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昨日、リフォームのお客様との打ち合わせに同席していて、珍しい話題になりました。
「屋根の上に緑がいっぱいの家、あるでしょ?」
「芝棟ですね。」
その時の私の頭の中には、
藤森照信氏の「ニラハウス」とか「タンポポハウス」がありました。
ニラハウスの写真です。
こちらはタンポポハウスの写真
お客様は
「ヨーロッパだから出来る事なのかしら」
とおっしゃっています。
「空気が乾燥しているから・・・。日本の気候風土では無理なのかしら、やっぱり・・・。」
うろ覚えの私は
「日本でも東北地方であったような気が・・・。」
家に帰って早速、以前に読んだ本を開いてみました。
藤森照信氏 著
天下無双の建築学入門
ちくま新書 刊
この方、一度でいいから、講義を聞かせていただきたいと思っている一人です。
早速、一部を抜粋させていただきます。
前略~
頭の上に草を生やしている民族がいたら大笑いだが、それと似たようなことを、実は日本の民家はやる。
芝棟という風習で、草葺き屋根のテッペン(棟)に草を植える。
枯草(茅)に生きた草の組合せでこれこそまことの草葺き。
植える草は野芝が主だから芝棟と呼ぶが、
イチハツ(小型のアヤメ)とイワヒバも広く見られ、
意外なものではユリ・松・アスパラガスなどなど、乾燥に強い植物ならなんでもありだ。
先ごろ、芝棟の最後の宝庫として一部に知られている岩手県の一戸から青森県の八戸までを訪問したら、
ニラの白い花が真っ盛りだった。
~後略
可愛らしいというか、素朴というか・・・。
なんとも、ほのぼのとしています。
スカンジナビア半島ノルウェーにも
芝棟は見られるようですね。
こちらは、随分と豪勢な草たち・・・。周りの草たちとすっかり同化しています。
屋根の上に草というより、斜面の下に家を建てたという感じです。
フランスはノルマンディー地方にも多く見られるようですが、
実はベルサイユ宮殿の中、
マリーアントワネットが最も好んだ「アモー」と呼ばれる小さな村にも見られるみたいですよ。
本の話に戻ります。
前略~
試しに100年ほど昔に返ってみよう。明治初期の東海道の宿場の写真を見ると、
箱根からこっち(関東)の宿場の屋根はほとんど芝棟。
高度成長前の調査によると、東日本は雪国をのぞいていたるところ、
西日本にいくに従い少なくなるが、それでも九州まで点々と分布した。
~中略~
冬の厳しい地域では、竪穴住居の屋根の上に土を載せ、草を生やし、
寒さを防ぐ伝統があったんじゃないだろうか。
~中略~
こう考えてると、日本の芝棟分布において雪国には無い、という理由も分かってくる。
雪国の冬は、良く知られているように、屋根ぐるみスッポリ雪に包まれるおかげで、そう寒くはない。
雪が草の代わりをしてくれる。
青森県でも、日本海側の津軽にはなくて、太平洋側の戸のつくところに多いのも納得できよう。
~以下略
あいまいな記憶でしたが、間違ってはいなかったようです。
「芝棟にしたい。」というご要望はサラリと流れ、
話題は「古くなり、汚くなった屋根材をどうしたら良いか?」
本来であれば遮熱シリコンか、せめてシリコン塗装を掛けたいところです。
でも予算的にかなり厳しいので・・・。
せめて高圧洗浄だけでもしてみませんか。
という事になりました。
来年早々から、工事スタートになる予定です。
打合せを急ピッチで進めなければなりません。
ステキな家になりますように・・・。
posted by t.arai
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