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『木材・腐朽・シロアリ・キクイムシ・腐食並びに防腐・防蟻処理及び耐久性に関する基礎知識』のご紹介、まだまだ続きます。
第14回目は『腐食』についてのお話です。
鋼材の腐食とは、鋼材と鋼材を取り囲む環境物質(液体・固体・気体)との接触によって化学反応が生じ、鋼材が損耗する現象をいいます。
損耗とは、鋼材表面が酸化物・水酸化物・炭酸化物・硫酸化物などの非金属質化合物に変化する現象で、鋼材が液体と接触していれば生成物の一部は溶解し、一部は水に不溶性で鋼材の表面を被覆します。これがいわゆるサビです。
腐食は、乾腐食と湿腐食に大別する事ができます。
乾腐食とは、常温および高温における酸化および硫化のように鋼材と気体との接触によって起こる純化学的反応で鋼材の金属組織が変化する現象です。
建築物にあっては、火災時の鋼材の酸化がこれに当たります。
湿腐食とは、液体または水分の存在下で起こる腐食で、主として鋼材表面に起こる現象です。
水分の介在によって鋼材表面に局部電池作用を生じ、表面の一部または全部が電気化学的反応によって腐食するものであり、その範囲は広く、大気腐食・土壌腐食・淡水腐食などはこの中に含まれます。
水の中には水温に応じて一定量の水酸化水素が含まれています。
水酸化水素は水と異なり金属と置換反応をする電解質である為、鋼材とは次のような反応を示します。
Fe+2HOH=Fe(OH)2+H2
この化学反応によって、水酸化第1鉄(Fe(OH)2)が生じ水中に溶解します。
また、Fe(OH)2は水中の酸素と反応して不溶性の水酸化第2鉄(Fe(OH)3)(いわゆる赤錆)が生成され、鋼材表面に被着します。
Fe(OH)2+1/2O2+H2O=2Fe(OH)3
更に、鋼材表面に水分が介在すると鋼材と赤錆とは電気的エネルギーが異なる為、この間に電池が構成されエネルギーが大きい鋼材が電気分解により腐食作用が促進されます。
鋼材は建築物ばかりでなく土木・交通・船舶・通信などあらゆる分野で使用されています。
それぞれの分野で鋼材の置かれている環境が異なっており、その環境により腐食も異なる事から下表のように腐食の種類を環境別に分類されています。
上記のほかに、酸腐食(希硫酸・蓚酸・酢酸・硝酸・クロム酸など)、アルカリ腐食、迷走電流腐食などもあります。
また異種金属の接触腐食もあり、イオン化傾向が異なる金属が接触すれば、水の介在によりイオン化傾向の大きい金属が腐食します。
金属をイオン化傾向の大きい順に示すと次の通りです。
K・Na・Ba・Ca・Mg・Al・Mn・Zn・Cd・Fe・Co・Ni・Sn・Pb・Sb・Bi・Cu・Hg・Au
従って、アルミニュウムと鋼材を接触させるとアルミニュウムが腐食する事になります。
今回はここまでとします。
次回も『腐食』についてのお話をさせていただきます。
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