の出入りによる寸法変化が起こりにくくなるんです。
木材の寸法安定性向上を目的としたサーモウッド処理ですが、処理温度を220℃以上にする事で耐朽性も向上することが分かっています。
防腐性能が高く、ヒノキと同等以上の効果を発揮。
オオウズラタケやカワラタケといった木材を腐らせる菌類に強くなります。
腐朽が起こりやすい高温多湿の室内で土中に木片を埋めた実験の様子です。
ちなみにここでは、一般的な野外の土中に比べて2~4倍の速さで腐朽が進むそうです。
2年経過時のそれぞれの木片を比べてみると、220℃以上のサーモウッド処理を施した木材には腐朽が起こっていない事がわかります。
そもそも木材には熱を伝えにくいという性質があります。
これは木材が無数の細胞から出来ていて、一つ一つの細胞中に空気が入っているためです。
サーモウッド処理により細胞中の水分が減ると、その分空気層が増えるため、さらに断熱性が向上します。
スギやヒノキなどの地域産材をそのまま屋外に使うと、腐れや反りなどが生じます。
でもサーモウッドは木材に高い寸法安定性と耐朽性を付与しているので、腐れや反りの発生を軽減出来ます。
地域産材や間伐材を有効利用出来るので、地域産材の活用が求められている今、建築物の木質化に最適な材料と言えるでしょう。
なかなか凄い木材でしょ?
もっとも弊社では、①②だけあれば良いんですよね・・・。
今の所は、③④はあまり気にしていません。
外装建材やガーデニング建材として販売されている製品ですが、弊社では軒天材に使う事が多いんです。
これをケイカル板を下地にして、張って仕上げます。
以前は無垢の羽目板に塗装を施していましたが、施工後の変形が時々発生しました。
湿度変化が原因だと思います。
でもサーモウッドを採用して以来、こうした問題は起こっていません。
でも不思議でしょ?
高温で蒸すだけで、どうしてこんな事になるんだろう・・・。
以前、開発担当者に聞いてみたことがあります。
その時の答えは、こんな感じでした。
「木材を高温で熱すると、水分が抜けて木材繊維がスカスカになります。」
「こうなると、スポンジと同じように水を下に落とすようになるんですよ。」
だから軽いんだ・・・。
えっ!でも・・・。
スカスカになったら、強度的にヤバいんじゃないの?
「ハイ、だから構造材には利用出来ません。」
「あくまでも、化粧材として利用してくださいね。」
詳しい原理はわからないけど、イメージしやすい説明ですよね。
おそらく、木材腐朽菌やシロアリにとっても『おいしくない食材』に変化しているんだと思います。
posted by Asset Red
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