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『FPの家 Y邸』
床パネルの施工、まだまだ続いています。
今回は、FPの家をつくるにあたり現場で行うちょっとした技についてお話したいと思います。
FPの家は魔法瓶のような住まいです。
床・壁・天井をFPパネル(木枠付高性能ウレタンパネル)ですっぽりと覆うことで、夏涼しく冬暖かい家を実現しています。
でも、FPパネルを使用するだけで実現できる訳ではありません。
例えば、壁パネルを施工する際。
構造金物と干渉する場合が多々あります。
写真は、柱頭金物および梁と柱を緊結する羽子板ボルトのために
FP壁パネルの右上部を切り欠いたところです。
このままでは、断熱欠損になってしまいます。
切込み部に現場発泡ウレタンを充填して、断熱欠損を補います。
写真は現場発泡ウレタンのガンです。
現場発泡ウレタンの主な原料は
ポリオール
イソシアネート
の2つです。
これが混合されたものが缶の中に入っていて
ハンドルを引くと、ノズルの先端からウレタンが吹き出します。
吹き出されたウレタンは、空気中の水分と反応して発泡→硬化します。
先程、見ていただいた写真と見比べてください。
翌日撮った写真です。
発泡が終わり硬化しています。
弊社が採用している現場発泡ウレタンは3種類。
最初にお見せしたのが青缶。続いてピンク缶。黄色缶。
それぞれ、製造メーカーも異なりますし価格も違います。
使う部位や季節によって使い分けています。
ピンク缶は発泡倍率が比較的低く、膨らまないため窓枠廻りに使っています。
金属との接着性が良くないため、金物廻りには使いません。
青缶は発泡倍率が高い為、窓枠廻り以外全般的に使っています。
安価ですが、気温が低くなると発泡・硬化が鈍くなる為冬場は使えません。
黄色缶は寒い時期に、青缶の替わりに使っています。
青缶より若干高価です。
床パネルでも、こんな場合があります。
配管が通るため、パネルを欠き込んでいます。
隙間にウレタンガンのノズルを差し込み、奥からスプレーしながらゆっくりと引き抜きます。
ノズルの太さは10mm。
パネルを欠き込む際には10mmを目安に大きく切欠きます。
そうする事で、奥からしっかりウレタンを吹き込むことが出来ます。
表面から吹いても、奥には届きません。注意が必要です。
筋違や柱廻りも同様です。
現場発泡ウレタンはFPパネルと違い、透湿性・通気性が高くなっています。
その理由は後ほど説明します。
切欠いた部分に吹き付けることで、断熱性は担保できますが、
それだけでは気密性や防湿性は確保できません。
えっ!大丈夫なの?
大丈夫です。きちんと対策はとってあります。
でもその為の対策は、この場ではお話しません。
いづれこの場を借りてご報告したいと思います。
ここで少しだけ、『お勉強タイム』です。
上のイラストは、FPパネルの『バッチプレス注入法』の簡単な説明と、
現場発泡ウレタンとの性能比較表です。
同じウレタンでも、こんなに違うものなんですね。
硬質ウレタンフォームは微細な独立気泡で形成された断熱材です。
気泡には、熱伝導率が極めて小さいガス(空気の1/3)が含まれています。
この気泡が問題です。
FPパネルのウレタンが独立していて繋がっていないのに対して、現場発泡ウレタンは発泡が繋がる事があります。
上の写真は、弊社が断熱材の特徴を説明する際に見せているもの。
水槽に水を張り、グラスウールとロックウール、FPパネルの切断片を入れてあります。
グラスウールは吸水性が高いため沈んでいます。
ロックウールも吸水していますが、撥水性があるため沈んではいません。
FPパネル片は硬質ウレタンフォーム。
サーフボードにも用いられる材料です。
吸水することもなく、当然沈みません。
上の写真は、現場発泡ウレタンを水槽に沈めたものです。
すっかり沈んでいます。
穴だらけのウレタンは台所スポンジと同じです。
水を吸い取ってしまいます。
現場発泡ウレタンと硬質ウレタンフォーム
材料・製法は同じでも、
それをすまいづくりに採用すると、
似て非なるものになるようです。
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posted by t.arai
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