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技法堂出版の『防水施工マニュアル(住宅用防水施工技術)2021』を読んでいたら、こんな事が書かれていました。
4.1 通気構法
4.1.2(2)透湿防水シートの施工(注意事項)
ポイント
1.ステープルの打ち込みは必要に応じて最小限に留め、下地と平らに打ち込む。
2.透湿防水シートは降雨・降雪時、若しくは降雨・降雪が予想される場合、または降雨・降雪後で下地が未乾燥の場合は、施工してはならない。
3.防腐・防蟻処理された胴縁を使用する場合は、降雨・降雪等で胴縁および透湿防水シートを濡らさないよう、胴縁施工後、速やかに外装材を施工する。
ここまでは、極めて当たり前のことが書かれています。
でも3については、補足が必要かもしれません。
少し脱線しますが、念のため書いておきます。
以下、ウルト建築カタログからの抜粋となります。
透湿防水シートの劣化問題
近年、透湿防水シートの劣化が問題となっています。
問題の原因のひとつは界面活性剤による防水・耐久性の低下です。
この界面活性剤は防蟻薬剤や防腐処理された木材等に含まれており、これらから染み出した界面活性剤がシートの防水性能を劣化させるリスクが指摘されています。
こうした問題を受けて、透湿防水シート協会から2011年6月に『防蟻・防腐材による透湿防水シートへの影響について』として、告知が出されています。
告知では防腐防蟻処理された通気胴縁使用時の注意事項として、以下の2点を挙げています。
①施工中、雨水で濡らさない。
②通気胴縁施工後は、外装材を速やかに施工する。
良い機会ですから、水が染み込むメカニズムについても挙げておきます。
以下、タイベックシルバーのカタログからの抜粋です。
透湿防水シートは通常、水の表面張力により雨水が入らない構造となっています。
微細な穴により、撥水性と透湿性を同時に達成する仕組みです。
しかし防蟻防腐剤に含まれる界面活性成分がシートに付着すると、シート表面と水滴の間に表面張力が働かなくなります。
その結果、撥水せずシート裏面に水が届いてしまいます。
もちろん、この問題に対して積極的に対応しているメーカーもあります。
例えばタイベックシルバーの場合、界面活性剤による防水性の低下は15%に留まっています。
上グラフによれば一般的なシートの防水性は82%低下していますから、この差はかなり大きいと言えます。
もちろん弊社が採用するウルトでも、ウートップ・ハイムシールドの界面活性剤による劣化ゼロを確認済み。
ちなみにここでは、ハイムシールドと他社製品を3日間界面活性剤に浸す実験をしています。
それぞれの実験前の防水性能と実験後の防水性能は、次の通りです。
ハイムシールドは劣化ゼロ。
比較品Aは100%劣化、比較品Bは70%劣化。
凄い結果ですよね・・・。
話を元に戻しましょう。
防水施工マニュアル(住宅用防水施工技術)2021には、先程のポイントの後に、こんな事が書かれていました。
ステープルは必要以上に留め付けないようにします。
透湿防水シートのステープル留め付け穴の止水性は一般的に低く、ステープル穴周辺から雨水が侵入するリスクが高くなります。
むやみに多数のステープルを打ちこむことは、透湿防水シートを貫通する穴が増えるだけで、防水機能面では好ましくありません。
そして『透湿防水シートの釘穴シーリング性送風散水試験』の結果が掲載されていました。
この写真では、ステープル留め付け部からの雨水侵入が多数確認されています。
なんか、凄い事がサラッと書かれているんですよね・・・。
でもステープルの留付けって、むやみに減らす訳にもいかないでしょ?
こっちの方が問題じゃないの・・・。
キャップハンマーを使っていて良かった!
改めて痛感しました。
でも、これに対する解決策は掲載されていません。
自分で考えろ!ってことなのかな?
それとも、誰かに忖度しているとか・・・。
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