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休日ですから、こんな話はいかがでしょうか?
昔、「棟梁」は偉かったというお話しです。
大統領ではありません・・・。
実際調べてみると、かっての棟梁=大工は尊敬される存在だった。
例えば、「大工調べ」という有名な古典落語がある。五代目柳家小さんが十八番にしていた演目だ。
ストーリーはこうだ。
長屋に住む大工職人「与太郎」が家賃(店賃)をため込んでしまう。
その借金一両と八百文の抵当に、大家が大工道具を取り上げてしまった。
道具の無い与太郎は仕事ができない。取り返す知恵もない。
困って相談するのが、「棟梁」なのである。
棟梁の政五郎は大家と渡り合うが、こじれてしまった後でラチがあかない。
そこで奉行所に訴え出る。出てくるお奉行は、あの大岡越前守だ。
大岡越前守が出した判決は、
20日間も道具箱を留めおいた大家に、「20日間の手間料を払ってつかわせ」。
手間料は1日10匁目だから、20日間で3両2分。与太郎と棟梁の大勝利である。
帰ろうとするところに、お奉行が声を掛ける。
奉行「あァ、これ。政五郎待て」
棟梁「ヘェッ?」
奉行「1両と八百文の抵当に、日10匁目の手間。こりゃア、ちと、儲かったであろう?」
棟梁「ヘェ、大工は棟梁。調べはごろうじろ・・・。」
(志ん生長屋ばなし/ちくま文庫)
「細工は流々、仕上げはごろうじろ」に引っ掛けたサゲだか、注目したいのは、棟梁の存在の仕方だ。
この落語の中で、大工の棟梁は、いけすかない大家とも、名奉行の大岡越前守とも対等にやり合っている。
棟梁=頼もしい存在。
この落語の裏側には、こうした共通の認識がある。
では「大工」とは何か?
どんなルートで家を建てようと、現場に出てくるのは「大工」である。これは今も昔も変わりない。
この「大工」もともと「おおいたくみ」や「だいこう」と読み、令制で木工寮、太宰府に属し、造宮・造寺など工事のことをつかさどった上級技術者の事だった。/日本国語大辞典(ジャパンナレッジより)
木造建築の職人。5世紀には木工(こだくみ)と呼ばれた。
8世紀頃、大工(だいこう)は技術官人の最高者の職名であり、木工・鍛冶や壁塗(左官)職のそれぞれに大工が存在した。
11世紀になって木工は独立した職人となり、年間のうち一定期間を上番して労務に当たるところから番匠とも呼ばれた。
そして16世紀に入ってから、一般に木工・番匠と呼び習わすようになった。
この頃より建築技術は長足の進歩を遂げ、まず木割術(建築部材の大きさの割合を決める工法。つまり柱の径・柱間などの基準にして部材の大きさを決定するもの)が確立された。/ニッポニカ(ジャパンナレッジより)
「大匠」とも書いたというから、いわば大工とは技術者のトップである。
そもそも、大工には「棟梁」の意味も含まれていたのである。世間から尊敬を集めていたのだろう。
やがて大工は現在の意味に固まってくる。
大工が、木工と同義の職種名に転ずるのは戦国時代であり、ほぼ同時に木工の指揮工の呼称は大工から棟梁に移行する。/国史大辞典(ジャパンナレッジより)
ヨーロッパに行けば、レオナルド・ダ・ヴィンチは、モナリザを描いた画家や発明家である前に「建築家」として紹介される。ものづくりの中でも、「建築する」ということは世界でも常に尊敬されてきたのだ。
この話、次の本より抜粋引用させていただきました。
この本の中に、工務店と呼ばれる会社のいくつかのタイプという話が出てきます。
再び、抜粋引用させていただきます。
工務店と呼ばれる会社にはいくつかのタイプがあるので、ご紹介したい。
1.ハウスメーカー同様に設計・施工を行う。もちろん各種保証や融資相談にも乗れる工務店。
2.分譲住宅会社の下請け専門業者(職人軍団)
3.ハウスメーカーの下請け専門業者
4.リフォーム専門業者だが、たまに新築住宅を請け負う業者
5.不動産会社のように、自社では設計・施工をせずに住宅販売を専門にしている業者
2と3の違いはその仕事と単価である。
2はあくまでも大量に早く安くつくる事を得意としていて、3はハウスメーカーの1棟ずつの仕事に対応出来る業者なので、その仕事には違いがある。
もし、依頼主が設計に自信があるなら2か3の業者を選ぶ事もある。その場合、資金や保証も自分で考えなければならない。その代わり、ハウスメーカーの価格よりも15パーセント程安く契約出来る。
私は、1の工務店を探す事をお勧めしている。
住宅の建築はデザイン×性能×施工能力の総合力が問われてくることは、私の経験から明らかである。
そんな事を知らずに、工務店に頼んでみたら
「実際にお客さんと契約したのは1年ぶりでした」
なんて事は珍しい話ではない。そんな会社と契約したら・・・。
また「安い=工務店」という考え方も正しいとは言えない。
ここで価格についても少し触れておきたい。
ハウスメーカーは大量に購入しているから資材が安いという誤った考え方を持った人が多い。
その間違いは、インターネットの比較サイトなどを調べると判る。
規模が大きい会社が上位にいることは稀である。
私は1996年にNCNを起業するまで総合商社に勤務していたが、当時私の所属する木材本部は日本の輸入木材のシェア10パーセントを扱っていた。しかし、価格が日本一安かった訳ではない。(もちろん安くする為の努力はしていたが・・・)その100分の1の扱い量の会社の方が安かった経験も多い。
例えば合板で言えば、日経新聞に掲載されている合板相場より安く買う事はできない。
1000枚買っても10万枚買っても、1枚の価格はほぼ同じだった。特に木は天然素材なので大量に同じ物を揃えることで、かえってコスト高になることの方が多かった。
情報と流通が発達した今、大量購入のみで賄えるコストは数パーセントもない。
私が大手ハウスメーカー数社の建築費内訳を精査したところ、住宅建築に関するコストは、粗利益25パーセントならば30パーセントが材料費で25パーセントが工賃であることがわかった。
30パーセントの材料費を大量購入で5パーセント安く出来ても、トータルではたった1.5パーセントしか安く出来ない。それよりもモデルハウスや広告宣伝費の方がはるかに大きい。また、工賃も大量に発注すれば安くなるというものではない。大工さんの日当があるからだ。
だからコストに関して言えば、同じ物を作れば同じ位かかるという原理原則は変わらない。
安い物には理由があるということを覚えておいて欲しい。
私が言いたい事を、著者がしっかりとお話ししてくれました。
ありがとうございます。
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posted by t.arai
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