blog
以前にこの場を借りて、サシガネについてのお話しをした事があります。
お忘れの方・ご興味のある方は、以下のページをご覧ください。
http://blog.goo.ne.jp/assetfor/e/f8e43228799bcb3cc3cc34c8a28979a8?fm=entry_awp
この時、サシガネの裏目の横に刻まれた8つの文字については特に掘り下げる事もなく、「中国から伝わったものであり、吉凶を判断した」程度に留めていました。
今回は、この8つの文字について書きたいと思います。(もちろん、受け売りです。)
財・病・離・義・官・劫・害・吉の8文字、天星尺とか魯般尺というそうです。
『建築徒然草』の著者山片三郎氏は次のように述べている。
「天星尺」は主として門、墓、床の間などの枢要なものの幅や長さを定めるために、その吉、凶を示すもので、中国の周の時代に魯の国の魯般という名匠の創案によるものと伝えられ、別名、魯般尺、北斗尺、門尺、門明尺、唐尺などと呼ばれている。天星尺は一目盛が四.五センチ間隔で上の方から「財、病、離、義、官、劫、害、吉」の八文字が彫りこまれている。この天星尺で測ったとき、最後の端が、もしも「財」のところになれば、その長さは福徳、財宝の吉の寸法ということになる。
「財、病、離、義、官、劫、害、吉」の目盛の意義の解説は長文になるため、その概要のみを記述する。
財、ザイ、タカラ(吉)、福徳、財宝、天富星 この寸に当れば常に宝多く、富貴する也。
病、ビョウ、ヤマイ(凶)、絶命、病気、天疾星 この寸に当れば常に病人多く、悪き寸也。
離、リ、ハナル(凶)、禍害、離散、天逃星 この寸に当れば親に離れ、子、家、田畑失う
義、ギ、サイワイ(吉)、遊年、義快、天順星 この寸に当れば繁昌し喜び多く全て成就する。
官、カン、ツカサ(吉)、天屋、官進、天爵星 この寸に当れば官位進み農商は、よくなる。
劫、コウ、カスムル(凶)、遊離、盗難、天刃星 この寸に当れば家に盗人絶えず萬に損あり
害、ガイ、コロス(凶)、絶対、災害、天破星 この寸に当れば度々死人多く憂い悲しみあり
吉、キチ、ヨシ(吉)、生家、名誉、天祥星 この寸に当れば家に良き事有り常に喜び多し
と天星尺の吉、凶について述べている。
この目盛りは中国から伝わってきたものだとされています。
吉凶を判断したものだと言われていますが、今ではほとんど使われていません。
元々実用的な意味があるものではなく、陰陽道のようなものと関係があるようです。
たとえば、入口のところの高さは吉にあたる長さを何倍かにしたものとする。
そんな使い方をしたようで、棟札(寺社・民家など建物の建築・修築の記録・記念として、棟木・梁など建物内部の高所に取り付けた札である。)の大きさや打ち付ける位置を決める時も、吉の倍数の寸法になるようにします。
棟札の画像です。上棟式の前に棟梁が棟木を受ける小屋束に取付ます。
サシガネには色々なテクノロジーが詰まっています。
それを見事に使いこなしている大工さん達、凄いと思いませんか?
最後にクイズを出します。
大工さんが使う道具の中で、一番「切れる」モノってなんだ?
ノコギリでしょうか、ノミ?カンナかも知れませんね。
残念でした。
答えは「墨壺の墨糸」です。
引っ張ってパチンと弾く際に、良く切れるそうです。
息が切れると言うジョークもあります。
https://www.assetfor.co.jp
posted by Asset Red
東京都練馬区北町2-13-11
03-3550-1311
東武東上線 東武練馬駅下車5分