医学と建築学が明らかにした住宅の断熱性能と健康との関連 9

前回に引き続き、堅苦しい話をお届けします。

今回は、断熱の運動にも勝る改善効果というお話です。

前回ご紹介した20000人調査では、協力して戴いた方々の日常習慣も聞いています。

飲酒の頻度・煙草の有無・運動の頻度などがそれで、それぞれの行為ごとに前述の健康改善効果を分析することが出来ます。

上図はこれらの結果を断熱による効果と相対的に比較したものです。例えば咳の場合、改善の約5割が断熱、3割が喫煙、2割が運動による影響と出ています。

日常生活において適度な運動を行うことは、健康を保つために非常に重要と言われ、生活習慣病の予防に欠かせないものと位置づけされています。確かに本結果でも運動は、日常生活習慣の中で最も影響が大きいと出ています。しかしながら、この調査結果では住まいの断熱はこの運動よりも大きい影響を持つ事が示されています。

これまで断熱は冷たさや暑さを和らげ、快適性を向上させると言われてきました。でも快適は人それぞれの感覚によって大きく左右されます。

同じ断熱でもその効果は人によって変わる事になり、求められるものは個人の好みになります。健康も人によって大きく異なるのは同じですが、これらの重要性は社会的な意味でも明らかです。住まいの断熱化は社会として重要と言えるでしょう。

この調査結果では、生活習慣が健康改善効果に与える影響は大きなものでありますが、それよりも大きな効果を与えるのが住まいの高断熱・高気密化である事を明確にしているのです。

VOC(揮発性有機化合物)が問題視されていたアレルギーやアトピーですが、住宅の温度環境の改善による効果が大きい事も明らかになっています。

気管支喘息や手足の冷え、目・肌のかゆみも室内温度環境に大きな影響を受けます。

人体を寒さから守り、人体の蓄熱量を増やす工夫をすれば、かなりの疾病に効果がある可能性がこの研究から見てとることができます。

身体を冷やさない断熱性能を持つ住宅であれば、人体の負荷を感じて起こる病気の原因ともなるストレスを防ぐ事も可能となるでしょう。

次回は、24時間暖房が健康維持の要というお話です。

引き続きお付き合いいただけますよう、よろしくお願いします。 

 

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