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毎回毎回、堅苦しい話をお届けして申し訳ありません。
断熱性能と子供の風邪予防というお話です。
上図はエアコンと蓄熱ストーブで暖房した場合の、温熱環境・省エネ対策等級2と3の住宅の室温を比較したものです。
エアコン暖房は、対流により室内を暖めます。(対流式暖房)蓄熱ストーブは、一般的な石油ストーブと同じ輻射式暖房になります。また床暖房は伝導式+輻射式になります。
エアコン暖房は空気を暖めて暖房する方式です。吹き出し口の温度は45度程度にもなりますが、等級2の場合はエアコンの暖房温度は床面まで届いていません。等級3でも若干の影響はあるものの、床面までは届いていません。
蓄熱ストーブも同じように床面温度に影響を与える事はなく、暖かい空気は天井に蓄熱されています。
いずれにしても冷たい空気は排除される事なく床面に溜まり、「室温は高いのに足元が寒い」という現象が起こります。
室内の中央部は暖かくて我慢出来ない範囲まで温度が上昇していますから、エアコンと蓄熱ストーブの組合せはミスマッチである事がわかります。
このような環境で子供を床近くに寝かせていたら、親は暖かいのに子供に風邪を引かせてしまう事になりそうです。
エアコン暖房の欠点は、住宅の上部しか暖かくならないところです。蓄熱ストーブも同様です。
そこで床暖房の登場となる訳ですが、床暖房も単独では床しか暖まらないなんて事も・・・。
エアコンと床暖房の組合せは非常に相性が良いのですが、注意しなければならない事もあります。
床暖房温度を低温に保つ事が重要で、低温火傷や埃の舞い上がりを防止する必要があります。
国際標準化機構(ISO)やドイツでは29度以下、スウェーデンでは27度に決められています。
高性能エアコンで暖房を行う場合は、天井ファンの設置をお勧めします。エアコンと別の方向から天井に向けて送風する方法も有効です。
それによって室内の高温な空気が攪拌され、天井から床面までの温度が均一になります。断熱性能の悪い住宅においては不快な風と感じる事になるかもしれませんが・・・。
こうした状況は、住宅の断熱・気密性能を向上する事で解消する事が可能です。
エアコンによる暖房でも、天井から床面まで温度差が無くなり、不快な風を感じる事もなくなります。
こんな事にならないよう、断熱・気密性能を高めた住宅をお勧めします。
以上で、「医学と建築学が明らかにした住宅の断熱性能と健康との関連」というお話は終了です。
長い間、お付き合い戴きありがとうございました。
暖かい家と健康の関わり、ご理解戴けたでしょうか?
次回からは「高性能・省エネ住宅の為の基本」というお話をしたいと思います。
まずは、自然風の利用と制御というお話です。
引き続きお付き合いいただけますよう、よろしくお願いします。
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posted by t.arai
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