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快適な室内環境を実現する為には、まず「温熱環境の6要素」の関係を知らないとなりません。
温度・湿度・気流・放射の4つは住宅を設計する際に考慮すべき要素であり、
活動量と着衣量は生活する側に委ねられる要素となります。
6つの要素を簡単にご紹介します。
今回は、この中でも最もわかりにくいと思われる「放射(輻射)」についてお話したいと思います。
熱には、伝導・対流・放射という3種類の伝わり方があります。
このうち放射は、熱を媒介する物質(空気や水など)が無くても高温の物体から低温の物体への熱が移動する事を言います。
宇宙空間に空気はありませんが、太陽の熱エネルギーは地球まで届きます。これは放射のお陰です。
伝導は、分子の動きが活発化し衝突しながら熱が伝わります。(熱源に近いヤカンの底が熱くなる。)
対流は、物質の移動により熱が伝わります。(温まった水が下から上に移動し始める。)
全ての冷暖房機器は熱の移動を、伝導・対流・放射のいずれか、あるいはその組み合わせで実現しています。
放射・・・。
これほど身近なヤツはいませんが、これほど存在感のないヤツも珍しい、それが「放射さん」です。
その例を挙げると、
直射日光の暖かさ
焚火の暖かさ
電気ストーブ・オイルヒーターの暖かさ
これらは全て放射です。
放射とは電磁波の一種で、物質から物質へ電磁波により伝わる熱を言います。
先程のヤカンの例で言えば、火の近くにいると暖かくなります。
エアコンによる熱移動と根本的に異なるのは、空気を対流させて室内温度を変化させる訳ではないという事。
部屋の空気は暖められませんが、部屋にある「モノ自体」は暖める事が出来ます。
「放射さん」にとっては、周りの空気なんて全然関係ありません。典型的なKY。
自分のチカラの及ぶ限り、アツイ熱を届け続ける。
これが熱血漢、放射さんの生き様です。
放射は電磁波の波の動きで熱を伝えます。
それゆえ、波の動きが遮断されると熱はあっけない程伝わりません。
燃え盛る焚火も、焚火との間に誰かが割り込めば暖かさが激減します。
エアコンの前を人が遮っても、暖かさが変わらないのとは根本的に異なります。
住まいの快適さに影響を与える「放射さん」は、ほとんど太陽からの放射です。
ゆえに彼とのお付き合いは以外と簡単です。
夏は室内に直接侵入しようとする放射(直射日光)を遮れば良く、逆に冬は放射を遮るモノを無くして直射日光を出来るだけ取り込む事になります。
室内には太陽以外の放射もあります。
家の中でじっとしている床・壁・天井・その他あらゆるものからも放射は発生しているのです。
床や壁等から発せられる熱を「放射温度」と言います。
断熱性能の高い住宅の場合に床・壁・天井の表面温度は室温と同じになりますが、そうでない場合は、室温より低かったり高かったり。
また熱容量の大きいコンクリートやタイル等を採用した場合は、室温と同じになるまでの時間がかかります。
ゆえに夏は一旦熱が蓄えられると厄介な事になってしまう事も・・・。
室内温度(空気温度)と床・壁・天井の表面温度の平均を足して2で割ると、体感温度にほぼ合致します。
表面温度と室温との間に差があると、体感温度に影響が出る事になりますから注意が必要です。
表面放射温度で注意したいのが窓ガラスです。
夏も冬も外気温に近くなりやすい場所ですから、窓が大きな部屋は厚手のカーテンや高性能サッシを使って、「放射さん」を遮断しないと体感温度に影響を与えかねません。
いかがでしたか?
山田浩幸 著/エクスナレッジ 刊
エアコンのいらない家 自然のチカラで快適な住まいをつくる仕組み 一部抜粋
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