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木に関する『割りとどうでも良い話』をしたいと思います。
お時間がある方のみ、読んでください。
酒の歴史は古い。
大化の改心によって宮廷で行う手工業生産の組織の中に既に酒部・酒入部、あるいは味酒部という醸造組織があった事でも判ろう。
しかしこの頃、酒はたぶん壺・甕で醸造され木の桶や樽は無かったろう。
14世紀に入り、京都・堺・西宮・博多などに民間で酒を醸造するものが多く現れた。
この場合は自家用ではなく営業用の醸造であるから大量でその容器も当然桶であり、運搬回送用には樽を用いた事は当然である。樽と言えば、酒樽の事を言うのが当たり前であった。
桶や樽はスギで作るのが当たり前で、特に古い時代には吉野のスギが多かったろう。
スギが醸造用の大きな桶・樽に用いられるのは、何よりもまず大材を得やすく、かつ割りやすかったからであるが、スギの赤身の持つタンニン酸が木香として酒に風味を与える事もアルコール容器と珍重される大きな理由のひとつである。
多くの樹種中心材(赤身)部分にタンニンを含有するのはスギとナラとクリである。
ナラ(オーク)が洋酒の樽に用いられるのと軌を一にする。同じ性質を持ちながらクリが樽材として用いられなかったのは割り難くて加工に困難であったからだろう。
桶はスギの割板を縦に並べて底をつけ、箍で絞めた円形の容器で、箍物と称して剥物・曲物に匹敵する木工の1つのジャンルである。
この桶の前身は麻笥(おけ)と言って績んだ麻や苧を入れておくもので、ヒノキの割板の曲物であった。
別名、折櫃(おりびつまたはおりゆうず)とも言われる物と同じである。
麻笥は形の上では櫃となり、現在の箪笥に発展するが、言葉としては桶に残っている。
材料もそれにつれ、ヒノキからスギへと転化してきた。
日本工業新聞社 刊
新装 日本の木・世界の木/木材利用の今・昔
成田寿一郎 著
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