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練馬区の『FPの家 C邸』の現場写真をご覧ください。
天井に設けられた排気口の写真です。
今回は日本住環境㈱の第3種換気システム『ルフロ400』を採用したので、オリフィスという排気グリルが取り付けられています。
ルフロ400はイラストのように、オリフィスから吸った汚染空気をダクトを通じてルフロ400に集め、外に廃棄する仕組みです。
この時、建物内の空気は負圧になる為、外壁に設けた自然給気口『スクェアフロー』から花粉フィルターを通した清浄空気が供給されます。
極めてシンプルな仕組みでしょ?
但し建物の気密性が高くないと、本来の機能を発揮する事が出来ません。
少なくてもC値0.5㎠/㎡を下回るくらいじゃないと、ダメなんです。
2003年以降、24時間換気が義務付けられました。
これにより、1時間で家中の空気の半分(2時間で家中の空気)を新鮮空気と入れ替える事を狙っている訳です。
これを0.5回/h換気と言っていますが、これ以降、全ての新築住宅では建前上0.5回/h換気を実現できるようになった訳です
意外な事に家の中には様々な汚染物質が存在しています。
また、その中には人体の健康に害を及ぼす化学物質も多いんです。
これらによる健康被害を防ぐのが、0.5回/h換気の目的です。
また換気には、それ以外の効用がある事もわかって来ました。
例えば上図では、換気の多寡による学習効率の違いを比較しています。
論理系科目・暗記系科目双方とも、換気量の多い方が高い学習効率を上げることが出来るようですね。
こんな結果を知ったら、受験生の親御さん達は、「換気!換気!」なんて大騒ぎするかも・・・。
換気の重要性を少しだけ挙げてみましたが、0.5回/h換気って換気設備を設ければOKという訳ではありません。
建物の気密性能もそうだし、換気設計や換気施工の良し悪しによっても、換気性能が大きく変わってしまうからです。
ちゃんと計画通りに換気が行われていなければ、残念ながら換気設備が機能しているとは言えません。
そこで重要なのが、『換気風量測定』なんです。
もちろん、FPの家 C邸でも行っています。
その様子を、かいつまんでご紹介しようと思います。
弊社では3種類の風量測定器を使って風量測定を行いますが、今回はマノメーターを使った測定方法となります。
真ん中の黒い測定器がマノメーター。
よく見ると、黒い突起と赤い突起があるでしょ?
ここにチューブを挿し、先端にピトー管を取り付けます。
黒い突起に挿せば吸い込み空気、赤い突起に挿せば吹き出し空気の圧力(パスカル)を測ることが出来ます。
まず初めに行うのが、全ての自然給気口を開ける事。
そして、全ての排気口の開度を調整します。
オリフィスの拡大写真を挙げています。
数字と並んだ▽マークが見えるでしょうか?
オリフィスの内側のグリルは回す事で、1~5まで9段階の開度を設定できます。
数字が小さいほど、風量が少なくなります。
換気設計資料を見ると、それぞれの排気口の開度が書かれているので、まずはこの値に合わせてみます。
全ての開度を調整したら、さっそく風量測定を開始します。
換気システムのコントローラーの写真です。
黒いダイヤルを回す事で、1~9までの17段階調整する事が可能です。
換気設計の段階で必要風量を得るためのダイヤルの値が示されているので、まずはこれに合わせてスタートします。
測定自体は極めて簡単です。
写真のようにオリフィス中央の穴に、ピトー管の先端を挿してマノメーターの針の位置を読むだけ。
ただし、針は常に動いています。
しばらく待って、落ち着いてきたところを読みます。
全ての排気口の風量を測定し、その合計が0.5回/hを上回る事を確認。
風量に過不足があれば、コントローラーの値を調整して再測定します。
ここまでは、割と簡単に出来そうでしょ?
でも、ここからが大変なんです。
合計風量が合ったら、次に個々の排気量を調整します。
設計風量に近づけるためには、個々の排気口開度を調整しなければなりません。
排気口の開度を変えても、全体風量は変わりません。
でも個々の排気量は変わってしまいます。
開度を変えるたびに全ての風量を再測定しなければなりません。
何度も何度も・・・。
これが結構、面倒なんです。
でも、仕方ありません。
計画換気は、個々の風量調整が重要なんです!
全体風量が0.5回/hを上回れば良い!という訳ではありません。
ちなみに弊社では、0.35回/h程度の換気風量にする為のダイヤル数も調べるようにしています。
多くの有識者も言っていますが、0.5回/h換気だと換気風量が多すぎるんですよね・・・。
以下、諸外国の状況を調べてみました。
①ノルウェーでは、0.6回/hとなっています。
トイレ36㎥/浴室36㎥/洗濯室36㎥に加えて、炊事の際には72㎥の排気が必要です。
特徴は、不在時でも0.4回/hの換気を求めている点です。
②スウェーデンでは0.53回/h、床面積1㎡当たり1.26㎥/hの換気量を最低基準としています。
この規則は強制力があり、規定に達していない場合は改修が必要です。
③デンマークでは、住宅全体で0.5回/hの換気を基準としています。
スウェーデンと同様に規則には強制力があり、違反すると罰金が科せられます。
④フランスでは、0.7回/hとなっています。
3室なら150㎥ 、4室なら165㎥ 、5室以上なら210㎥といった具合に、居室の数で1時間当たりの最小排気量が決まります。
⑤ドイツでは、0.6回/hとなっています。
床面積が80㎡で居住者が4名までの場合は、120㎥ /h。
80㎡を超え、6名までなら180㎥/hです。
⑥カナダでは、0.6回/hとなっています。
諸外国の中で最も参考になると思われるのがカナダだと思います。
この国では給気と排気の双方から必要量を計算し、どちらか値の大きな方を基準としています。
必要給気量は主寝室と地下室が36㎥/h。
個室・居間・食堂・家事室・台所・浴室・洗濯・洗面室は18㎥/hとなっています。
また必要排気量は台所は54㎥/h。
浴室+トイレは36㎥/h、トイレのみは18㎥/hとなっています。
ちなみにカナダには、政府の定めた相当隙間面積0.9㎠/㎡という世界最高度の高気密性をもつ『R2000住宅』があります。
そして、この住宅であれば計画換気が完全に行える事を理由に、有害化学物質や二酸化炭素濃度の上がり過ぎに考慮する事を前提に、換気回数0.3回/h以下であっても問題は生じないと謳っています。
この辺りが有識者の発言の根拠になっているんでしょうね・・・。
でも流石に0.3回/hじゃ、ちょっと少ないかも?
弊社では0.35回/hくらいを妥当な値だと考えています。
だから、0.35回/hになるダイヤル値を確認している訳です。
住所:東京都練馬区北町2-13-11
電話:03-3550-1311
東武東上線 東武練馬駅下車5分
ただいま、現場監督見習いを募集しています。
https://www.assetfor.co.jp/recruit/
上記をご確認ください。