計画換気のお話しをする前に・・・

『FPの家 S邸』

只今現場では、計画換気を有効に行う為の「24時間換気システム」工事が大詰めを迎えようとしています。

と言っても、そんな大袈裟な事をしている訳ではありません。

コントローラーを取り付けたり、給気口の外側にフードを取り付けたり・・・。

ハウスクリーニングが終わり、キレイになった状態で改めてご説明したいと考えています。

と言う事で、今回は計画換気が必要な理由についてお話しします。

お部屋の空気というのは、皆さんが思っている以上に汚れている場合が多いようです。

昔の日本の住宅は、隙間から自然に空気の入れ替えが出来ていました。

あえて「換気」の事を考える必要もありません。その代わり、冬の寒さはひたすら我慢・ガマン・がまん・・・。

現在の住宅はアルミサッシや断熱材の使用等により、以前に比べて気密性能が高くなりました。

その結果、部屋の空気も思うように流れず換気不足に陥る事も・・・。

お知り合いの家を訪ねた際に、独特の臭いを感じた事はありませんか?

それは換気不足による空気の汚れ、つまり空気の質が悪くなっているサインなんです。

汚れた空気ってどんなものなんでしょうか?

1日当たり、どの位吸っていると思いますか?

空気は私達が1日に体内へ入れる様々な物質の中で、半分以上を占めています。

その量はナント約18キログラム。4帖半の部屋いっぱいの空気量に相当します。

その空気の中に汚染物質がウヨウヨしているとしたら・・・。

汚染物質と言われるものは、以下の通りです。

以外に思われるかも知れませんが、水蒸気も汚染物質と考える事が出来ます。

水蒸気(湿気)量は、高くなると結露あるいはアレルギー疾患の原因となるカビ・ダニの発生を増加させ、私達の健康に大きなダメージを与えるのが理由です。

湿度を高くする原因はたくさん考えられます。その代表的なものは以下の通りです。

家の中で発生する水蒸気量は、家族4人で1日当たり約10キログラムとも言われています。

湿気が招く空気の汚れについては、私自身あまり考えた事はありませんでした。

でも、とある本を読んでみて、少し認識を改める事が出来ました。

そこで、その「1冊の本」をご紹介したいと思います。

評言社刊/江頭修作著/やっと健康な家に住める!免疫住宅

この中の一部を以下抜粋しました。

少し長くなります。

先述の話と重複する部分もありますが、ご了承ください。

住まいの空気を汚している最大の敵は誰?

人が一生涯で一番多く摂取するものは何か?

こんな事を考えたことがありますか。

食べ物・飲み物・空気・その他いろいろ思い浮かぶでしょう。

食べ物や飲み物は毎日の事ですから、かなりのウェイトを占めます。でも口から身体の中に入る物質で一番多いのは「空気」なんですね。空気は人が身体の中に入れる物質のなんと83パーセントを占めています。次に多いのは飲み物で8パーセント、食べ物は7パーセント、その他2パーセントという順番です。

圧倒的に空気が多い事がおわかりでしょう。

ではその空気のうち、自宅で吸う空気と自宅以外で吸う空気の割合はどうなっていると思いますか。

自宅以外の建物中で吸う空気は、意外に少なくて室内で吸う空気全体の25パーセントに過ぎない。自宅で吸う空気は75パーセントに達します。

これを食べ物や飲み物を含めた口に入れるもの全体の重量比でみると、自宅で吸う空気は総重量の56パーセントになります。つまり、私達が一生の中で口に入れるものの半分以上は「自宅の空気」だということです。

口に入れるものは、何であれ私達の身体に影響を及ぼします。自宅で吸う空気が一番多いとしたら、その質が問題になってくるのは当然です。

良い質の空気を吸えれば健康に良い。質の良くない空気を吸えば健康を損ねることになる。

これは誰にでもすぐわかる事です。大気か汚染された工業地域に住んでいると、家の空気も当然汚れ、喘息などを起こす人が増えることは、すでに私達は経験済みです。

だが、自分の家の空気が危険なほど汚れているとまでは、考えない人の方が多い。空調設備は整っているし、換気もちゃんとしている。たとえ外気が汚れた空気でも「家の中なら安心だ」と思っていないでしょうか。

現状はどうかというと、住空間の空気環境は目に見えないところで、とても恐ろしいことになっている。はっきり言って、今多くの家庭の空気はものすごく汚れていて、健康を損なうほどの危険な状態にあるのです。

こう言うと、「ああ、シツクハウスの事か」と思うでしょう。確かにシックハウスも問題です。でも今一般的に言われているシックハウス症候群は、新築住宅やリフォームした場合の事です。

ずっと以前に建てた家にお住まいの方は、「うちは新建材を使っていない」、あるいは新建材を使っていても「随分時間が経っているから心配ない」、こう考える方のほうが多いと思うのです。

