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なんだか、凄いタイトルですよね。
今回から新しいシリーズのスタートです。
我が国においては、主に省エネルギーという側面から議論されてきた住宅の高断熱化(もちろん高気密化も含んでいます)ですが、欧米では住環境が人体に与える影響についての考察から、暖冷房効果が高く省エネルギー性能に優れている住宅は、人間を自然環境から守り、特に気候が関係する病気や成人病の発症に対する予防効果あることが明らかになってきました。
特に寒冷地に位置する北ヨーロッパでは、住宅の寒さが健康に与える悪影響は常識とされ、研究も進んでいます。WHO(世界保健機関)からも住宅の温熱環境が健康を守るという側面からNEBで温熱環境の快適な室内環境の確保が重要だと報告されています。
エネルギー消費の削減による便益をエナジーベネフィット(EB)と言います。化石燃料の消費を削減することで経済的な恩恵を期待し、その手段として住宅の高断熱化に取り組んでいました。
しかし、この住宅のエネルギー消費を抑えるEBには素晴らしい副産物が潜んでいることが建築家や住環境学・住宅設備学、そして医学者の間から公表されるようになってきました。それがノンエナジーベネフィット(NEB)という考え方です。
住宅の高断熱化が遅れていた日本でも、結露やヒートショックなどによる健康への悪影響が広く知られるようになり、快適な居住環境で健康な暮らしを目指す「健康維持増進住宅」の研究も進んでいます。
EBという視点で語られてきた住宅の高断熱化でしたが、この議論ではどいつやイギリスなどと比較して暖房費をそれほど使用してこなかった我が国では説得力に欠けます。
住宅性能を比較してみても、欧米では無暖房住宅やゼロ・エネルギー住宅が主流にも関わらず、我が国では5000万戸の既存住宅の内、次世代省エネ基準の性能を満たす住宅ですらその5パーセントにも満たないことが指摘されています。
高断熱・高気密住宅の必要性を説くと、必ず子供達が寒さに耐性の無い軟弱になるのではないかと心配する方がいます。精神修養で真冬の海に飛び込んだり、滝に打たれるのは医者に言わせれば愚の骨頂であり「百害あって一利なし」で、むしろ危険極まりないと言えるでしょう。
成人の場合も脳卒中や心臓病の発症原因にもなりますし、子供も身体を冷やすことで様々な疾病の引き金を作ってしまいます。たくましく育てるためには、寒さという異常な負荷を与えるよりも適切な温度管理の下で、温度負荷を与えず運動ができる環境を与えた方がよほど元気な子供が育つはずです。
今日のところは、ここまでとします。堅い話ばかり続くとしんどいですよね・・・。
次回は、日本の世帯当たりのエネルギー消費ってどうなのよ?と言うお話です。
引き続きお付き合いいただけますよう、よろしくお願いします。
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posted by t.arai
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