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以前に参加した構造塾/佐藤塾長のセミナー。
その際に戴いた資料から、一部を抜粋しています。
今回のテーマはコレです。
梁の中央付近下側に、間柱欠きが施されています。
これ、現場では時々見掛けます。
梁下が間仕切り壁になるため、455mm間隔に間柱を挿し込むための欠き込みをプレカットの段階で行っている訳です。
弊社の現場でも、時々見掛けます。
例えば写真左側の梁下端にも2か所、間柱欠きが行われています。
別の箇所にはなりますが、これと同じように欠込み部分には間柱が納まります。
欠込みがなくても間柱を留める事は出来ますが、欠込みがあれば、そこに間柱を挿し込んで釘で留めればいいでしょ?
取付位置を決める手間が省けるんです。
でも、ここに大きな問題が隠れています。
構造塾の佐藤塾長は、この写真を見せながら、こんな事を言っていました。
「梁や桁の中央付近の下側に、耐力上支障のある欠込みをしてはいけません!」
梁に荷重が掛かる際、梁の下側中央付近には大きな力が加わります。
ここに欠込みがある事で、梁が破断するかもしれません。
構造に関する仕様規定の危うさを喚起している訳です。
例えば上図のような梁があったとします。
梁成は300mm、ここに10mmの間柱欠きが行われています。
この時の梁の曲げ性能(断面係数Z)を確認してみましょう。
ちなみに断面係数Zが大きいと、曲げ性能が高いことになります。
梁断面(欠損除く)=120mm×290mm(300mm-290mm)
欠損ありの断面係数Ze=0.6Z
=0.6×b・h2/6
=0.6×120×290×290/6
=1,009,200mm3
梁断面(欠損なし)=120mm×290mm
欠損なしの断面係数Z=b・h2/6
=120×290×290/6
=1,682,000mm3
欠損を残したままの梁は欠損部分を全てなくした梁よりも、曲げ性能が40%も低くなる事がわかりました。
普通に考えると、欠込みの10mm分を差し引いた290mmの梁と曲げ性能は同じになりそうでしょ?
でも実際には計算のように、性能に大きな性能差がある訳です。
しかも普通は梁成を検討する際に、間柱欠きの事なんて考えていません。
290mmではなく、300mmの梁として考えているんです。
ちなみに300mmの梁の断面係数は1,800,000mm3となります。
この値と比較すると、欠損ありの断面係数は44%も低いんです。
本来考えていた曲げ性能の56%の強度しか無くても問題ないのかな?
通常、平屋建てや2階建ての場合は仕様規定で構造検討を行うことが多いんです。
ここでは、上記のような強度確認はしていません。
設計者によっては、心配だから念のため梁成をひとつ大きくしておこう!
なんて事があるかもしれません。
でも、まったく気にする事なくスルーしちゃう設計者もいると思うんです。
後者は、ちょっと心配でしょ?
前者は良心的と言えるかもしれません。
でも安全側に余裕を持たせることで、過剰設計になり躯体費用が増えているかもしれないでしょ?
これはこれで問題だと思うんですよね・・・。
許容応力度計算による安全確認をすれば、計算費用は掛かります。
間柱欠きを行えば、その分弱くなった状態で安全確認を行います。
だから、根拠もなく梁成を大きくする必要もありません。
その分、余計な費用を削減することができるんです。
しかも安全かどうかを確実に判断できます。
地震が来るたびに「大丈夫かな?」なんて心配も必要ありません。
仕様規定だと、少し心許ないんですよね・・・。
①仕様規定計算
②品確法計算
③許容応力度計算
以上の3つの方法で確認した建物の耐震性を上図で比較しています。
仕様規定は最低基準ですから、耐震等級は1となります。
ここで筋違の量を1.5倍に増やして『耐震等級3相当』にしても、あまり意味ないんです。
筋違をふやしても、躯体の安全性が担保されていませんから。
品確法の耐震等級3と許容応力度計算の耐震等級3を比較すると、かなり違うでしょ!
仕様規定と比べたら、まさに雲泥の差!
やはり、仕様規定って大丈夫なの?
って思っちゃうんですよね・・・。
posted by AssetRed
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