木材の敵12

『木材・腐朽・シロアリ・キクイムシ・腐食並びに防腐・防蟻処理及び耐久性に関する基礎知識』のご紹介、まだまだ続きます。

第12回目も『シロアリ』についてのお話です。

上表に、木材の耐蟻性による分類を示しました。

木材を加害するのは職蟻であり、歯のある大顎で木材を齧り取ります。

木材によってはシロアリの被害を受けにくいものが知られていますが、木材の耐蟻性には次の各要因が関係していると考えられます。

1.木材の硬さ

木材の硬さは主にリグニンの量で左右されます。

シロアリは硬い木材よりも軟らかい木材を好む傾向がありますから、リグニン含有量の少ない春材や辺材が、秋材や心材よりも被害を受けやすくなります。

針葉樹は一般的にリグニン含有量が広葉樹よりも少ない事から、被害を受けやすい事になります。

また、硬い材であっても腐朽が始まると柔らかくなり加害されやすくなります。

2.木材に含有される耐蟻成分

イヌマキ・センダン・ヒバなどの耐蟻性の高い樹種には、サポニン類・キノン・フェノール類などの酸性成分が耐蟻成分として含まれています。

これらはシロアリが忌避するものや死に至らしめる物質であり、一般的に心材中に多く含まれいて、心材をより耐蟻性の高いものにしています。

シロアリによる建築物の被害は、台風や地震の被害のように目立ちませんが、一説によれば火災による被害量に匹敵するほど大きいそうです。

古いデーターになりますが、九州でシロアリ被害の実態を調べた結果から鹿児島県では建築後10年未満の木造校舎の5.5パーセント、10~20年では41パーセント、21~30年では52パーセント、31~40年では72パーセントの建物に何らかのシロアリ被害が認められました。

また福岡県では筑後10年未満で33パーセント、10~20年では68パーセント、21~30年では84パーセント、31~40年では82パーセントの建物にそれぞれシロアリ被害が認められました。

これは、九州ではヤマトシロアリとイエシロアリとの両種が生息している為と考えられるますが、東京でも条件が悪ければ10年未満でその被害率が80パーセントを超える調査報告もあると聞きます。

このように蟻害は腐朽と違って、シロアリの生息地域でなければ基本的に被害は起こらないという特徴がありますが、シロアリの生息地域内では適切な予防措置と点検を怠ると、その被害は早期のうちにからかなり大きなものになる可能性があります。

ヤマトシロアリによる被害部位および部材は、基本的にヤマトシロアリが湿った木材のみを加害出来ない事から、かなり限られてきます。

住宅であれば、北側外壁の土台や柱脚、筋交い下部などであり、台所や浴室・洗面所など水回り各室の床束・根太・大引などに被害が多くみられます。

しかし屋根や窓廻りから漏水していたり、竪樋からの雨水が外壁に侵入している箇所または給排水管回りの結露水が常時供給されているような箇所では、柱や軸組上部まで被害を受ける場合があります。

これに対して、イエシロアリでは自分で水を運ぶ能力がありますから、湿った木材に限らず乾いた木材であっても自分で湿らせながら被害を加えていきます。

従って、加害部位は土台・床組・柱脚などに留まらず小屋組部材・2階床組部材にまで及びます。

シロアリ被害で恐ろしいのは、早期のうちに被害が拡大するという被害速度の問題とともに被害部位が耐震・耐風上重要な箇所に集中しやすい事が挙げられます。

すなわち、土台や柱脚・筋交い端部は言うにおよばず小屋組・床組などに被害を受ければ、地震や台風が来襲した時にそれらの箇所が弱点となり被害を招きやすくなります。

そのような意味からも、防蟻措置を適切に行うとともに日常の点検・保守が重要になります。

シロアリ被害のみで建物が倒壊する事は多くありませんが、屋根の棟線の波打ちや外壁の傾斜または床の傾き、開口部の歪みなど、いわゆる老朽化を早期に招き寿命を縮める例は少なくありません。

神山氏らが国立市で行った調査によれば、腐朽のみによる建物の耐用年限が約36年であるのに対して、ヤマトシロアリの被害が大きい地域では約17年の耐用年限になっていて、これから類推すればイエシロアリの生息する被害地域では更に耐用年限が短くなるものと思われます。

シロアリの章の最後に、シロアリの名誉回復を少々・・・。

よくよく考えてみると、先述の腐朽菌しかりシロアリしかり

人間にとって害となるものであっても自然にとっては役に立つ存在であったりします。

その存在を無くすのではなく、建物に近づけない、発生しやすい環境をつくらない事が大切なようですね。

今回はここまでとします。

次回は『キクイムシ』についてのお話をさせていただきます。

  

  https://www.assetfor.co.jp
  posted by Asset Red

  東京都練馬区北町2-13-11
     03-3550-1311
 東武東上線 東武練馬駅下車5分

練馬・板橋で注文住宅を建てるならアセットフォーへ資料請求
練馬・板橋で注文住宅を建てるならアセットフォーの見学会へ
  • 練馬・板橋で注文住宅を建てるアセットフォーのFacebook
練馬・板橋で注文住宅を建てるアセットフォーのホームページTOPへ