グラスウールの施工

 

弊社で施工する機会が少ない断熱材と言えば、グラスウールおよびロックウールでしょうか。

硬質ウレタンフォームは標準的に採用しているし、浴室・玄関土間部分等の基礎断熱が必要な場合は

発泡プラスチック系断熱材も使います。

天井断熱を行う際には、セルロースファイバーだって使っています。

それぞれ、施工に伴う留意点はしっかりと把握しているつもりです。

でも、グラスウールおよびロックウールについては・・・。

グラスウールによる充填断熱工法の古い現場を見る機会がありました。

断熱材の施工はこんな感じです。

 建物の外部から見た写真です。

厚さ50ミリ(密度は10キログラム)、昔は良く見かけた断熱材です。

その施工方法を、グラスウールによる充填断熱工法の施工マニュアルに照らして確認してみたいと

思います。しばしお付き合いを・・・。

繊維系断熱材を使用した充填断熱工法における外壁の断面構成はこんな感じです。

断熱材の室内側に防湿フィルムを施工し、断熱材の中に湿気が侵入することを防ぎます。

また断熱材の室外側は、室内側よりも透湿性を高くします。

こうすることで、通気層を通じて湿気を外気に逃がしやすくします。

断熱材には、防湿フィルム付き(耳付き)と付いていないものがありますが、一般的な耳付きタイプにて

その施工方法を解説します。

断熱材メーカーが販売している断熱材には様々なサイズがあります。

モジュールや柱間など使用する部位に合わせて、寸法に合った断熱材を用意します。

断熱材に付属している防湿フィルムは室内側に向けて施工します。

室内側の石膏ボードと断熱材の間に隙間があると、気流上昇が発生し断熱効果は低下します。

壁厚に対して断熱材厚さが小さい場合は、外気側に隙間を開ける必要があります。

ただしその場合には、断熱材の外気側に防風層を設けないとなりません。

断熱材を充填する柱間や横架材間(梁と土台および梁と梁)に適したサイズの断熱材がない場合は

適宜長さや幅をカットしてから施工します。開口部廻りはカットする作業が多く発生します。

 繊維系断熱材をカットする場合は、隙間が出来たり垂れ下がらないように少し大きめにカットします。

防湿フィルムを一部剥がし、耳の部分を30ミリ以上残して断熱材をカットします。

防湿フィルムの耳は断熱材の4周確保する必要があります。

防湿フィルムの耳がないと、防湿フィルムが連続せず隙間から湿気が壁内部に侵入します。

グラスウールやロックウールは、吸湿性が高く放湿性が低い断熱材であり、一度濡らしてしまったら

著しく断熱性能が低下します。

外壁の断熱施工は、防湿層を連続させるために、天井野縁を組む前に行います。

野縁を組んでからの壁の断熱施工は難しくなります。

外壁に断熱材を入れ、上部は胴差または桁に30ミリ以上、柱と間柱の間は見付け面に30ミリ以上

防湿フィルムを重ねて、タッカーにて間隔200ミリ程度に留付けます。

壁の下端部は防湿フィルムを30ミリ以上床合板の上に折り曲げて留め付けます。

断熱材の下部の防湿材が床合板の上に折り曲げられない場合は、乾燥木材や気密テープで

押さえる方法も有効です。

防湿フィルムが傷ついた場合は、破れ目を気密テープで補修します。

以下は悪い例です。

防湿フィルムを間柱の横に留め付けてはいけません。防湿層が連続せず、断熱材が均一に

充填されない恐れがあります。

防湿フィルムが桁に留め付けられていても、断熱材がずり落ちては断熱欠損となります。

では、現場の方はどうでしょうか。

 

上の写真では、耳の部分を間柱の横に留め付けています。

また、断熱材の繋ぎ目には気密テープも貼っておらず、防湿層は連続していません。

この写真では、桁の下部に断熱材の隙間が見られます。

耳は桁に掛かっておらず、やはり防湿層は連続していません。

筋交い廻りの断熱施工の写真です。

こちらも同様です。

換気ダクト廻りの断熱欠損の写真です。

探せばキリがありません。

「断熱材が入って入れば良し」という時代の施工ですから。

いまさら、当時の大工さんを責めてみても仕方ありませんよね。

でも、もし現在建てられている高断熱住宅でも、こんな施工が行われていたら・・・

考えるだけでゾッとします。

施工者の知識や経験に頼る工法には、限界があると思います。

それをチェックする人間がいたとしも、毎日ずーっと見ていられる訳ではありません。

たった1か所の施工不良が建物をダメにしてしまうかも。

繊維系断熱材の施工は、本当に難しいと再認識しました。 

 

  https://www.assetfor.co.jp
  posted by t.arai 

 東京都練馬区北町2-13-11
     03-3550-1311
 東武東上線 東武練馬駅下車5分

練馬・板橋で注文住宅を建てるならアセットフォーへ資料請求
練馬・板橋で注文住宅を建てるならアセットフォーの見学会へ
  • 練馬・板橋で注文住宅を建てるアセットフォーのFacebook
練馬・板橋で注文住宅を建てるアセットフォーのホームページTOPへ