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性懲りもなく、堅苦しい話をお届けしています。
今回は通風の目的というお話です。
建築技術:発行
南雄三:著
南雄三のパッシブ口座 通風トレーニング
より抜粋・引用させていただきました。
日本人は通風が大好きです。
では通風にどんなメリットを見つけているのでしょうか。
ここでは、通風の目的を整理してみました。
あなたは「換気」と「通風」の区別がつきますか?
「なぜ、風通しがあると洗濯物は乾くのか」説明できますか?
室温が外気より高温になった場合、通風する事で室内の熱気を排除する事が出来ます。
下図のように、窓を閉め切った状態では30度を超える部屋でも、通風により外気温に近づける事が出来ます。
窓がそれぞれ壁の中央にあるので、風の経路はまっすぐで、周辺部には淀みが見られますが、それでも3分後には全体的に同じ温度に均されています。
日中は暑くて堪らない外気も、夜になれば放射冷却で温度を下げます。
この低温の外気を朝まで取り込み、室内温度を下げる事で翌日の冷房負荷を低減させる事が出来ます。
ナイトパージと言います。
風があっても、室内温度が下がる事はありません。
それでも風があれば涼しく感じます。
下図は気温と風の強さが及ぼす快適性を、快適指数PMVを用いて示したものです。
グリーンの帯の中のPMV+0.5~-0.5の範囲です。
微風だと26度を超えるとこの範囲から外れますが、0.5メートル/秒の風があると27.5度でも範囲内になります。
ここで、PMV/予測平均温冷感申告(Predicted Mean Vote)についてご紹介します。
人体には、暑い時には発汗して体温を下げ、寒い時には震える事で熱を作り、手足の血管を収縮させて放熱を防ぐメカニズムがあります。
一方、人間は暑くも寒くもない時が熱的に不快の無い状態で、この状態では体温調節のストレスから逃れ、脈拍・血圧とも安定しています。
つまり快適な状態は健康な状態と言う事が出来るのです。
暑くも寒くもない状態を「中立」と表現します。
温冷感を7段階の尺度で示したのが予測平均温冷感申告(PMV)です。
中立な状態でも、100パーセントの人が満足する事はありません。
これを示すのが予測不快者率(PPD)とPMVの関係を示したグラフです。
PMVがゼロでも5パーセントの人が不満を持つと予想され、国際標準化機構ではPMVプラスマイナス0.5以内(不快者率10パーセント以下)となる温熱環境を推奨しています。
熱気は室内の空気を清浄にする事を目的にするのに対し、通風は涼しさを得る事が目的です。
換気回数で言えば、換気は0.5回/時間程度が要求されるのに対して、通風はその10倍以上の換気回数(5回/時間)が要求されます。
換気回数0.5回/時間と言うのは、室内の全ての空気が2時間に1回入れ替わる事を示します。
風がないと、洗濯物周囲の空気が湿気で飽和状態になります。
この飽和状態の膜に覆われた洗濯物の水分は、それ以上蒸発出来なくなります。
この状態では、洗濯物は乾きません。
風はこの飽和状態の空気の膜を吹き飛ばす事が出るので、洗濯物の水分は自由に蒸発する事が可能になります。
室内に洗濯物を干す場合にも、通風が効果を発揮します。
カビやダニが発生するには適当な温度と湿度、そして食物が必要になります。
室内を清潔にし、高湿度にしない事で防ぐ事が可能です。
いかがでしたか?
風についてのお話し、知っているようで知らなかった事もあったかと思います。
次回は、昼光(太陽光)の利用というお話です。
引き続きお付き合いいただけますよう、よろしくお願いします。
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