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『木材・腐朽・シロアリ・キクイムシ・腐食並びに防腐・防蟻処理及び耐久性に関する基礎知識』のご紹介、まだまだ続きます。
第13回目は『キクイムシ』についてのお話です。
シロアリ以外の害虫で、特に乾燥材を加害するものには様々な昆虫がいます。
下表に挙げられたものが、我が国における代表的なものになります。
これらの昆虫は、直接乾燥した部材を齧り、これらから養分を吸収するため乾燥害虫と呼ばれています。
これら乾燥害虫の中でも、特にラワン材やナラ材などを食害するヒラタキクイムシ(ラワンムシ)は日本全土に分布し、その被害量も少なくありません。
1.分布
熱帯・亜熱帯・湿地帯および乾燥帯に分布し、人為的空間によく適応しています。屋内発生が多く屋外で発生する事は多くありません。
2.形態
成虫の体長はおよそ1.5~8.0ミリで、褐色をした小型の甲虫です。細長くやや扁平で、卵は広葉樹の木口面にある道管に産み付けられます。幼虫は白色ないしクリーム色でうじ虫状、蛹は白色で棒状です。
3.生態
広葉樹の道管に産み付けられた卵は10~14日で幼虫になり、材の中を食害しながら活動します。
幼虫は翌年の春に蛹となり、1~3週間で成虫となり、通常5~6月頃に被害材の表面に1~2ミリの孔をあけて脱出してきます。脱出後の成虫は交尾し、産卵して約10日前後で寿命となります。
4.生育条件
ヒラタキクイムシによる食害の有無は、主に産卵に適した道管の有無と養分としてのデンプン量に関係していると言われます。すなわち、産卵には産卵管が挿入できる直径約0.18ミリ以上の道管が必要となります。
また、道管中のデンプン量が多ければ多いほど被害が多くなる傾向にあります。デンプン量は針葉樹よりも広葉樹の方が多く、これが広葉樹に被害が多い理由のひとつとされています。
5.被害材の特徴
主に広葉樹の辺材部分に1~2ミリの孔をあけると同時に、材表面に微粉末の木くずが観察されます。
床のフローリングや家具などの塗装面には産卵出来ませんが、隠れた非塗装面に産卵して加害範囲を拡大していく事があるため注意が必要です。
今回はここまでとします。
次回は『腐食』についてのお話をさせていただきます。
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