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構造現場見学会直前につき
気密についてのお話を集中的にさせていただいております。
高気密化が建物の隙間風を減少させ、暖冷房効果を高め、省エネ効果が期待できるということは
かなり理解されているようです。
でもその一方、
「気密化すれば、逆に自然換気は減るので室内空気が汚れやすくなり、健康問題が生じないか?」
「機械換気を24時間運転しなければならないから、電気代が増えないか?」
と心配している方がいるようです。
また、
「壁を気密防湿シートで気密化すると、軸組の木材が腐らないの?」
「気密化というのは欧米で産まれた建築技術なので、日本の高温多湿風土には合わないのでは?」
など検証もせずに「気密化」という言葉からくるイメージだけで反発している方もいるようです。
気密化といっても住宅に潜水艦のような完全密閉を要求している訳ではありません。
給気口から計画的に新鮮空気を取り入れ、排気口から汚染空気を排出する。それ以外の場所からは
空気の出入りがない状態を気密性が高いといいます。
換気システムの稼働を停止しても、空気の出入りは行われますからご安心を。
むしろ気密化で注意しなければならないことは、気密化だけでは快適な室内居住環境を実現することは
できないということです。
気密化は充分な断熱と、適温を保つための冷暖房、そして適切に家全体の24時間換気を行うことが
前提条件となります。
断熱不足や家全体の適温を保つことができない気密化は、温度ムラが生じる心配があるだけでなく
室温の低い部分で結露が発生する危険性が高く、結露によるカビやダニなどの健康被害に発展することに
なりかねません。もちろん、換気不足は室内空気環境の悪化を引き起こしますからご注意ください。
断熱・気密・計画換気・冷暖房計画をバランスよく施工する事で、電気代のかからない
省エネで、建物やそこに住まう人の健康・安全を守ることができるのは言うまでもありません。
一般的な4人家族の場合、生活するだけで建物内では人体・炊事・洗濯物の乾燥や入浴などから
1日あたり約10リットルの水蒸気が出るといわれます。
これらの水蒸気が室内空気と一緒に外壁内や床下・小屋裏などに入り込むと、冬などの外気の低い季節
には内部結露を起こし、柱や土台が腐朽する原因になります。
こうした内部結露を防止するためには、室内側に防湿気密シートなどの防湿層を隙間なく施工すること
が絶対条件となります。
もしこうした防湿層がないと、結露によって生じた水分が断熱材を濡らして、
大切な柱や土台を腐らせてしまうのです。
上図をごらんください。
石膏ボード1.0㎡の壁に2㎝×2㎝の穴を開けると、そこから冬に30リットルもの水蒸気が壁の中に
侵入します。一方穴のない石膏ボードからは、たったの1/3リットルしか水蒸気は透過しません。
つまり、壁体内部に水蒸気を入れないための最も重要な要素は気密化であるということです。
気密化を図ると木材が腐ることはありません。
むしろ、気密化を怠ることで木材が腐る恐れが増大するんです。
住まいの気密化、大切だと思いませんか?
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posted by t.arai
東京都練馬区北町2-13-11
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