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とある現場で見掛けました。
外気に接する壁の柱間に充填された、繊維系断熱材です。
最近の断熱材は長さが2860mm程度ありますが、昔の断熱材の長さは1350mm程度が当たり前でした。
よって、当然写真のように断熱材を縦に並べます。
繋ぎ目の施工が雑だったようですね。
断熱材が真っ黒に変色していました。
カビ!?
と思った方も多いと思います。
でも違うんです。
これ、断熱材の中に溜まった埃です。
当時の繊維系断熱材は、袋入りとか耳付きと呼ばれるタイプばかりでした。
断熱材の室内側に防湿フィルム、室外側に透湿フィルムで覆われ、上下は切りっ放し。
この切りっ放し部分から埃を含んだ上昇空気が侵入し、埃だけを繊維間に残していきます。
長い年月の間に積み重なった埃が、黄色い断熱材をどす黒く変色させていた訳です。
ダスティングと言われる現象です。
ちなみに繊維系断熱材のマニュアルには、こんな事が書かれています。
「適切な暑さの断熱材が施工されていても、断熱材と柱などの部材との間や断熱材相互の接合部に隙間が生じるさせると、本来の性能が十分に発揮されません。また詰め込み過ぎても断熱性能を悪化させることになります。」
まさに断熱材相互の隙間ですよね。
この隙間が、本来の性能を発揮させなかったんだと思われます。
昔の家って、図のように隙間がたくさんありました。
この隙間を上昇空気が、通っていた訳です。
だから写真のような繊維系断熱材って、あちこちでのリフォーム現場で見ることが出来ます。
繊維系断熱材は、繊維間にある『動かない空気』の断熱性を利用しています。
断熱材間を空気が移動すれば、動かない空気はなくなります。
つまり断熱性が低下する訳です。
先程のマニュアルには、こんな表も掲載されていました。
繊維系断熱材の施工状態による断熱性能の違いを示した表です。
断熱材を押し込んだりすれば、動かない空気層は小さくなってしまいます。
隙間を明けて施工すれば、空気が動いてしまいます。
つまり断熱性が低下する訳です。
繊維系断熱材って、丁寧な施工が求められる断熱材なんです。
だからこそ、施工者を選ぶ必要があります。
写真のような施工では、断熱材は機能していなかったかもしれません。
空気の滞留がない分、カビの生えることはなかったのでしょう。
滞留があれば、内外温度差で結露を招き、躯体に腐食が起こっていたかも・・・。
断熱施工と気密施工は常にセットなんです。
徹底して隙間のない断熱施工を心掛ける事が肝心です。
断熱材って、入れれば暖かい訳ではないんです。
posted by Asset Red
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