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『FPの家 S邸』
瑕疵保険会社による、躯体検査無事合格しました。
以下、検査の様子です。
構造金物や梁の寸法・掛け方を確認しています。
筋違の仕様や金物の取付状況を確認。
外壁合板の釘種および留付ピッチ、屋根垂木の金物を確認。
検査は30分程で終わりました。
現場では大工さんが、天井部分の気密シート施工を行っています。
弊社では、お客様のご要望により
FP屋根パネルによる屋根断熱工法と
セルロースファイバー吹込み+気密シートによる天井断熱工法を
選択していただきます。
ロフトや勾配天井をご要望の方は前者。それ以外の方は後者を選択する事になります。
天井断熱の方がコストを下げる事ができますし、断熱材を厚くする事で
断熱力を高める事も可能です。
屋根断熱の場合は
0.105m/0.024w/㎡・K=4.37となりますが
天井断熱の場合は
0.4m/0.04w/㎡・K=10.00となります。
天井断熱の方が、2.2倍も熱が逃げにくいという事になります。
今回のお宅は、天井断熱工法を採用する事になりました。
緑色の気密シートを天井野縁の下にタッカーで留めていきます。
ダクト配管が貫通する部分には、予め合板を入れておきます。
柱の廻りも気密テープでしっかりを貼りつけます。
気密シートと壁パネルの取合い部も、気密テープでしっかり貼り付けます。
間仕切壁の間柱は、シートを貼ったのちに取付けます。
もちろん、この後に気密テープ貼りも忘れません。
シートの継ぎ目もしっかりと気密テープを貼ります。
気密シートの下には、石膏ボートが貼られ、紙クロスで仕上げます。
気密シートの上には、厚さ400mmのセルロースフアイバーを吹込みます。
吹込み後沈下する事を想定し、700mm程度吹込む事になりますから
充分な強度を確保する事は勿論ですが、C値0.3㎝2/㎡以下の気密性能を確保する為に
正確で丁寧な作業が求められます。
1階床パネルの継ぎ目や柱との取り合い部の、アルミテープによる気密処理も終わりました。
弊社が、ここまで気密性能にこだわるのには理由があります。
東京大学の先生が書いた本より、抜粋させていただきます。
Q.気密は息がつまる?
A.気密は暖房の要。気密なしでは換気も効果半減。
快適な暖房実現の要でありながら、いまだに理解されない「気密」。エコハウスの設計者の間でも、
「わざわざ気密をとって機械換気するなんてバカげている。」と本音がつい口をつく。
かくも嫌われる「気密」。本当にバカげているのだろうか。
問題1.暖房するほど寒くなる
暖かい空気は「力持ち」。何しろ熱気球は、暖めた空気の力だけでそらを飛ぶ。暖かい空気の軽さには
バカにできない浮力があるのだ。
気球のエンペロープ「球皮」は完全な気密がとれているから、暖かい空気は漏れない。
しかし気密性のない住宅は、さながら「大きな穴のあいた気球」。せっかく暖まった空気は建物上部の屋根
から壁から我先に逃げていってしまう。
なお悪いことに、上から逃げた空気の埋め合わせのために、屋外の「冷たい」=「重い」空気が下から容赦
なく侵入してくる。つまり、「暖房する」ほどに居住域が「寒くなってしまう」のだ。
石油・ガスストーブやファンヒーター、そして最近注目されている薪やペレットを用いたストーブは、
高温のとても軽い温風を吹き出すため、こうした悪影響が特に大きい。膨大な暖房エネルギーを
無駄に捨てながら、なおかつ寒い。なんとも割の合わない話ではないだろうか。
問題2.断熱が利かない
気密をとらないことには、せっかくの断熱も無意味になってしまう。住宅レベルでの断熱を一言でいえば、
「空気の流れを止める」こと。断熱材は繊維や樹脂で空気をからめて止めているから、熱を逃がさない
のだ。断熱材をいくら壁に詰めたとしても、隙間から空気が動いてしまったら効果は激減する。
冬に襟元が大きく開いたセーターと、ジャストサイズのタートルネック、どちらが暖かいかを考えれば
答えはおのずと分かるというもの。
問題3.換気ができない
「気密が高いと息が詰まる。低気密の方が空気が入ってくる」。よく耳にする理屈だか、こうして侵入して
くる気まぐれな空気は「漏気」であって、「換気」ではない。
「換気」とは、室内の空気質を確保するために、1年を通して常に確保された空気の流れを指す。
そのため、どうしても24時間稼働する機械換気が必要になる。
気密をとらなければ、たとえ機械換気を付けても肝心の居室の空気は汚染されたまま滞留する。
気密と機械換気の2つはセットで考える必要があるのだ。
「機械で換気をすると余計に電気を使うではないか」。確かにその通り。しかし、換気ファンの省電力化は
急速に進んでいる。気密をとらないで無駄になる暖房エネルギーと比べれば、全く問題にならない程度
の電力しか使わないのだ。
やっぱり気密は不自然?
エコハウスを名乗るからには、きちんと気密と断熱をとった上で、空気質の維持に必要な風量を
機械換気で確保するのが大原則である。暖房負荷の低減、快適性アップ、空気もキレイ・・・といいこと
だらけなのだから。
しかし、やはり納得できない人は多いだろう。動き回っている空気を閉じ込めるというのはあまりにも
「不自然」。実は、筆者もそう感じている。
しかし考えてみれば、寒い冬に暖かい空間をつくろうということ自体、物理的には全く「不自然」なこと。
屋外と屋内の空気が同じ温度でいいのであれば、気密も断熱も全く無用。建物をスカスカにしておいて、
「冬は耐えて春が来るのを待て。それが自然だ」とするのも、それはそれで一つの見解かもしれない。
だが、人間は本来弱い生き物。凍える寒さを生き抜くために、昔から必死の努力を重ねてきた。
「暖かい部屋で過ごしたい」「無駄なエネルギーを使いたくない」「きれいな空気を吸いたい」・・・。
こうした「自然な願い」を叶えるため、冷徹な自然の摂理法則に立ち向かう「技術」を、人間は必死に
編み出してきた。「高断熱・高気密」の技術には、人の願いを叶えるための「暖かい知恵」が込められて
いる。そう思えば、「気密」という言葉もそれほど「息苦しく」感じないのではないだろうか。
『エコハウスのうそ』
前 真之 著
日経PB社 発行
気密施工を徹底する事で、室内空気が室外に漏れる事が抑えることができます。
気密シートは「空気」だけではなく、「湿気」の躯体内侵入を抑えることが出来ますから、
結果的に壁内結露を防ぎ、木材腐朽菌やシロアリの被害から建物を守ることにも繋がります。
PM2.5対策や花粉対策として、給気口にフィルターを取り付ける場合
気密性が悪く漏気の多い建物では、全く効果を発揮することができません。
フィルターによって抵抗を増した給気口からの空気はより少なくなり、隙間から入る空気が増える事に
なりますから。
建物の気密性を高めるということは、
建物外皮(屋根・外壁・外気に接する床・閉めた状態の開口部)の隙間をなくし
決められた場所(給排気口や開けられた窓等)からしか空気が出入りしない状態をつくることであり
潜水艦のように、換気装置を停めると息が出来なくなる訳ではありません。
外気を入れたい時だけ入れられる。入れたくない時は閉じられる事をいいます。
息苦しいことなんかありません。
posted by t.arai
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