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最近、木の家が増えていると思いませんか?
火災や地震・台風、耐久性に不安を感じて鉄骨造や鉄筋コンクリート造の家をつくっていた方々の中にも、木の家に変える動きが出ています。
木の家って、ちゃんとつくれば火災や地震・台風を恐れる必要なんてありません。
耐久性だって、問題ありません。
断熱・気密性を高いレベルで実現しようと思えば、むしろ木の家の方が向いていると言えます。
建物荷重が軽くなるので、地盤に与える負担も減るんですよね・・・。
しかも木は地産地消が可能です。
きちんと管理していけば、循環型社会の要になる筈なんですよね・・・。
つまりSDG’S的にもベターな選択なんです。
だからこそ、木材は住宅建材として最適と言えるでしょう。
でも、問題もあるんです。
捻じれたり、反ったり、割れたり・・・。
何故だと思いますか?
これらの現象は、木材に含まれている水分が主な原因です。
木材は水分を吸収すると膨張し、乾燥すると収縮しようとする性質があるからです。
伐採したばかりの生木には、たっぷりと水分が含まれているでしょ。
この水分は時と共に蒸発し、その際に木材は収縮します。
どの部分も同じように収縮すれば、問題はありません。
でも木材は、繊維方向によって収縮の割合が違うんです。
これが木材の変形の原因なんです。
木材に含まれている水分を表す値に『含水率』があります。
この値、ちょっと分かりにくいんですよね。
木材含水率は、次の式で求められます。
(水分を含んでいる状態の木材の重さ-水分を含まない木材の重さ)÷水分を含まない木材の重さ×100
単位は%です。
例えば1300gの木材があったとします。
このうち水分の重さが300gだとすると、含水率は何%になるでしょうか?
水分を含んでいる状態の木材の重さは、1300gになります。・・・①
水分の重さは300gですから、水分を含まない木材の重さは1000gになります。・・・②
正解は、(①‐②)÷②=30%です。
この木材を濡らしてみましょう。
水分を含んだ重さが2000gになりました。
この時の含水率は、何%でしょうか?
正解は100%です。
さらに濡らしてみましょう。
水分を含んだ重さが2300gになりました。
この時の含水率は、何%でしょうか?
正解は130%です。
100を超えるなんて、凄いですよね・・・。
木材には網目状の繊維がたくさんあります。
未乾燥の木材は、その繊維の中にスポンジのように水分を溜めています。
含水率が100%を超えるものも、結構あるんですよね・・・。
話を元に戻します。
木材は、周りの空気に合わせて乾燥を始めます。
でも乾燥に伴う収縮が、すぐに始まる訳ではありません。
木材の代表的な水分状態の模式図を挙げてみました。
左から生材状態、繊維飽和点、期間状態、全乾状態を示しています。
左から右に進むほど、含水率は低くなります。
図を見ると、『自由水』『結合水』という単語が所々に書かれています。
これが乾燥収縮におけるキーワードなんです。
繊維中に含まれる水分を動かない水と言います。
これが結合水です。
そして繊維と繊維の間に存在する水を自由水と言います。
自由水はゼロになっても、繊維は乾燥しません
だから、収縮は起こりません。
自由水が無くなり、繊維中の水分がいっぱいの状態を繊維飽和点と言います。
含水率が30%を下回ると、繊維中の結合水が乾燥を始めます。
そして変形が始まります。
ちなみに空気中の湿度と木材内部の結合水が平衡の状態を気乾状態と言い、さらに乾燥が進むと全乾状態になります。
でも全乾状態は、いずれ気乾状態に戻ります。
含水率を18%以下に抑えるのが理想的だと思います。
昔はゆとりがあったんでしょうね。
家を建てるにあたり、木材を何年も寝かせました。
日陰で風に当て、自然乾燥を行っていたんです。
腕の良い大工さんは、こうした自然乾燥材を一本一本吟味して、さらに乾燥による収縮も計算に入れながら加工したと言います。
建て方の後、何カ月もそのままにして家を乾燥させていたそうです。
そして内外装に取り掛かりました。
木材をしっかりと乾燥させる事、これが先人の知恵だったんです。
こうして乾燥させた木材の含水率は、15~18%になるそうです。
30%を下回っていますから、乾燥による変形の恐れは少なくなります。
凄いでしょ?
でも現代は、工期短縮の時代です。
何カ月も放置することは出来ません。
おじいちゃんが始めた乾燥を孫の代まで続けて、ようやく出荷!
もちろん乾燥中は、定期的に木材を転がしたり位置を変えたりする必要もあります。
こんな事、なかなか出来ませんよね・・・。
出荷しなければ、お金にならないでしょ?
資金繰りも大変だと思います。
そもそも乾燥場所の確保が難しいですよね・・・。
当然時間を掛ける分、コストも跳ね上がります・・・。
そこで使われるようになったのが、集成材や人口乾燥材です。
弊社の現場で使われている集成材のラベルを撮ってみました。
太い木材って、乾燥しにくいんです。
その為木材を厚さ30mmの板に製材し、これを構造用接着剤で貼り合わせて梁を作ります。
こうすることで、含水率の低い木材を安価に提供することが可能になりました。
おまけに構造強度も安定します。
糊で貼り合わせた梁ですから、長期耐久性を心配する方もいるようですが・・・。
こちらは無垢の木材を人工乾燥した、ドライビームを撮ったもの。
独自の乾燥技術を利用して、短時間で含水率の低い木材を安価に提供することが可能です。
無垢材ですから、長期耐久性に問題はありません。
ただし集成材に比べると、若干変形するかも・・・。
ちなみに弊社では、両者を状況によって使い分けるようにしています。
構造強度を求める場合は、前者を採用します。
適材適所という言葉があるでしょ?
梁にも変形しても良い場所と、変形は困るという場所があるんです。
例えば外部回りです。
ここで梁が変形すれば、気密性の低下に繋がるかもしれません。
こんな場合にも前者を使います。
多少の変形があっても支障がない場所であれば、後者を採用します。
だってコスト的には後者の方が安価なんだもん。
ウッドショック時は、ドライビームの入手が困難になりました。
でも最近は、以前の様に手に入れることが出来ます。
価格も以前のようになれば良いのに・・・。
posted by Assed Red
住所:東京都練馬区北町2-13-11
電話:03-3550-1311
東武東上線 東武練馬駅下車5分
ただいま、現場監督見習いを募集しています。
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上記をご確認ください。