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またしても、家相にまつわるお話しです。
「家相」という言葉を聞いた時、みなさんはどのような印象を持つでしょうか?
あまり詳しくは知らないが、なんとなく気になる。
鬼門や裏鬼門などと難しい言葉が多くてわかりにくい。
胡散臭い、信じない。なんて言う方もいるかもしれませんね。
そもそも家相とは、その家の方角や敷地形状などから吉凶を占うもので、古代中国で生まれました。
その為、我々日本人には馴染みの少ない言葉が使われているのです。
古代中国では、人間の心では判断できかねる時に神明に図って来ました。
その方法が「易」で、元々は天地の変動を占うというものでした。
その為に古代の中国の人々は、長い歴史の中で積み重ねられてきた出来事や経験を、統計学的に整理して一定の法則を導き出してきました。
しかしただ単に、こういった統計から物事を予測するだけではありません。
これらの根底には「陰陽五行説」という古代中国の哲学、思想ともいえる考え方があるのです。
ここでは家相の考え方を理解する為に、その根本となる陰陽五行説とそこから発生した易や、それに関わる言葉について簡単に触れてみましょう。
上図は、陰陽説による宇宙の成り立ちを表したものです。
陰陽五行説は、陰陽説と五行説からなっています。
まず陰陽説は、宇宙は陽と陰の2つの原理で成り立っているとするものです。
簡単に言えば、陽は日当たり、陰は日陰を意味しています。
このように、天と地、夏と冬、男と女など相反する2つの要素が循環、融合、変化する事で、この世の全ての現象が起こるとしています。
陽と陰は、どちらかが多くなっても良くありません。
例えば木が茂り過ぎれば成長が止まり、枯れてしまいます。
人間でいえば、暴飲暴食がいけないのと同じです。
さらに、陽は太陽と小陽に、陰は太陰と小陰に分かれます。
そして更に太陽は乾と兌に、小陽は離と震に、太陰は巽と坎に、少陰は艮と坤の8つに分かれます。
この8つが八卦といい、それぞれに意味を持ち家相と大いに関係を持つようになります。
下図は五行説による自然の成り立ちを表したものです。
五行説では、自然は木・火・土・金・水の5つの要素で成り立っています。
また、逆を言えば自然に存在するもの全て、物質から生き物・人間の感情・物事までがこの5つの要素、五行に分けられます。
この要素が盛んになったり、衰えたりする事で自然が変化し、人間の運命が変わります。
家相の方角はもちろん、これに当て嵌められます。
東は木、西は金、南は火、北は水、中央は土となります。
ところで、この5つの要素の関わり方について、5行相生説と5行相克説という2つの考え方があります。
五行相生説では、木は燃えて火となり、火は灰となって土に帰り、土は石をつくって金を生じ、金は水を溜め、水は木を潤すというように、お互いがそれぞれ並立に関係するものと考えます。
五行相克説では、木は土に剋し、火は金を溶かし、土は水を吸い取り、金は木を伐り、水は火を消すというように、お互いが対立する関係として捉えています。
陰陽説の考え方と自然の変化についての統計学が結びついたものが易です。
易が発達したのは、今から2000年前の周の時代といわれています。
黄河の流域に農耕生活が定着し、人々は種まきや刈り入れの時期・天候の変化を予測したいと願うようになります。
そこで過去に遡って天地の変化についての統計をとり、生活体験に基づく研究調査をし、予測するようになりました。
易の八卦の作者は、周の伝説的帝王「伏羲」だといわれています。
伏羲はかなり特異な知能を持ち、天地陰陽について考え、そこから八卦を考え出し、人の運命や天候の吉凶を占い、予言しました。
また伏羲は雨神龍を信仰するシャーマンであったともいわれています。ちなみに、八角形の盤を持った伏羲の肖像画の掛け軸が東京江戸川博物館に展示されています。
易は602年、百済の僧「観勒」が日本に伝えたとされています。
易が陰陽説から発生した事は前に述べましたが、易では陽と陰が不変なものではなく、また相反するものであるけれども、お互いが逆にもなりうると考えています。
つまり表は裏にもなり、動の中に静があり静の中に動がある。という具合です。
こうした考え方の基本を「易の三義」といいます。
第1義「変化」・・・
全ては変化すると考え、その変転して止まない事を「化」といいます。
第2義「不変」・・・
「化」の根底の部分には、変わらないものがある。という考え方です。
その根底に不変があるからこそ変化を意識でき、自ら変化していく事が出来るというものです。
第3義「化成」・・・
変化の中にその原理・原則を探求して、それに基づいて人間が意識的・積極的に変化していく事をいいます。
こうした陰陽五行説から易が生まれ、さらに様々な学問が生まれていきました。
それらが複雑に作用しあって、易経や四柱推命・家相などに発達したのです。
ますますわからなくなって来ました。
知れば知るほどわからなくなるのが、家相だと思いませんか?
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