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前回に続き、断熱に関する基礎知識について書きたいと思います。
今回は、設計計画(プランニング)のお話からスタートします。
同じ床面積であっても、建物の形状や窓の大きさ、窓が最も多い壁面の方位によって暖冷房に係るエネルギーは異なります。
設計計画において省エネルギーの観点からみる留意点は以下のようになります。
・建物の形状は出来るだけシンプルにする。
・採光や通風を考慮しながら適切な大きさの窓の計画を行う。
東京など5・6地域以北の地域では、主な窓の方位が南向きであると暖冷房エネルギーは少なくなります。
上図は、同じ床面積でも外皮面積が異なる事をサイコロ状のモデルで表現したものです。
左は総2階建て住宅を、右は凹凸の多い複雑な形状の住宅を想定しており、右の方が約40パーセントも外皮面積が多くなっています。
外皮面積が多いと外気の影響を受けやすく、熱損失も多くなります。
窓面積が必要以上に大きいと熱損失が大きくなります。また外気の影響を受けやすいため、コールドドラフトや窓ガラス面からの冷放射による不快感も大きくなります。
上図は窓面積の違いによる熱損失を比較するためのモデルです。
右は左より熱損失が22パーセント増加しています。
窓の計画は、冬は日射熱を多く取り入れ、夏は出来るだけ日射熱を遮ることを考えます。
夏と冬で日射熱の入る割合を省エネ基準では「方位係数」としています。
冬は南に向かうほど方位係数の値が大きく日射侵入の割合が多くなり、夏は東西面の方位係数が大きく南は他の方位と比べても突出して日射侵入が多くないことがわかります。
この傾向を地域ごとに確認し、方位別の窓面積などの計画を行います。
床面積120.08㎡の同じ間取り・同じ断熱仕様で、外皮面積・窓面積が異なるケースの暖冷房一次エネルギー消費量を比較したのが下データーとなります。
外皮面積を増やしても、開口部面積を増やしても、暖冷房の消費エネルギーが増える事がわかります。
外皮面積増大に比べて開口部面積増大の方が、エネルギー消費量の増大が大きい事で開口部の熱損失が、より大きいことがわかります。
6地域における主要開口部の方位ごとに暖冷房一次エネルギー消費量を比較したのが下データーになります。
方位以外の間取り・断熱仕様は同じになっています。
主要開口部が南の時年間エネルギー消費が最も少なく、北西・北東の時に最も多くなっています。
次回は、省エネ化の背景についてのお話しをご紹介させていただきます。
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posted by t.arai
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