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いよいよ、エルニーニョとラニーニャの話も佳境に突入です。
エルニーニョとラニーニャは密接な関係にあり、切り離して考える事は出来ない地球規模で影響を
与える気象・海洋現象です。
太平洋では通常貿易風(東風)が吹いており、これにより赤道上で暖められた海水が太平洋西部
(インドネシア付近)に吹き寄せられ、代わって太平洋東部には冷たい海水が湧き上がっています。
これを湧昇流といい、南米ペルー沖はカタクチイワシの好漁場になっています。
カタクチイワシってこんな魚です。
この海域の海水温や気圧の変動に関する研究が進むにつれて、エルニーニョやラニーニャは
海洋と大気の相互作用によって起こることが明らかになってきました。
それが太平洋の赤道付近の大気と海洋のENSOと呼ばれるエルニーニョと南方振動の相互作用
であるという考え方です。
エルニーニョやラニーニャの発生例を見ると、近年はそれぞれ約4年ごとに発生し、
一度発生すると1年から1年半持続しています。エルニーニョとラニーニャは交互に発生する事が
多いのですが、間隔をおいて発生したり、続けて2度以上発生したりする事もあり、
規則的に交互に発生する訳ではないようです。
エルニーニョが発生するとこの暖かい海水を押し流す貿易風が弱まるため、
暖かい海域(暖水プール)は太平洋中央部や太平洋東部に滞留するようになります。
これにより、太平洋東部から中部にかけての海水の温度が上がると同時に、太平洋西部の海水温
が下がるという相関関係があります。
エルニーニョが発生した際には、東太平洋赤道域の海水温が平年に比べて1~2℃前後上昇し
時には大幅な上昇を示すこともあります。
1997・98年にかけて発生した20世紀最大規模のエルニーニョでは、最大で5℃上昇しましたが
発生のメカニズムはまだ解明されていません。
エルニーニョに伴う海水温の変化は、まずその海域の大気の温度に影響を及ぼし、それが
気圧変化となって大気の流れを変え、天候を変えるという具合に世界中に波及します。
研究者の間では気圧や温度などが遠隔地間で協調しながら変化するこの現象を
テレコネクションと呼んでいます。
大気と海洋が密接に関連して発生する現象で海洋大気相互作用ともいいます。
具体的には、海水温の西低東高が気温の西低東高、さらには気圧の西高東低を引き起こす
ことでウォーカー循環と呼ばれる、従来の赤道付近の大気の循環を変化させてしまいます。
ウォーカー循環はラニーニャの時は強まり、エルニーニョの時は弱まることが知られています。
これがロスビー波(地球大気、惑星大気で見られる大気波)の伝播、赤道偏東風ジェット気流や
亜熱帯ジェット気流の流路変化などを引き起こしてドミノ式に低緯度・中緯度・高緯度へと
波及し、特有の気圧の変動を起こしています。
気圧の変化は湿・乾・暖・寒さまざまな性質をもった各地の大気の流れを変化させ、
通常とは異なる大気の流れによって異常気象が起こるとされています。
例えばアマゾンでは内陸の気圧低下によって大西洋からの暖かく湿った空気が流れ込み
高温多雨となるほか、中緯度の日本においても夏は梅雨が長引き冷夏になり、
冬は西高東低の気圧配置が安定せず暖冬になる傾向があります。
天候変化の影響を直接受ける太平洋赤道域ではエルニーニョが発生すると、
毎回同じような異常気象パターンが見られますが、
中緯度や高緯度、太平洋以外の赤道域では影響は間接的なもので、
一定の傾向は見られるものの回ごとに異なる異常気象パターンとなり、エルニーニョだからと
言って必ずしも冷夏・暖冬となる法則性もありません。
えーっ、まだ続くの・・・。って感じですよね。
参考:家を建てる前に読む本/改正住宅省エネルギー基準/解説と手引き/奈良憲道 編
あと一回だけ、堅い話にお付き合いください。
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posted by t.arai
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