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前回に引き続き、堅苦しい話をお届けします。
今回は、高断熱化で脳血管疾患は確実に低下するというお話です。
上のグラフは平成7年・12年・17年・22年の脳血管疾患及び脳梗塞の都道府県別年齢調整死亡率を表したものです。
脳血管疾患・脳梗塞の死亡率は各県とも年々減少していますが、調査が開始された平成7年の段階では、宮城県が男女ともに日本一の脳血管疾患・脳梗塞の死亡率でした。
脳血管疾患・脳梗塞は、塩分を摂りすぎている地域の代表として秋田・青森・岩手県などの地域が多いと思われがちですが、実際には太平洋側に面して東北地方では比較的温暖な宮城県が日本一の羅漢率だったのです。
しかし平成12年の調査では、宮城県の羅漢率は男女ともに急激に減少しています。この減少が意味するところは、宮城県の住宅性能向上の歴史と符号します。
平成4年(新省エネ基準)から調査年の12年の前年に施工された平成11年(次世代省エネ基準)までの間に宮城県は住宅の温熱環境を格段に高めた為、それが数値の減少につながっています。
もちろん他県においても、省エネルギー基準の改正以後の羅漢率は格段に減少しています。
宮城県と同じように福島県や茨城・栃木・群馬県なども脳血管疾患・脳梗塞が多い地域ですが、これは南九州の鹿児島県や南国土佐の高知県とも一致した現象として考える事ができます。
この地域に住んでいる皆さんは、自分の住んでいる地域は暖かいと自認している事が多く昔からの伝統的な夏型の住宅で暮らしています。こうした住宅は断熱性が極端に低くなっており、それが原因であると考えられます。
住宅の断熱施工は、温暖化の影響で気温が高くなった現代では、寒さ対策と言うよりも暑さ対策で考えられることも多くなっています。
九州や四国のような蒸暑地域の、気温35度を超える気候条件では、夏のエアコンは欠かせないものになっており、窓を開けて風を通すという涼風を自然に求める生活は不可能になりつつあります。
夏の冷房の為の断熱施工を行う事が、結果的に冬の暖房効果を高めます。つまり夏の熱中症対策をする事で冬のヒートショックを防ぐ事も出来るのです。温暖な地域においては、こうしたアプローチも有効だと思われます。
以下は、慶応義塾大学伊香賀俊治研究室による「高知県、山口県における先進的な住宅と健康に関する調査と取り組み」の中から抜粋したものです。
左側のグラフを見ると、最高血圧が高い人ほど心疾患や脳血管疾患の発症率が高くなる事がわかります。
また右側のグラフでは、その発症率が住宅の断熱性能の向上により低下する事がわかります。
断熱性能の高い住宅に住むことで、省エネで快適な生活を実現する事ができます。
でもそれだけではありません。
最高血圧が低下し心疾患や脳血管疾患の発症率が下がるという、健康効果を高める事にも繋がります。
次回は、断熱性能と疾病の羅漢率と改善率というお話です。
引き続きお付き合いいただけますよう、よろしくお願いします。
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posted by t.arai
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