だが、そうではありません。どんな経歴の家にお住いの方でも、シックハウスは起こり得ます。今は家族の誰もが自分の家のせいで、不健康や病気の危険にさらされている。その原因はいったい何だと思いますか。

それは、カビとダニです。

どんな経歴の家にもハウスダストとして必ず存在しているカビとダニによるところが大きい。家の構造材料もさることながら、カビやダニが繁殖しやすいライフスタイルによって、知らず知らずのうちに住まいの空気環境を、自ら大きく悪化させているのです。

私が講演などでこういう話をすると、「どうしてだろうか?」と不思議がる方が大勢います。無理もありません。戦後に建てられた住宅は、後でつくられたものほど快適・便利で清潔になっているからです。

なのになぜカビやダニの害に悩まされるのか。それは戦後の洋風化された住宅構造と、暮らし方に一番の問題点があります。

かっての和風住宅というのは、高温多湿の我が国の気候条件に合わせ、家自体が一定の通気性を保てるように出来ていました。北海道や豪雪地帯の一部地域を除けば、日本家屋は「夏標準」でつくられていて、風通しが良かったのです。

戸を閉め切っていても、一時間に数回は部屋の空気が自然に入れ替わる構造になっていました。

ところが戦後に建てられた住宅は、いずれも気密性を重視する構造になりました。

空調設備がどの家庭にも入るようになったからですが、この変化が日本の気候条件に合わず、カビの発生とダニの増殖を許すことになってしまったのです。

日本人は長い間、高温多湿の環境で暮らしてきたので、カビの存在には割と慣れっこになっていて、例えば少しくらい餅にカビが生えても、取り除いて平気で食べてしまう。「カビくらい」と考える人がほとんどです。

だがカビを甘く見てはいけません。食べ物でも道具類でも壁でも畳でも、繁殖出来る条件さえ整えば、カビはどこでも繁殖する。一定量繁殖すると、カビ自体が人体に有害な揮発性化学物質(VOC)を出すからです。

揮発性化学物質とは、常温で分子構造を変え気体となる物質の事です。新建材がこのガスを出すので「シックハウス症候群を招く」といま問題になっていることは皆さんもよくご存知でしょう。

VOCガスを出すのは新建材だけではありません。カビも出すのです。カビの場合は、カビの胞子が成長する時、菌糸から出る酵素と化学反応を起こし、VOCガスを発生させる。そういうことが最近の研究でわかったのですね。

初めは「本当かな?」と疑問視する人がいたようですが、繰り返し実験が行われた結果、今では「カビのある環境では揮発性の有毒物質がつくられることは疑いようがない」と広く認知されるようになっています。

この事実は世界的に権威のあるイギリスの科学雑誌「ネイチャー」などに研究成果が発表されていますから、興味のある方は、科学雑誌などで確かめてみてください。カビの恐ろしさというものに改めて驚かれることでしょう。

もともとカビは自然の土の中にいる菌類の仲間です。カビは植物の種にあたる胞子から芽を出し、根に当たる菌糸を広げ栄養を取り込んで成長します。成長すると仲間を増やすため新たな胞子を生み出します。カビの胞子が高濃度のVOCガスを出す様子は、NHKテレビが特集番組で放送したので、あるいはご覧になった方もおられると思います。

カビは繁殖してくると肉眼でも見えるので、「ああカビだ」とわかりますが、少しだと目に見えない。見えないと「ない」と思ってしまいます。しかし、目に見えない段階でも有毒ガスを出して部屋の空気を汚しているのです。

それだけではない。カビはダニの恰好のエサになります。したがってカビの多い環境はダニをも繁殖させてしまう。ダニの糞や死骸はアレルギーの素(アレルゲン)になる。このようにして、今の住宅は見た目のモダンさや清潔さにも関わらず、カビやダニが大量発生する温床になっているのです。

これで、「自分の家は新建材を使っていないからシックハウスの心配がない」と言っていられない事がおわかりでしょう。

また、最近の子供達が小児喘息やアレルギー性の病気などに悩まされる訳も了解していただけるはず。つまり有害な新建材と無縁な家に住んでいても、健康被害を生じさせるほど室内の空気は汚染されているという事です。以下、略

いかがでしたか。

FPの家には、壁内結露50年保証がついています。でもライフスタイルによる室内のカビやダニをゼロにする事は不可能だと思います。

室内の湿気や有毒ガスは勿論、人体が発する炭酸ガス等をキチンと計画的に理想的なルートで屋外に排出する換気システムが必要不可欠な理由がお判りでしょう。

どんな換気システムがいいのか、如何に計画的に換気を行う事が難しいのか。

この件はいずれ機会を設けてご説明したいと思います。

その際も、是非お付き合い戴けたら・・・と思います。

長々と堅いお話しにお付き合い戴き、ありがとうございました。

 

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  posted by t.arai 

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