住宅の省エネ性能はUA値で判定できるとは限らない(続)

先日参加した『新住協のオープンセミナー』で鎌田先生が仰っていた事を、前回に引き続き抜粋してお伝えします。

デグリーディ法による暖房時・冷房時の熱収支と暖冷房エネルギーの計算という話です。

Q全部=H暖房+E日射+E室内発生熱

の暖房期間全体での実際の熱量と、その内訳を示すのが、このグラフです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちなみに

①省エネ基準をクリアした家

②Q1.0住宅(LV1)

③Q1.0住宅(LV3)

で比較しています。

 

新住協では従来②の建設増加を推進していました。

会員は新築建物の全てをQ1.0住宅(LV1)以上にしようという訳です。

しかし今年度からは、③の建設増加を推進する事になりました。

かなり要求レベルが上がった訳です。

Q1.0住宅の説明もしておきましょう。

省エネ基準住宅に比べて、全室暖房で燃費半分以下に抑えることが出来る省エネ住宅をQ1.0住宅と言います。

燃費の削減割合に応じて、LV1~LV4の4ランクが設定されています。

LV1・・・削減率60%以上

LV2・・・削減率70%以上

LV3・・・削減率80%以上 

LV4・・・削減率90%以上

ねっ、かなりのレベルでしょ

このセミナーでは、LV3の優位性と共に省エネ等級7についても語られていました。

 

では本題に戻りましょう。

グラフの説明です。

総熱損失量では、省エネ基準住宅に比してQ1.0住宅が開口部と換気の熱損失を大幅に削減しているのがわかります。

それに対して総熱供給量は、ペアガラスからアルゴンLow-Eガラス16mmペアに変わり、日射取得熱が減った分と暖房日数が減ったことにより減少しています。

室内発生熱も暖房日数が減ったことにより減少していますが、両方とも熱損失ほどには減らないため、暖房負荷が大幅に減る事になります。

練馬に比べて福岡は日射量が少ないため日射取得熱は大幅に少なくなり、その分暖房日数が増えることになります。

このように日本海側の地点では、寒さは同程度でも暖房負荷は大きくなるのです。

外皮性能が高い(UA値が小さい)からといって、必ずしも暖房エネルギーが減る訳ではありません。

地域の特性に合わせた対策が必要であり、それを知っている工務店に頼むのが正解なんです。

続く・・・

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